櫛野展正連載「アウトサイドの隣人たち」: 想いを寄せる「手紙」ヤンキー文化や死刑囚による絵画など、美術の「正史」から外れた表現活動を取り上げる展覧会を扱ってきたアウトサイダー・キュレーター、櫛野展正。2016年4月にギャラリー兼イベントスペース「クシノテラス」を立ち上げ、「表現の根源に迫る」人間たちを紹介する活動を続けている。彼がアウトサイドな表現者たちに取材し、その内面に迫る連載。第70回は、「手紙」というかたちで自分を表現する河野芽衣さんに迫る。 文=櫛野展正 作品を制作中の河野芽衣さん 「これ全部、彼女から届いたものなんです」と見せて頂いた封筒の束に驚愕した。表面には、幾重にも重なったセロハンテープが貼り付けられている。もっとも厚い部分で、5センチはあるだろうか。封筒自体が膨らんでいるのは、中にも作者が加工した封筒や折り紙などが詰め込まれているためだ。よく見ると、セロハンテープの塊の