―桜庭さんにとって、本作は初めての時代物となります。そういう意味では新しいチャレンジになると思うのですが、何か気をつけた点はありましたか? 桜庭 「日本の時代物は今まで書いたことがなかったので、どのくらい専門的なことを書くのか、何を勉強したらいいのか、というところはありました。でも、もともと『GOSICK―ゴシック』という100年近く前のヨーロッパを舞台にした物語を書いていて、そのときはあまり専門的過ぎず、誰でも楽しく読める作品ということを念頭にお話を書いたので、今回も時代小説をあまり読まない人でも分かるような、江戸時代の雰囲気を楽しめる作品にしようとは思いましたね。だから、そんなに書きづらいということはなかったです」 ―本作は『週刊文春』に連載されていたものを単行本化したものですが、物語の中に『贋作・里見八犬伝』という物語が入っているという構成が非常に独特であると思いました。もともと連載