人は誰しも物事に慣れてしまうと、それを軽んじたり大切に思わなくなったりするものです。でも、何であれ最初の最初に触れたときの感じ方というのは、そのあと長くその人の中に残り、ときには大きな力になることもある。そんな気がするのです。 初めてチェロに触れた頃 例えば、子供の頃、最初にチェロという楽器に触れた瞬間のことを覚えています。子供と言っても中学生で、その頃、チェロを習ってみたかった。 私は3歳から6歳まで、家の近所の音楽教室に通ってピアノやソルフェージュの基礎を習ったのですが、父が末期の肺がんと分かって家も都下に移り、小学校1年の終わりに父が亡くなって以降、卒業まで音楽のレッスンと遠ざかっていました。 この頃やっておけば楽だったのに、と思うことが、今でも山のようにあります。 でもその、好き勝手に音楽を考えていた途中の小学校4~5年頃から音楽が本当に好きになりました。父の遺品で家にあったベート