『差別感情の哲学』中島義道 (2009年 講談社) 差別感情の哲学 作者: 中島義道出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/05/15メディア: 単行本 クリック: 77回この商品を含むブログ (21件) を見る 罪のない冗談の中に、何気ない誇りの中に、純粋な向上心の中に、差別の芽は潜み、それは放っておくと体内でぐんぐん生育していく。ボランティア活動で介護の老人から感謝されるそのときに、好きな人から結婚を申し込まれ飛び上がりたいほどの至福を感じているそのときに、わが子の寝顔を見つめながら至福を感じているそのときに、「他人」は見えなくなり、差別感情はむっくり頭をもち上げる。 … すべての行為に差別感情がこびりついていることを認めない限り、自分は差別していないという確信に陥っている限り、自分は「正しい」と居直る限り、人は差別感情と真剣に向き合うことはないであろう。いかなる「聖域」もない。