東大物価指数、水面に向かうかと思いきや、またドンと落ちた。 http://t.co/WEP0WunrLf 実質所得減少の引力は根強い。
「金融政策は潜在成長率を上昇させることができるか」という命題がある。この命題に対しては、大半の経済学者、エコノミストは、「できない」と考えているようである。私は少数派だとは思うが、「できる」と言う立場である。ただし、この答えは、あらゆる時代、場所において正しいかどうかは、検証していないのでわからない。しかし、20世紀の後半から21世紀の前半の日本という時間と場所を限定した場合、「できる」と考える。 日本の場合、あまりにも長期間、金融政策を間違い続けてきた。日本は、1980年代後半に、バブルを膨らませすぎたという点で、金融政策に間違いがあったと思う。しかし、それ以上に大きな金融政策の間違いは、バブル崩壊後の金融政策である。バブルが崩壊した後は、下がりすぎた資産価格を上昇させるため、大規模な金融緩和、量的緩和を速やかに実施することが必要であった。しかし、バブル崩壊後の日本では、資産価格上昇を目
昨年後半から、主として円安の結果、輸入品を中心とする物価上昇が続き、デフレからの脱却に成功した。それに加えて、今年4月から消費税増税が実施された結果、物価はさらに2%跳ね上がった。こうした物価の上昇にもかかわらず、賃金の上昇の方は鈍く、5月の実質賃金は前年比-3.6%と、大変大きな引き下げが実現してしまった。その一方、人手不足の声が高まり、公共施設の建設が中止になったり、チェーン店の店舗が閉鎖されたりし、実体経済に悪影響を与えているという声も出始めた。こうした、人手不足と、実質賃金の上昇ではなく、大幅低下が同時に進行する背景を解き明かしながら、それに対応する必要な政策を示すことにする。 まず、名目賃金の上昇率と失業率を表すフィリップス曲線を下記に示す。 上記のフィリップス曲線は、以前も使用したことがあるが、最も古いタイプのものである。現在の経済理論では、「期待」という概念を重視し、「期待」
2014年07月10日 (木) 慶應義塾大学教授 井手英策 安倍政権は、アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」に、法人税の減税を盛り込みました。これからの数年間で、国と地方をあわせた法人税の実効税率を現在の34.6%から20%台に引き下げることが目標です。 減税のねらい、それは、企業の負担を軽くし、経済を活性化させることにあります。実際、日本は、法人税率がもっとも高い国のひとつです。また、アジア諸国への企業流出、産業の空洞化も進んでいます。政府が法人税を下げ、企業の海外流出を防ぎ、外国企業を日本に呼び込もうとすることは、当然の対応のようにも見えます。 しかし、私は、法人減税に対して三つの疑問を持っています。 ひとつめは、法人減税には、どの程度、効果があるのかという疑問です。今回の減税で企業は約2兆円の負担を軽減できます。これに対し、全体の人件費は170兆円です。アジアでは人件費
2014年07月23日23:39 カテゴリ (消費税の)軽減税率と(所得税の)配偶者控除は同じ穴のムジナ 大竹文雄氏が、なぜ消費税の軽減税率は人気なのか、という理由を挙げています(こちら)。 その2つめ、 第2の理由は、中所得者以上の人たちが、実際は軽減税率によって自分たちが得をすることを知っているが、それが低所得者対策であるという名目を立てることで、政策への正当化をしやすいということではないだろうか。 これは、所得税の配偶者控除にも当てはまります。低所得者よりも「上の」所得の人も配偶者控除によって得をします。 低所得の人の中には、所得が低く生活が苦しいので、配偶者控除を受けることができる年収で労働を止める余裕なんてない、という人も多くいます。 だから、本当に低所得者対策がしたいなら、軽減税率や配偶者控除ではなくて、直接給付をするか、低所得者の所得税率を下げればいい。 大竹氏は理由を3つ上
日本は環境にやさしい国というイメージがあるが、環境基準は海外と比べはるかに低い。この市場で育った日本企業が海外市場に進出する際、基準の甘さが不利になるのだ。日本企業がグローバル企業として、環境対応していくには、進んだ環境基準を自ら提唱していくくらいの姿勢が求められる。 日本市場の延長にはない環境先進企業 中国に抜かされたとはいえ経済大国第3位の日本は、サプライチェーンがもたらす世界への影響も3番目に大きい。サプライチェーンは原材料、加工に使える化学薬品、設計に盛り込むリサイクルなどさまざまな要件を既定することから、最終消費市場の環境問題に大きな影響を及ぼす。だが、日本市場は環境規制に関して先進的ではないという事実は、驚くことにあまり知られていない。もっと言えば、部分的には新興国よりも劣りつつあるのだ。 代表的な環境規制であるRoHSについて、日、米、欧、中の4カ国で比較を行ってみよう。電子
という論文をIMFのEvridiki TsountaとAnayochukwu Osuekeが書いている(原題は「What is Behind Latin America’s Declining Income Inequality?」;H/T Mostly Economics)。以下はその要旨。 Income inequality in Latin America has declined during the last decade, in contrast to the experience in many other emerging and developed regions. However, Latin America remains the most unequal region in the world. This study documents the declining
1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。 高橋洋一の俗論を撃つ! 元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。 バックナンバー一覧 前回の本コラム(消費落ち込みは「想定内」!? 想定数字の説明なき政府の楽観)で、政府は消費税による消費の落ち込みに楽観的すぎるのではないかと書いた。6月27日に総務省から公表された家計調査の数字があまりに悪かった
中国・上海生まれの知り合いの女性はことあるごとに中国の食品に対する不安を口にする。 「甘すぎるスイカはきっと何かの薬品を使っている」「大きすぎるイチゴは買わないほうがいい。薬を使っているから」「鶏肉は成長促進剤が使われているから危ない」「ファストフードのハンバーガーはどんな肉が使われているか分からないから食べない」 話を聞き、その時は「それでは食べるものがない」と笑ったが、彼女の発言が正しかったことを裏付ける事件が起きた。 カビの生えた肉や床に落ちた肉を平然と使用 上海のテレビ局、東方衛視は20日、上海の食品加工会社が消費期限切れの牛肉や鶏肉を使用している実態を明らかにした。マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、ピザハットといった中国でも多くの店舗を持つ欧米系の有名外食チェーンがこの食品会社、上海福喜食品の製品を使っていたこともあって、大きな問題となっている。 また日本のマクドナルドや
私は自分のコラム「極言暴論」で、ユーザー企業のIT部門とITベンダーの問題点や課題を極言し、暴論してきた。だが、特にITベンダーあるいはIT業界の話を書くと、空しくなることがある。私が指摘する問題点は、ITベンダーの経営幹部なら随分前から自覚している。それでもITベンダーや業界は何も変わらない。 「極言暴論」の読者にも「以前に何度も聞いた話」とシニカルに受け止められてしまったりする。「このままでは日本のIT業界に未来は無い」と叫んだところで、「またですか」とオオカミ少年扱い。やはり“ゆでガエル”状態になっている人には、湯の温度が多少上がったぐらいでは危機感を持って受け止めてはもらえない。 それでもクラウドの世となり、ITベンダーを丸ごとゆでる湯の温度は急激に上昇している。今起こっているパラダイムシフト、パワーシフトは以前のダウンサイジングやインターネットの爆発的普及のときの比ではない。シス
こんにちは、島倉原です。 前回は、 マンデル=フレミング・モデルを前提とすれば、「変動相場制の開放経済では、金融政策の財政政策に対する『相対的な有効性』が、固定相場制の開放経済の時よりも高くなる」という結論が導き出されるものの、 このこと自体は、一部のリフレ派が「マンデル=フレミング・モデルの帰結」と称して主張する、「変動為替相場制のもとでは、財政政策よりも金融政策の効果のほうが大きい」という議論の根拠にはならない。 という話をしました。 今回は、 マンデル=フレミング・モデルを前提とすれば、変動相場制の開放経済では、金融政策の財政政策に対する「相対的な有効性」が、閉鎖経済の時よりも高くなる。 という、前回の話よりもマクロ経済学の教科書で取り上げられることが多い帰結について説明したいと思います。 今回の説明では、「マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編」を参考にしています。 右肩下がりとなるI
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