デフレが発生するメカニズムは簡単だ。人々は毎月得られた給料から一定額を使い(消費・投資)、一定額を使わずに取っておく(貯蓄)。得られた給料の何割を貯金するかは、将来的な生活の見通しを勘案しながら、それぞれの事情に基づいて決定される。 例えば、将来を考えて自宅をバリアフリー化しようとした場合、建設コストが将来的に割高になると予想すれば、貯蓄を減らしてなるべく早めに工事を発注するだろう。これに対して、建設コストが割安になると予想される場合には、何も今すぐバリアフリー工事が必要というわけではないので、とりあえず本当に困るまで工事は延期しようという話になる。 これは家電製品や自動車の購入でもまったく同じだ。人々はそれぞれが持つ「感覚」によって微妙なシグナルを感じ取り、将来的な経済状態を予想する。そのシグナルとは、例えば「同業他社が突如として銀行借り入れを増やし、設備投資を始めた」とか、「隣の住人が