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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • 風刺画にみるアベノミクス 1 量的緩和の虚

    安倍晋三氏の宣伝では、による量的緩和は景気を浮揚させるはずだった。 (マスコミもこの宣伝には大いに貢献したが、・・・) 実際は、 1)日銀の市中銀行に対するマネタリーベースの供給を増やしただけで、銀行の民間に対する貸付(貨幣供給)はほとどんど増えていない。企業の設備投資もほとんど増えていない。しかも、 2)円安による輸入品の価格上昇をもたらし(ということは、国民の可処分所得の外国への移転をもたらし、あるいは有効需要の外国への漏れをもたらし)、景気を悪化させた。一方、輸出はそれほど促進されていない。 日経済は、強い逆風にさらされている。

    風刺画にみるアベノミクス 1 量的緩和の虚
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    gruza03 2015/10/05
    円安による輸入品の価格上昇をもたらし(ということは、国民の可処分所得の外国への移転をもたらし、あるいは有効需要の外国への漏れをもたらし)、景気を悪化させた。一方、輸出はそれほど促進されていない。
  • 賃金を上げられない安倍晋三氏

    国民経済計算統計(財務相)のデータによれば、2013年の日全体における「雇用者報酬」、つまり労働者が受け取った賃金所得はおよそ248兆円でした。国民所得(約400兆円)のおよそ62.5パーセントにあたります。国民粗所得は、この国民所得に減価償却費(固定資ストックの減耗分)を加えたものであり、きわめてラフに言えば、500兆円ほどになります。2014年の数値もそれほど変わっていません。 つまり、国民所得 賃金       248兆円 利潤+混合所得  152兆円 減価償却費  約 102兆円 ちなみに、支出(有効需要)から見ると、粗投資は108兆円弱であり、これは減価償却費102兆円を除いた純投資がわずか6兆円ほどとなっていることを示しています。ほとんど純投資が行なわれていない状態ですが、その理由ははっきりしています。消費需要が増加しないので、企業は将来も消費が伸びないと「期待」(予測)し

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    gruza03 2015/09/27
     とりわけ99パーセントにとって重要jなことは、GDPではなく、賃金です。
  • 怪しげな新アベノミクス GDP600兆円のデタラメ

    新アベノミクスと称し、また怪しげなことが言われています。その一つ2020年までにGDPを600兆円にという話しがありますが、緊急に、この点をちょっと見ておきましょう。 これを実現するためには、今年のGDPを500兆円とすると、毎年3.7パーセントのペースで経済(GDPの規模)が成長しなければなりません。これは経済全体の話しです。しかし、ラフに言って、生産年齢人口は毎年1パーセントずつ減少するので、経済全体を毎年3.7パーセント成長させるには、一人あたり4.7パーセントの経済成長が必要となります。もうこれだけで、新アベノミクスのデタラメさは明らかです。 が、ひょっとすると、これは実質GDPではなく、名目GDPの話しだというかもしれません。つまり、物価が毎年2パーセントずつ上昇すれば、実現可能ではないかというわけです。ということは、実質では毎年経済全体で1.7パーセント、一人あたり2.7パーセ

    gruza03
    gruza03 2015/09/27
    巨大企業が労働者の実質賃金を上げず(また下請け企業の単価を上げず)、ひたすら利潤を増やそうとするというものです /トヨタのカイゼン圧力
  • アメリカ経済は「自由市場」の経済か? 二枚舌に気をつけよう

    アメリカ経済はよく「自由市場」の経済だと言われる。 当にそうだろうか? 結論を最初に述べると、当のところは「自由市場」どころではない。 まず「自由市場」の定義だが、普通、それは政府が市場に干渉しない、あるいは干渉が最低限に抑えられている国民経済(つまり夜警国家)と定義される。 実際のところはどうだろうか? ジェームス・ガルブレイスが『プレデター国家』(2008年)で詳しく検討し、明らかにしているように、米国のGDPに示す公的支出の割合は50パーセントを超えている。その詳しい内訳は省略するが、公的支出の主な項目は、軍事、教育(高等、中等、初等)、社会保障(これは米国では概ね退職者の年金のことである)、医療・健康(ヘルスケア、メディケイド)であり、これだけで40パーセントを超えている。 政府(連邦、州、地方)が経済に大幅に介入しているのである。こんな経済が上のように定義される「自由市場」経

    gruza03
    gruza03 2015/09/12
    国家の介入なくして資本主義経済は運営できない。問題は、「国家」対「市場」ではない。要するに「自由市場」の偽装の上に成立している国家介入型の経済、これが現代の米国経済の実際の姿である。
  • ハイエク:特定国の政府を憎むあまり、現実の経済社会を無視した哲学

    ハイエクという経済学者がかつていた。日ではあまり知られていないかもしれないが、とにかく「自由市場」を擁護した経済学者である。ジョン・M・ケインズと論争したことで一番よく知られているといってよいかもしれない。また『隷従への道』の著者として知られ、さらにはジョン・ロックなどのイギリス個人主義の哲学を賛美する一方、ルソーなどの平等主義を説くフランスの哲学を嫌ったことでも知られているかもしれない。 ある意味では首尾一貫していると言えるが、簡単に言えば、ソ連の計画経済は論外であり、ケインズなどのような国家(政府)の市場経済への介入や、ルソーの平等主義哲学さえ最終的にはきわめて抑圧的な全体主義にゆきつくと主張したのであるから、その意味では相当な人物である。1970年代にチリで民主的に誕生したアジェンデ政権をクーデターで倒し、新自由主義政策(市場原理主義にもとづく経済政策)を実施するように促したのも彼

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    gruza03 2015/09/01
    人々は企業という別の巨大組織、ガルブレイスの言う官僚組織とその命令に隷従することを強要されるであろう。それはもう一つ別の「隷従への道」に他ならない。/日本的雇用問題
  • なぜ現代経済は不安定化したのか?

    近年の資主義経済がきわめて不安定化したことは、経済の専門家、非専門家を問わず、多くの人々が広く認めている。 その理由はどこにあるのか? グローバル化と金融化の2つの要因をあげることができよう。 1)グローバル化 グローバル化とは、「自由市場」、つまり市場優先主義または市場原理主義の世界的な普及であるが、これは従来からの国民経済を根的に不安定なものとする。何故か? それは根的には有効需要が不安定化することに由来する。 比較のために、まったくグローバル化していない経済(閉鎖経済)を考えよう。このケースでは、国内の有効需要(総需要)は、次の式で示される。 Y=C+I+G  総需要=消費需要+投資需要+政府支出 有効需要の各項目は、よほど危機的な状況が生じない限り、安定的である。たしかに個々人は個人的な事情により消費支出の金額をかなり大幅に変えるかもしれない。またその内容(構成)は漸次的に変

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    gruza03 2015/09/01
    金融からの不労所得(CEOsの不労所得、インカムゲインとキャピタルゲイン、金融機関の利潤など)ではなく、勤労所得を増やすことが個人の自由を尊重し、平等で真に生き生きした社会を創る上で重要である。
  • 賃金はなぜ低下したか? またはPOWER to the PEOPLE by John Lennon

    1997年から現在まで、名目賃金(貨幣賃金)は趨勢的にずっと低下してきた。昨年度は貨幣賃金が増加したが、物価がそれ以上に上昇したため、実質賃金は低下した。

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    gruza03 2015/08/30
    賃金所得は有功需要と密接に関係しているという事情を忘れてはならない。つまり、社会全体の賃金所得(W)からはかなりの消費支出CLが行なわれる
  • アメリカ合衆国が日本に戦争法案実現の圧力をかける理由

    なぜ米国は集団保障体制を日に求めるのでしょうか? 米国はなぜ日にとって「密接な国」(端的にいって米国)やその軍隊が攻撃されたら(あるいは攻撃されそうと日や米国が判断したら)、日がその国に対する攻撃をするという日にとってきわめて危険なことを求めるのでしょうか? その最も重要な理由は簡単です。 米国の「軍産複合体」、つまり政治家、ペンタゴン(国防総省)、軍事産業(ロッキード社などの軍需企業)などからなる利害共同体を守るためです。 このことを説明するために、まず第二次世界大戦後の歴史的経緯を簡単に見ておきましょう。 戦後、第二次世界大戦中に米国は「世界の武器庫」(arsenal of the world)の役割と「世界の銀行」(the world's banker)(つまり米ドルの供給)の2重の役割を果たしましたが、その役割は戦後になって終わったのではなく、ずっと続きました。まず後者に

    アメリカ合衆国が日本に戦争法案実現の圧力をかける理由
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    gruza03 2015/08/23
    米国の「軍産複合体」、つまり政治家、ペンタゴン(国防総省)、軍事産業(ロッキード社などの軍需企業)などからなる利害共同体を守るためです。
  • アベノミクス 「第三の矢」は毒矢

    山家悠紀夫氏の『アベノミクスと暮らしのゆくえ』(岩波ブックレット、No.911、2014年)でも指摘されていますが、いわゆるアベノミクス「第三の矢」は毒矢に他なりません。なぜそう言えるのか、なるべく簡潔に要点を説明したいと思います。 第三の矢。それは「成長戦略」であり、「世界で一番企業が活動しやすい国」を創り上げることをターゲットとしていることは、安倍氏人も主張していることです。 その具体的中身は、「「日再興戦略」改訂2014ーー未来への挑戦」で述べられており、論点は多様と言えば多様ですが、骨組は比較的簡単です。 そのメインの主張の一つは、投資が近年低下してきたという点にあります。実は、山家氏が明らかにしているように、日投資率(GDP=国民粗所得に対する設備投資額=粗投資の割合)は欧米と比べて決して低いわけではありません。しかし、日に限定して言えば、1980年代から現在まで投資

    gruza03
    gruza03 2015/08/12
    要するに、日本の本当の問題は貨幣賃金総額の趨勢的低下の事実にあります。賃金の停滞は、賃金からの(実質)消費支出を停滞させ、国全体の消費活動もさっぱり元気がでないという状態をもたらしました。
  • ジェームス・ガルブレイス『プレデター国家』(2008年) 4

    現在のプレデターたち、つまりCEOs(経営最高責任者)、金融(商業銀行や投資銀行、保険会社などの金融機関、巨大株主など)、ハイテク企業(Tech firms)は、巨大企業(巨大株式会社、corporations)と政府をどのように利用しているか? ジェームス・ガルブレイスの取り上げている一例を紹介しよう。 ヘルスケア(医療) 現在のヘルスケアの政治は、メディカルケアを民間セクターに戻そうとする偉大な保守派のスキームなどをめぐって展開しているのではない。国家の資金がなければ、医療セクターも経済全般も崩壊するということはすぐにわかる。(メディケアがなければ、多くの高齢者の生涯貯蓄が急速に枯渇し、彼らの寿命も低下するだろう。)どんな真面目な政治家もアメリカの医者を集めて、アメリカの病院を英国の国民健康サービスの複製品に変えてしまうことなど提案しない。そんな動きは、アメリカのヘルスケアの費用を英国

    gruza03
    gruza03 2015/08/02
    完全な民営化はいうでもなく、そんなことをすれば、医療セクターを崩壊させ、経済を解体させることになってしまう。
  • 現実世界の経済学 Globalization and Society: 米国の主流派はなぜケインズを嫌うのか?

    書きかけの項目がいくつかありますが、もう少しで定期試験が終了し、やっと少し時間が取れるので、その時にいくつかを終わらせることにします。 またジェームス・ガルブレイスの『プレデター国家』の紹介も8月〜9月に予定。 今日は、若干ツイートめいたことを書いて終わりにするつもり。 米国の主流派経済学者(新古典派、サプライサイダー、マネタリスト、新しいケインズ派! など)は、どうしてジョン・メイナード・ケインズをあれほどまでに嫌うのでしょうか? 一つの理由は簡単です。世紀の天才的な経済学者によって根的に批判され、「ゴミクズ」同様に捨て去られた恨み(ルサンチマン)が今でも残っているからです。 そこで彼らは、ケインズ殺し(「ケインズは死んだ」と唱える)を行なうか、新しいケインズ派を名乗りながらほぼケインズの主張と対立する命題を繰り返し唱えます。 そのいくつかの事例 1)「セイ法則」(供給がそれ自らの需要

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    gruza03 2015/07/31
    1)「セイ法則」(供給がそれ自らの需要を創出する)の復活2)貨幣数量説(マネタリズム)3)特にかく失業を「高賃金」と「平等な所得分配」のせいにする「理論」。しかし、「期待」は人によってまちまちです。
  • 公的部門と民間部門の給与格差 イギリスの事例から明らかになること

    でもそうですが、公的部門と民間部門の給与格差がしばしば問題とされます。その際、よく主張されるのは、公的部門、つまり公務員の給与が高い(高すぎる)のではないかということです。そこで、今日は、その実態にせまりたいと思います。ただし、ここで取り上げるのはイギリスの事例です。その理由はデータの問題など様々です。 さてとにかく最初に全般的な統計数値をあげておきましょう。2002年〜2011年の国民統計局のデータでは、給与額(年収、週あたり給与)が両者とも増えてきています。各年ごとの格差を見ると、メディアン(中央値)、つまり給与額から見てちょうど真中にいる人々にはそれほど大きな相違はありません。ただ年によって公的部門の高いときもあれば、民間部門の高いときもであります(最後の3年間には公的部門が高くなっています)。 しかし、ミーン(平均値)の週あたりの給与額では、この期間中、公的部門(公務員)の給与

    gruza03
    gruza03 2015/07/12
    日本国民にとっても大きく関心をひく事柄ですが、イギリスの給与額(貨幣賃金)が公的部門、民間部門を問わず、ずっと上昇してきたことです。
  • ギリシャへの支援(貸付)は誰のために役立ったのか?

    ギリシャが2010年から2014年までに EU や IMF から受け取った「支援」(という名の融資貸)は、総額2100億ユーロ(約30兆円近く)に達する。 この融資はいったいどのように使われたのだろうか? ギリシャ危機の真相を理解するには、これを知ることも必要となる。 だが、この点についてもとんでもない誤解が広まっている。そのことを指摘するサイトを見つけたので、紹介しておこう。 広まっている誤解というのは、「融資がギリシャ政府を破綻させず、その基的な活動を維持し、医師、教師および警察官への給与を支払うために使われた」というものである。

    gruza03
    gruza03 2015/07/11
    ギリシャ経済は破滅し、GDPの25%もの縮小が生じてしまったのである。ギリシャ経済は借金を返すために借金しなければならない状態に陥ってしまった。
  • ガルブレイス、EU債務危機と緊縮の殺伐とした風景を描く

    EU債務危機について説明するとき、債権者はなぜ「緊縮」を求めるのか、また世界の指導的な経済学者(クルーグマン、スティグリツ、ガルブレイスなど)が「緊縮」に反対するのか、質問されることがあります。 一見したところ、緊縮というのは当然の正しい要求のように見えるかもしれません。たしかに単純な算術計算上では、そのように思えます。例えば政府の収入(歳入)が100、歳出が200ならば、赤字は100ですから、その他の条件が等しいならば(ceteris paribus)、歳出を 50 削減すれば、赤字は 50 に減少します。 しかし、この ceteris paribus という呪文のような言葉が問題です。というのは、経済の世界では、ある変化が生じると、前提条件自体が変わるからです。例えば、上の削減額の 50 が GDP の15%に等しいと仮定しましょう。この削減は政府支出による有効需要を総需要の少なくとも

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    gruza03 2015/07/11
    削減は政府支出による有効需要を総需要の少なくとも15%ほど削減する危険性を持つ。それは総生産を激しく収縮させる効果。つまり、ceteris paribus はまったく成立しません。まさに悪魔の循環とでもいうしかありません。
  • 現実世界の経済学 Globalization and Society: ガルブレイス氏、ギリシャ危機、トロイカと債権者の混乱について語る

    ジェームス・ガルブレイス(テキサス大学教授)は、伝説的な米国の経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイスの子であり、自身も優れた経済学者ですが、ギリシャ問題にかかわり、ギリシャで現在政権についている 政党、Syriza(シリーザ)の財務大臣、ヤニス・ヴァロウファキスと一緒に「トロイカ」との交渉に参加してきました。そのガルブレイスが今年2月に行なわれた交渉の内実を語っています。(Fortune, Feb.20, 2015, Greece's fate: In Angela Merkel's hands?) 「それ(ギリシャに対する態度)は、まったくメルケル次第です。私たちは、否定的なスタンスを取っている財務大臣と、話したがっている副首相から話しを聞きました。私たちが話しを聞いていない人物はメルケルです。彼女が必要となるまで話さないことを私たちは知っています。彼らはきわめて強硬であり、次に2つの譲

    gruza03
    gruza03 2015/07/11
     EUが「ドイツ帝国」の支配のための装置になっているというE・トッドの結論がガルブレイスによっても確認されているといってよいでしょう。
  • 何故、安倍政権の下で円安になったのか? その3

    2013年の前半に何故円安(・ドル高)になったのか、を調べてきましたが、為替相場の変動をもたらす理由の一つが購買力平価(PPP)にあることを指摘しました。これと密接に関係しているのが、貿易収支や経常収支の変化です。もし為替相場を購買力平価に等しくする国際市場の力が作用するなら、経常収支の黒字を計上している国は、通貨高(=当該国商品の国際価格高)となって貿易収支(→経常収支)の黒字を減らすという結果をもたらすことになり、逆は逆となるでしょう。 日の場合、そのような関係は見られるでしょうか? 下図は、1980年から2013年までの実質実効為替相場と経常収支(対GDP比)の相関を示したものです。これを見ると確かに、<円安→経常収支の黒字拡大→円高→経常収支の黒字縮小>というサイクルが4〜5回ほど繰り返されてきたことがわかります。 特に1911年と1912年に経常収支の黒字が1997年の水準をし

    何故、安倍政権の下で円安になったのか? その3
    gruza03
    gruza03 2015/07/11
    日本企業が余剰資金(内部資金ー国内設備投資>0)を外国への進出のために外国に持ち出したことを意味しており、もしそのための円売り・外貨買い(ドル買いなど)をしたのであれば、円安の一要因となった
  • 藻谷浩介『金融緩和の罠』の所説とケインズ・ハロッドの議論 3

    いよいよ、ケインズとハロッドが問題とし、最近藻谷氏が議論してきた人口静止または減少の「経済的帰結」について紹介します。 まずケインズですが、講演「人口減少の若干の経済的帰結」(1937年)では、今風にいうと過去の出生数の変化から「生産年齢人口」が将来減少するだろうと予測します。そのときに何が生じるのか、また問題となるのかですが、それを論じるためには、過去の実態を知ることが必要になります。 ケインズによれば、資主義経済が生まれてから当時までのイギリスで、人口は毎年平均1パーセントの率で増加してきました。また一人あたりの所得は毎年平均1パーセント増加してきました。つまりイギリス全体では毎年2%の所得増加があったことになります。この2%の所得増加を実現するためには、投資によってが必要であり、それによって資装備の総量も(ラフにいって)毎年2%増加することが必要でした。(ここでは資装備の総量が

    gruza03
    gruza03 2015/07/09
    日本企業は、利潤・貯蓄(投資資金)を拡大するためにリストラと賃金圧縮を行なってきました。しかし、その結果、消費が抑制され、投資需要も停滞したことはよく知られています
  • 緊急にギリシャ危機について

    マスコミがギリシャ危機を論じるとき、しばしばギリシャ人の「怠惰」、「身の丈にあった生活をしていない」こと、「放漫財政」のせいにします。 しかし、これはまったくの誤った俗説にすぎません。 当のところは、どうでしょうか? もし上に挙げた「怠惰」などが債務危機の理由ならば、なぜ2009年頃になって突然生じたのでしょうか? 思考力のある人なら、ちょっと考えるだけでおかしいと思うはず。 論より証拠、実際の統計とニュース情報を紹介して、真相を示したいと思います。 1)債務危機は、ギリシャがユーロ圏に参加し、ドイツ等の銀行から巨額の融資を受けるところから始まりました。 下の図は、ヨーロッパ委員会(EC)の統計データから作成したものです。純借入なので、返済等は差し引いてあります。1997年以降、借入額が激増していますが、その際、2007年頃までの借入主体は基的に民間部門(企業、家計)です。 巨額の資金

    緊急にギリシャ危機について
    gruza03
    gruza03 2015/07/08
    金融化は、人々(企業、家計、政府部門)が負債を増やす装置を創り出しては、キャピタル・ゲインを得るというしくみです。その中にギリシャが巻き込まれたにすぎません。
  • 藻谷浩介『金融緩和の罠』の所説とケインズ・ハロッドの議論 2

    2回目です。 ここまでの説明で、有効需要が如何に重要であるか、また日経済が有効需要の不足から如何に深刻な病にかかっているかが、よく分かるはずです。くりかえすと、1997年頃をピークに日の生産年齢人口が低下しはじめ、その時に賃金率(実質と貨幣の両方)が低下し、賃金からの消費支出が激減してきたという現実をわすれてはなりません。。(これは以前述べたことの繰り返しになりますので、統計は省略します。) この現実に対して、投資率、特に純投資率が低下したことを理由に、生産性の停滞を日経済の低迷の根理由と考える人がいます。確かに純投資率(I/Y)が低下していることは否定できません。しかし、そもそも企業が投資を行なうのは、特に消費財を生産する企業が投資を行なうのは、将来消費需要が拡大するという予測(期待)が成立するときであり、結局、その判断基準は現在の消費需要の状態です。もし期待が楽観的ならば、資

    gruza03
    gruza03 2015/07/08
    やはり(もし成長が必要ならば)成長にとって最も大切なのは消費需要ということになります。(日本の現在の粗投資と内部資金の状態については、前のブログで説明しました。)
  • 藻谷浩介『金融緩和の罠』の所説とケインズ・ハロッドの議論

    今日は、私の講義(現代政治経済学)を聴講している学生を念頭におきながら、昔、ケインズとハロッドが問題とした「人口減少の経済的帰結」について、少し理論的な話をしておきたいと思います。 ケインズの講演「人口減少の若干の経済的帰結」(1937年) ハロッド『動態経済学』(1947年) 当時のハロッドとケインズの間でやり取りされた書簡を見ても、二人が人口の変化について関心を抱いていたことがわかります。 当然でしょう。人口は、経済にとって最も重要な労働力(就業者人口)に密接に関係しているのですから。また人口(労働力)は、賃金所得の取得者であり、賃金からの消費は有効需要のうち最も大きな項目です。 人口P → 労働力L → 賃金所得W → 賃金からの消費CL 1)生産能力 さて、人は労働することによってモノを生産しますが、そのとき労働手段(資装備)を用います。ここでは、一人の労働者が一定期間(とりあえ

    gruza03
    gruza03 2015/07/08
    賃金からの消費性向はかなり高いのに対して、利潤からの消費性向はかなり低くなります。したがって過小消費、あるいは過剰生産の問題が生じる危険性が高くなります。