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ブックマーク / www.rieti.go.jp (28)

  • RIETI - 社会保険料負担は企業の投資を抑制したのか? -個票データを用いた設備・研究開発・対外直接投資の実証分析-

    社会保険料負担の増加は、日国内の投資を阻害し、空洞化を促進しているのではないかとの指摘があるが、それを実証的に分析した研究は、国内外を問わず非常に乏しい。稿では、社会保険料データと企業データをマッチングさせた個票データを用いて、企業の社会保険料負担が、設備・研究開発・対外直接投資にどのような影響を与えているかを実証的に分析した。分析の結果、社会保険料負担の増加は、(1)企業の国内投資を一定程度抑制させた可能性がある、(2)研究開発投資には大きな影響は与えていない、(3)海外進出を行うかどうかの意思決定には影響を与えていないものの、既に海外進出を行っている企業の対外直接投資を増加させた可能性がある、といった結果が得られた。

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    gruza03 2016/02/18
    法人税や所得税、社会保険料負担の増加は経済活力に悪影響を与える可能性が高く、消費税や固定資産税はそうした懸念は低いと考えられる。
  • RIETI - 法人税減税の政策効果 ―小国開放経済型DSGEモデルによるシミュレーション分析

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 社会保障・税財政プログラム (第三期:2011~2015年度) 「財政再建策のコストとベネフィット」プロジェクト 1.研究で用いたモデルの特徴 いわゆるアベノミクス「3の矢」と呼ばれる政府の経済政策の第3に「民間投資を喚起する成長戦略」が掲げられている。規制改革などさまざまな方策が提示されているなか、より直接的な効果の期待できる法人税減税に注目が集まっている。研究では、動学的・確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equili

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    gruza03 2015/07/19
    法人税減税と消費税増税を組み合わせた税制変更には、短期的な成長率と物価の上昇という政策効果があることを示唆している。
  • RIETI - 世界金融危機後の我が国製造業の輸出動向:事業所データによる分析

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 特定研究 (第三期:2011~2015年度) 「我が国の貿易構造の変化と企業の国際化活動に関する調査研究」プロジェクト 輸出の急減とミクロレベルの輸出行動世界金融危機が発生した2008年以降、日の輸出は大幅に減少した(急激な下落から少し持ち直した2010年時点でも、輸出額はピーク時の2008年から14.41%も下落している)。このように大幅に輸出が減少する局面において、個別の企業・事業所はどのような輸出行動を取っているのであろうか。 海外の先行研究では、輸出を新たに開

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    gruza03 2015/07/14
    輸出撤退企業・事業所が多ければ2010年以降の日本の輸出の伸び悩みの一因とも考えられる。
  • RIETI - 所得補償制度におけるトレードオフ―多次元スキルの職業選択モデルを用いて

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 貿易投資プログラム (第三期:2011~2015年度) 「複雑化するグローバリゼーションのもとでの貿易・産業政策の分析」プロジェクト 論文の目的 論文の目的は、貿易自由化後の補償制度を制定する上で政府が直面する政策的なトレードオフについて、個別の経済主体が多次元スキルを保有しているような経済状況を表す理論モデルを用いて解明することである。 たとえば、TPP交渉などで、なぜ貿易自由化はスムーズに進まないのだろうか? 貿易自由化は経済(社会)全体にとっては利益をもたらす

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    gruza03 2015/07/14
    関税撤廃などの自由化を補償制度をアナウンスしないで突然行う場合には、事後的な補償制度においてパレート改善を目指すならば、過剰補償が避けられなくなる。
  • RIETI - 性急な金融引き締め:2007年に景気減速局面へ

    日は次の5つにテーマに絞って議論を進めていきたいと思います。(1)日経済が2007年減速すると考える根拠。(2)量的緩和解除の影響。(3)世界金利の成立が持つインプリケーション。(4)日の潜在成長率。(5)団塊世代の退職がもたらすマクロ的影響。 日経済は次の3つの理由で2007年1~3月期に減速し始めると予想しています。1つは、設備投資需要の一巡感が出やすくなるため。次に、量的緩和解除の衝撃波が2007年に集中して表面化可能性があるため。3つ目に、グローバルな景気が減速するため。これら3つの要因の減速への寄与率は、それぞれ30%、50%、20%程度になると考えています。 景気の下降局面を、深度や継続期間の観点から、「踊り場」、「減速」、「景気後退」の3つに分けるのがわかりやすいと思います。最もモデレートな減速が「踊り場」で、サイクルは2~3四半期、生産は横ばいくらいだと思います。こ

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    gruza03 2014/11/16
    「今年の消費を来年に先送りしよう」という誘因になります。日本ではM1のような流動性金融資産の変動が、消費に影響を与えます。/再分配政策(給付金)→現預金増→消費減→俺達の再分配政策凄い
  • https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fukao/09.html  賃金上昇の条件 生産性向上のみでは困難 深尾 京司 ファカルティフェロー

    安倍晋三政権は賃金上昇を目指し経済界へ積極的に働きかけている。生産性の動向から見て賃金上昇は可能なのだろうか。可能とすれば何が必要なのだろうか。 一国全体の労働生産性は、労働時間当たりどれだけ実質国内総生産(GDP)が生産されるかで計測される。労働時間当たり実質GDP(例えば1時間5000円)のうち、時間当たり実質労働コスト分(例えば1時間3000円)が労働に分配される。したがって単純化して言えば、実質賃金の上昇率が労働生産性の上昇率を上回ると、労働分配率(上の例では60%)が上昇していくことになる。 労働分配率の上昇が続けば、資収益率が下落し設備投資が減退するから、そのような賃金上昇は持続できない。これが賃金上昇を考えるにあたって労働生産性の動向に注目する主な理由である。 ◆◆◆ 表の上段には、1970~2011年をおおよそ10年ごとに区切って、日経済全体の時間当たり労働コスト(企業

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    gruza03 2014/06/22
    実質賃金率の上昇は、労働生産性の上昇、GDPデフレーター/消費者物価の上昇、および労働分配率の上昇の和にほぼ等しいことが分かる。
  • RIETI - 輸出の高度化と為替レート弾力性:スイスのケース

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 国際マクロプログラム (第三期:2011~2015年度) 「East Asian Production Networks, Trade, Exchange Rates, and Global Imbalances」プロジェクト 2011年春、ユーロ危機の深刻化と資金の安全な避難場所としてのスイスへの資流入に伴い、スイスフランの為替レートは上昇を始めた。この結果、同年9月には、スイス国立銀行(中央銀行)が、強いスイスフランが同国においてデフレリスクを増大させていること、

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    gruza03 2014/06/19
    資産の安全な避難場所としての日本への大規模な資本流入が円の過剰評価を引き起こす際には、日本もスイスにならって円を減価させることを考慮するべきであろう。
  • RIETI - 人口減少社会における経済・社会政策

    わが国は格的な人口減少社会を迎えようとしている。人口減少が生じたメカニズムを示し、総人口・高齢化に関する将来推計やシミュレーションを紹介しながら、まずは今後の人口動向を概観する。次いで、人口減少や高齢化の進展が経済成長や財政・社会保障、さらには社会生活などに及ぼす影響を整理した後、解決すべき課題等を明らかにする。さらに、これらの課題に対応するために必要な経済・社会政策のメニューを提示するとともに、その実現可能性について議論を行う。 わが国の総人口と人口増加率の推移をみると、ちょうど人口のピークに差し掛かるときに我々はいることになります。2010年の総人口は1億2806万人でしたが、それ以降は年25万~27万人ずつ減少し、速報では、2013年8月の総人口は1億2731万人と減少が続いています。 このような人口減少の要因として、出生率の低下が挙げられます。1967年までは合計特殊出生率は置換

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    gruza03 2013/12/30
    社会保障支出の増加は経済成長に負の影響を及ぼし、財政収支についても赤字化の要因となります。 しかし社会保障制度は不可欠な社会システムであり、単純に削減すればいいというものではありません。
  • RIETI - 税収の将来推計

    財政再建を考える際に、税収の将来予測の数字は重要な参考資料となる。政府による税収予測は、外生的に与えられた成長率のもとで、税収弾性値を1.1 に想定することでおこなわれてきた。この税収弾性値1.1 という値は、過去の税収とGDP の関係から想定されたものとされている。稿の目的は、この税収弾性値の想定の妥当性を検証し、より正確な税収予測の方法を検討することである。そのため、稿では、国税および地方税の主要な税目について、過去の税収構造を利用した税収関数の推計をおこなった。税収関数を推計するにあたっては、それぞれの税目の課税ベースないしその代理変数、税率等の税制変数を説明変数に採用した。ただし、所得税・個人住民税に関しては、基準年次の所得分布と税収構造を利用したシミュレーション・モデルによる予測結果を利用した。稿でのシミュレーションの結果、総税収の税収弾性値は、1.07、国税については1.

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    gruza03 2013/11/24
    従来政府がおこなってきた、税収弾性値1.1 という仮定での長期の税収予測は、税収全体に関しては本稿での推計とそれほどの違いは生じないが、国税については過小推計、地方税については過大推計となることがわかった
  • 特別コラム「「社会保障予算のハード化」に関する議論再開がカギ-次の25年を見据えた「改革」推進を-」

    新春特別コラム:2013年の日経済を読む 「社会保障予算のハード化」に関する議論再開がカギ -次の25年を見据えた「改革」推進を- 西暦2013年は平成25年――「平成」という年号がスタートしてから、丁度、四半世紀になる節目の年である。この間、日経済はバブル崩壊、不良債権問題と金融システム危機、リーマンショックと欧州債務危機という問題に直面しつつ、何とか対応してきた。 しかし、成長率の低下とデフレ、原発とエネルギー問題、少子高齢化の進展に伴う社会保障費と政府債務(対GDP)の急増、という問題は未解決のままである。 新政権の枠組みも固まり、これから徐々に新しい政策が打ち出されていくことが予想されるが、節目の今年こそ、日経済の転換点となることを期待したい。 転換点という意味では、短期的な視野にとらわれることなく、次の25年をどう見据えるかという視点も重要である。その際、とくに重要となるの

    特別コラム「「社会保障予算のハード化」に関する議論再開がカギ-次の25年を見据えた「改革」推進を-」
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    gruza03 2013/01/01
    社会保障財源を捻出するために、他の予算を半ば強制的に削減対象とすることもなくなる。社会保障のために別の財源を犠牲にすることがなくなるので、予算(例:研究・開発投資)編成できるようになる。
  • RIETI - 生物多様性と生態系サービスの経済分析Economics of Biodiversity and Ecosystems

    要旨:COP10において「2020年までに回復力のある生態系とその基礎的なサービスが継続的に提供されるように、生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施する」ことを趣旨とする新戦略計画・愛知目標が採択された。今後、どのように生物多様性及び生態系サービスの価値とその経済的評価、生物多様性オフセット制度、生態系サービスへの支払いなどの経済的手法の導入が用いられるべきかについて分析する。 Abstract: COP10 provides an innovative approach to conserving and protecting the world's rapidly diminishing living resources, while providing benefits to all, in particular, local communities in deve

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    gruza03 2012/03/25
    所得が低いときは高いときより、得られる幸福感が大きいという示唆が得られた。つまり、所得が低いうちは環境保護への貢献が大きな幸福感となって表れるが、所得が高まるにつれて得られる幸福感は相対的に低くなる
  • コラム「100万円玉、1兆円玉で、デフレ克服、円高是正は可能か?」

    「100万円玉」を1億2000万枚鋳造して、全国民に1枚ずつ給付する。あるいは、「1兆円玉」を20枚鋳造して、景気対策の財源に充てる。荒唐無稽に聞こえるが、マネーとは何か、デフレ対策とは何かを考える上で、意味のある思考実験である。結論から言えば、中央銀行が健全な金融政策から逸脱しないのであれば、100万円玉や1兆円玉は、日経済をデフレから救える数少ない強力な手段である。 バブル後の日経済の長期低迷は、失われた10年、20年などと表現される。しかし資産バブルが崩壊しても、実際には日のマクロ実物経済は何も失っていない。国土の評価額は3分の1に減ったかもしれないが、38万平方キロメートルの国土面積は全く減っていない。ストックの評価額が変わったからといって、フローの実質GDPやその成長率が長期にわたって低迷する必然性はない(脚注1)。 日経済の問題は、バブル崩壊後長期間にわたって、物価が下

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    gruza03 2010/09/01
    デフレは経済成長の芽を摘む/ヘリコプターマネー/健全な中央銀行によるデフレ克服の限界/100円玉と1万円札の違い/1兆円玉による景気対策/政府の債務も増えず、日本銀行の財務の健全性も保たれたまま
  • RIETI - 地域経済循環による自立と格差の解消を目指して

    国民経済は多くの地域経済から成り立っているので、各地域が活性化すれば自ずと国全体の成長力が高まることにつながる。閉塞感の漂う今こそ、新しい「地域経済の成長戦略」が実行されるときである。このとき、東京都も1つの地域経済を構成している。これまでは、東京都あるいは首都圏経済が日経済を牽引し、多くの地方経済はその恩恵を間接的に受けてきた。(*1)つまり、首都圏経済が成長することで生み出される税収により引き起こされる地域間格差を是正するために、公共事業を地方に傾斜配分し工場を地方に分散してきたのである。 成長は英語でgrowthであり、発展はdevelopmentである。前者は人口や生産額など量的な側面での伸びを指すことが多いのに対して、後者は、sustainable development のように、自立性を含んだ成長の質的ニュアンスがある。したがって、財政移転からの公共事業や企業誘致に依存しす

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    gruza03 2010/03/26
    発展なき成長
  • RIETI - 「農地消滅」救世主は米価引き下げと直接支払い

    副業農家を増やし主業農家の衰退を招いた過去の農政。農業を立て直すには、コメの価格をさらに下げ、農地が主業農家に集中するシステムを作り出すことだ。 戦前から農政には小作人の解放と並んで零細農業構造の改善という目標があった。 農商務省に勤務した日民俗学の巨人、柳田國男は、企業として経営できるだけの農業規模をもつ農業者の養成を論じた。 柳田氏は言う。 「日は農国なりとは、農業の繁栄する国という意味ならしめよ。困窮する過小農の充満する国という意味ならしむなかれ」 コメへの生産集中で麦は減少1961年制定の旧農業基法は、農業の規模拡大によるコストダウンによって零細農業構造を改革し農工間の所得格差是正を図ることを目的とした。所得は売上額(価格×生産量)からコストを引いたものだ。コメのように需要、売上額の伸びが期待できない作物でも、農場の規模を拡大していけば、コストは低下し農家所得は増加するはずだ

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    gruza03 2010/01/22
    本来「一所懸命」な国民性、「大地との絆」を「一生懸命」なリベラル的感覚への置換されて「自らの存在する場」を変化させられたことによる部分もあるように見ているけど、都市リベラル感覚から唾棄されるのだろう。
  • RIETI - NPOは公共サービスを担えるか

    特定非営利活動促進法(NPO法) が施行された1998年からの10年の間に、主務官庁のないNPO法人の数は3万5000に増えました。しかしこうした非伝統的NPO法人の財政規模は、社団法人・財団法人などの伝統的NPO法人と比べ非常に小さいのが実態です。 今後5~10年の間に外郭団体がなくなっていく点ははっきりとしています。サードセクター(協同組合、共済組合、社会的企業を含む非営利型民間組織) の間では、伝統的NPO法人か非伝統的NPO法人かに関わりなく、競争で一番適切なところに公的資金・公的事業が流れる仕組みとなっていくことが予想されます。 英国では公的資金のアカウンタビリティを高める観点から、「補助から契約へ」の転換が行われています。日でも今後は、NPOの財源で補助金が占める割合は少なくなり、公的事業の実施委託が増え、同時に、企業が公益的事業を採算ベースで行っていくようになると考えていま

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    gruza03 2009/12/19
  • RIETI - 民主党改革-業界への影響農業

    民主党による農家への戸別所得補償政策が農業にどんな結果をもたらすか。201X年の事業仕分け会議の形を借りて、予想してみた。 仕分け人A 農家への戸別所得補償政策関連の予算が予想を上回って増加しているようですが、説明してください。 農水省 コメについては、減反を進めていますが、高齢化や人口減少で消費量が減っているので、毎年米価が下がっています。米価が下がっても生産費との差を戸別所得補償として交付します。2009年では約3400億円と見込んでいましたが、これまで米価が1割下がったので5000億円に増加しました。減反補助金の水田利活用自給力向上事業では、麦や大豆を作付けた場合には10アール当たり3万5000円ですが、米粉や餌米などにはこれらの用途向け米価が低いので8万円を交付することにしたため、減反農家のほとんどが麦や大豆よりも米粉や餌米用にコメを作付けしました。このため、当初見込みの2000億

  • RIETI - 高齢化社会の新しい経済学に向けた多面的実態調査-Japanese Study of Aging and Retirement (JSTAR) 第一回分からの報告

    くらしや健康状態が人それぞれ違うように、社会保障の役割や必要性も人それぞれに異なっている。また、急速な高齢化社会や多様化する生活環境に対応するためには、年金・医療・介護・雇用などの個別制度ごとではなく、安心して生活できるしくみとして社会保障全体の役割を考える必要がある。こうした問題意識のもと、RIETIは、一橋大学、東京大学と共同して日で初めて「どのような環境の人がどのような社会保障を必要としているか」を考えるための『くらしと健康の調査(JSTAR)』を実施している。50歳から75歳までを対象に、健康状態・経済状況・家族構成・就業状況・社会参加など、多面的なデータ収集を継続的に行う調査の背景、内容と第1回調査から得られた結果を市村 英彦ファカルティフェロー・清水谷 諭コンサルティングフェローが報告した。 市村 英彦: 高齢化が進む中、先進国では年金、医療、介護、高齢者雇用などに関する政

  • RIETI - 農協があるから農政改革ができない

    EUは1993年に大農政改革を行い、穀物の支持価格を29%引き下げ、財政による直接支払いで農家所得を補償するという政策に転換した。これによってEUの小麦価格はアメリカのシカゴ相場をも下回るようになり、EU産穀物の国際競争力は飛躍的に増加した。その後も、これまで政治的に手のつけられなかった砂糖、乳製品など主要な農産物について、価格支持から直接支払いへという改革を着実に実施している。EUは加盟国が27カ国にものぼり、合意形成は相当困難であると思われるのにもかかわらず、なぜEUでは農政改革が進み、日では進まないのだろうか。 それはEUになくて日にあるものがあるからである。それはJA農協(以下単に農協という)という存在である。農協にとっては米価が高いとコメの販売手数料収入が高くなるうえ、農家に肥料、農薬や農業機械を高く売れる。つまり、農協の収益が高い価格維持とリンクしているのである。このように

  • RIETI - 主業農家支援へ農政の転換図れ

    1960年から2005年まで、GDPに占める農業生産は9%から1%へ、農業就業人口は1196万人から252万人へ、総就業人口に占める農業就業人口の割合は27%から4%へ、農家戸数は606万戸から285万戸へ、料自給率は79%から40%へ、いずれも減少した。料安全保障に不可欠な農地も609万ヘクタールから463万ヘクタールへ大きく減少した。他方、兼業所得の比重の多い第2種兼業農家は32.1%から61.7%へ、65歳以上の高齢農業者は1割から6割へと大きく増加した。 フランスでは、農家戸数は大きく減少したものの、耕地面積の減少はわずかであったため、農家の経営規模は拡大した。我が国で増えている数字は、フランスではパート・タイム・ファーマーといわれる兼業農家のシェアと高齢農家の比率だ。 06年の農業総産出額は8.5兆円である。これはパナソニック1社の売上額約9.1兆円にも及ばない。06年の農業

  • RIETI - 日本の経済成長戦略 -経済成長論と企業レベルの実証分析の含意-

    成長には「人」の知恵が何よりも重要である――。その観点から、日は企業のグローバル化の推進と少子化阻止の2つの戦略についてお話したいと思います。 日経済の実態ですが、日の1人当たりGDP(ドル、購買力調整済み)は、バブル期でも米国を上回ることはなく、1990年代初めにはシンガポールに抜かれ、今では台湾に追いつかれそうになっています。1人当たりGDPの成長率は、高度成長期といわれる1970年辺りから急減速しています。特に1990年代以降は米国との差が拡大する一方となり、今では1968~70年頃と同等のレベルにまで広がっています。驚異的な成長を遂げた1960年代と比べて、1970年からの40年間の平均成長率はシンガポールや台湾と比べてかなり停滞しています。 さらに今回の世界経済危機では、先進国の中で特に日が打撃を受けています。その理由の1つが輸出の急減であることは否定しませんが、輸出依存