慶應義塾大学経済学部教授 昨年、ギリシャの財政危機が顕在化して以降、わが国の財政状況をめぐり様々な見方が飛び交っている。日本はギリシャよりも多く政府債務を抱えている上に、今後高齢化で社会保障費の増大が見込まれ、消費税を増税するなど財政健全化を真剣に取り組まないと日本でもギリシャのような財政危機が顕在化する、とする見方がある。他方、日本はギリシャよりも多く政府債務を抱えているが、ほとんどが国内で消化されているからギリシャのようにはならないので、財政危機をあおるのは増税したがる一派の陰謀で、無駄な財政支出を削減したり「霞が関埋蔵金」を取り崩せば増税は不要だ、とする見方もある。 どうやら、財政危機についての議論は、極論が横行し、冷静な議論が欠けているように思う。 結論から言えば、問題なのは、日本がギリシャのようになるかならないか、財政破綻するかしないか、なのではなく、(誰から見ても金額として巨額
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