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ブックマーク / yasuyuki-iida.hatenablog.com (10)

  • 「小野理論」批判のよくある誤解 - 2010-08-12 - こら!たまには研究しろ!!

    今日は話が長いので要点 小野先生の主張を批判している人の90%は小野先生の論文をまともに読んでいないし,残りの9%の人もロジックを誤解している 小野先生の今次の主張は小野モデルに依拠している.批判はモデルの論理or実証的妥当性に対して行うべし [追記:fromdusktildawnさんのブクマコメントによる] 「増税も福祉も再分配も便益ある公共事業も必要条件にはしていないってことか。で、まるでそれを必要条件であるかのように言って我田引水する人たちが大勢いると。」要するにそういうこと.労働市場のギャップ解消がメイン.あとのいろいろは「これがあったらもっといい」というオプション.ところがメディアではオプションの方が受けるし.人の記述も,一般誌に書き慣れていないせいだと思う,時々紛らわしいものになっていたのが小野先生の不幸の始まりかと. ここからが編だよ 小野善康先生といえば,菅首相のブレー

    「小野理論」批判のよくある誤解 - 2010-08-12 - こら!たまには研究しろ!!
  • 潜在成長率とインフレ・デフレ - こら!たまには研究しろ!!

    twitterでのつぶやきに池田信夫さんと岩康志さんがコメントを寄せているので,返答をば. ニューケインジアンIS曲線の話 まずは池田さんのニューケインジアンモデル云々のお話.ここで池田さんは, ニューケインジアン理論では、 GDPギャップ=α(自然利子率−金利)+需要ショック で決まり(αは定数)、物価上昇率はGDPギャップの増加関数だからである と言っています.これニューケインジアンモデルのIS曲線です.ものすごく要約すると実質金利から需要が決まり,GDPギャップが決まるっていう関係式.そして「生産性とインフレ率」の話をするのになんでこの式が出てくるのかわかりませんがそれはこの際おいといて. NK-IS曲線は連立差分方程式で表現されるニューケインジアンモデル内のひとつの式なので,それだけを取り出して論じるのはまずい*1んですが,とりあえずこの式の示す変数間関係を整理しましょう. 今の

    潜在成長率とインフレ・デフレ - こら!たまには研究しろ!!
  • 長期フィリップス曲線は垂直ではない!? - こら!たまには研究しろ!!

    昨日紹介したIMFのペーパーに対するクルーグマンの感想.ブランシャールの話では手ぬるい! だって長期にもフィリップス曲線垂直じゃないもん!というエントリ.インフレが相対価格調整を容易にすると言うのは重要な論点.次はAkerlof, Dickens, and Perry紹介せんといかんね. 抄訳を載せようと思ったら,まとめるのめんどくさくてほぼ全訳になっちゃった…….強調は飯田による. The Case For Higher Inflation ↑元の記事はこちら オリヴィエ・ブランシャール(MIT教授,IMFチーフエコノミスト)は興味深く,重要な論文を公表した.同論文では経済危機がマクロ経済政策の分析をどう変容させたか,そして危機によってマクロ経済学はどう変わるべきかを述べている.中でも最も驚くべき結論は「各国中央銀行は目標インフレ率をあまりにも低く設定しすぎていた」という点であろう. ブ

    長期フィリップス曲線は垂直ではない!? - こら!たまには研究しろ!!
  • 勝手な解釈より本人の説明 - こら!たまには研究しろ!!

    各所で話題になっているBlanchardらの"Rethinking Macroeconomic Policy"ですが,ごくごく一部を切り抜いて勝手な解釈を加えるよりも,人の説明を読みましょう.というわけで,Blanchard人の会見の様子. IMF Explores Contours of Future Macroeconomic Policy インタビュアー(IMF Survey online:以下I):なぜあなたは今,新しいマクロ経済政策のフレームを紹介しようとするこの論文を発表したのですか. Blanchard:危機が徐々に落ち着きつつある今,マクロ経済のコントロールに関する我々の知識を再評価すべき時が来た.マクロ経済学者と政策担当者は80年代前半からの着実な景気循環の安定化傾向を高く評し,我々はマクロ経済のコントロール方法を会得したのだといいたい誘惑に駆られる.そして私たちはこ

    勝手な解釈より本人の説明 - こら!たまには研究しろ!!
    guerrillaichigo
    guerrillaichigo 2010/02/15
    Blanchard
  • 潜在成長率と景気対策の余地 - こら!たまには研究しろ!!

    予告では早速「インフレの作り方」に移る予定でしたが,その前にちょっと間奏曲を入れてみましょう*1. リフレ寄りの人,批判的な人双方に共通してみられる問題点があると思います.それが「潜在成長率の向上」と「安定化政策」をまるで対立するものかのように論じがちなところです.昨日のエントリでもお話ししたように,安定化政策の成功は政治的にも,データの面で見ても潜在成長率向上に資するのです.そして,安定的な成長を遂げる経済,均衡実質利子率がある程度高い経済では安定化政策も容易になるでしょう*2. 現在の日では労働力・資の遊休が発生しています.要はデフレギャップです.現在の日においてはこの「ギャップを埋める」だけでも経済状態の改善が可能なのです.つまりは今使われていない潜在力を発揮するだけでけっこう成長出来てしまうと言うわけ.潜在的な能力の向上も大切だけど,こういう実力を出し切っていない部分も活用し

    潜在成長率と景気対策の余地 - こら!たまには研究しろ!!
    guerrillaichigo
    guerrillaichigo 2009/11/15
    デフレ環境下では構造調整はちっとも進まない。みな必死で既得権を守ろうとするからね。
  • インフレの起こし方 - こら!たまには研究しろ!!

    さて,途中ちょっとしたブレイクを挟みましたが,題の「インフレはどうやって起こすの?」に行きましょう. まず,未来永劫にデフレギャップがあって景気は悪く,物価下落は継続の経済というのはありません*1.というよりも長い期間*2需要不足による不況が続くと,倒産による関係特殊的人的資が毀損し,資金不足によって研究開発投資も,労働者のOJTもすすみませんから潜在成長率が低下し……いつかはデフレギャップは一応はなくなるでしょう*3. ポイントは将来のインフレ/好況 企業にとっての問題は外生的に起きたショックに対して起きる景気の拡大がどの程度のものなのかという点につきます.将来の好況がかなりのもので,それにのっかればしっかりと儲かるならば,たとえ現時点で不況だとしても人とモノに投資をする気になるでしょう. これはインフレ率についても同じコトです.財の価格の上昇が比較的長期間にわたる,そして将来の資産

    インフレの起こし方 - こら!たまには研究しろ!!
  • [economics]なぜみな円高が好きなのか 2009-10-09 - こら!たまには研究しろ!!

    講演等のイベントでの質疑で必ず出るのが「なぜ円高がよいという人がいるのですか?」という質問です.僕も理解できないのでいくつかの仮説(というか想像)を答えてお茶を濁すのですが……なんでなんでしょう.下記の討論のこともあり,ちょっと円高論への反論を考えるために円高論そのものについて考えていたんですが,どうもわからない. 最近よく耳にするのが円高で内需拡大という意見です.しかし,はっきり言って何を言っているのか分かりません.なぜ円高で海外製品が安くなると国内製品への需要が増えるのでしょう.さらに円高は雇用の海外流出を促進します.なぜ雇用が減少すると消費が拡大するのでしょう,なぜ工場が海外移転して投資が増えるのでしょう.謎でなりません.もしかして……内需拡大時に円高になるという因果を逆に理解してしまっている!? 円高待望論が存在する理由として他にはどんなものがありますでしょうか? ご存じの意見があ

    [economics]なぜみな円高が好きなのか 2009-10-09 - こら!たまには研究しろ!!
    guerrillaichigo
    guerrillaichigo 2009/10/11
    為替レートが影響するのは輸出だけではなく、グローバル経済では輸入や海外のサービスと競合する業界(つまり日本のかなりの部分)にも影響することが知られていないのではないか?
  • 2009-05-31 - こら!たまには研究しろ!! #コメント インタゲ2009/06/11 12:14 狭義のインタゲ派と広義のインタゲ派 狭義のインタゲ派の基本主張: (「中銀がインフレ率をコントロ

    クルーグマンのTV出演がyoutubeに落ちてました!#1と#2は戸越銀座で遊んでいるだけなんですが,冒頭のベビーシッターモデルの説明は思ったよりまとも.編は#3と#4の与謝野大臣と吉川先生との対談です. 定額給付金については割戻減税のようなものと理解しているのかもしれません.流動性制約家計が多いと思われる*1納税をしていない家計にも届くように無条件でまいていると言ったら評価は変わったのかなぁ.クルーグマンの重点は財政政策のようですが,いわゆる中立命題*2は支持しているように感じます. にもかかわらず財政支出政策には積極的.どんなモデルが頭の中にあるのだろう.先月の『Voice』では「ホームタウンである伝統的ケインズ主義への回帰」みたいに書きましたが,(減税と財政支出を区別しているところから見ると)どうもそうではないのかもしれない.Krugmanの頭の中にはインフォーマルにはモデルが組み

    2009-05-31 - こら!たまには研究しろ!! #コメント インタゲ2009/06/11 12:14 狭義のインタゲ派と広義のインタゲ派 狭義のインタゲ派の基本主張: (「中銀がインフレ率をコントロ
    guerrillaichigo
    guerrillaichigo 2009/05/31
    世論がインフレの重要性を理解しない限り,日本銀行が積極的なインフレ政策を推進することはないかもしれない.エンジンを止めている「たった一つの異物」が「世論」だとしたら景気回復の前にはとんでもない怪物が!
  • 自己責任論批判の作法と戦略 - こら!たまには研究しろ!!

    まずは前置き……長いので読み飛ばしてくださっても結構です ミクロ・マクロと言ってもミクロ経済学とマクロ経済学ではございません.個別問題と全体のシステムのお話しについて.自己責任論批判を巡る論争を見る度に,今のままでは自己責任批判論は自己責任論を説得できないだろうなと感じてならないんです. 自己責任論……特にここ数年の流行としてはニート・フリーター・ワーキングプアは「そいつらの努力が足りないせいだ」なのか,「社会の問題」なのかの論争において両者の論争がどうもまとを外しているように思えてならない. あるX君が失業しているとしましょう.「もし」X君が「職を得られるよう」「社内で評価される」「待遇が悪い仕事でもがまんしてやってみる」ための努力をもっとしていたら「X君」が失業者になっていた可能性はずいぶん低いでしょう.その意味で,「X君が失業している」ことはX君の「自己責任」ではあります.その意味で

    自己責任論批判の作法と戦略 - こら!たまには研究しろ!!
  • 2009-02-02 経済成長ってなんなのよ?- こら!たまには研究しろ!!

    先日のエントリに関連して一番多かったコメントが「経済成長なんて出来るの」というものでした.そこで,経済成長についてちょっとしたメモを*1. まず,単に「経済成長」ではちょいと抽象的過ぎる.こいつにまずは取り扱いが容易な定義を与えましょう.経済成長とは「ある国の国民*2が経済的に豊かになっていくこと」です.経済的な豊かさは「国民がどれだけの財・サービスを購入できるor貯蓄できるか」できまる.ということはそれを計る指標は実質GDP(実質国民所得)ということになります*3. でも,ここで「待てよ」と思うかもしれない.「国民って何よ?」という疑問.「日国民って人」がいるわけじゃあないですよね.もう少し実感にあわせるなら「平均的国民の経済的な豊かさ」ってことになるでしょう.すると,実質GDPよりも一人当たり実質GDPが経済成長の定義としては優れている. こうまとめると,人口減少だから経済成長しない

    2009-02-02 経済成長ってなんなのよ?- こら!たまには研究しろ!!
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