虫系の本を読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、本書はその中でも群を抜いている。 サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマバッタに似ているのだが色は黒く、しばしば大発生して次々と農作物に破壊的な被害を及ぼす恐ろしい害虫なのだ。 そもそもバッタとは、ラテン語の「焼野原」を意味する言葉に語源を持つそうだ。バッタの卵は「時限爆弾」、農薬は「ケミカルウェポン」と呼ばれるくらい物騒な世界なのである。 人類とは長い付き合いがあり、聖書にも記述が残されているこの「黒い悪魔」。その最大の謎は、大発生の時に遅いかかってくる黒いバッタが、普段どこにいるのかということである。平和な時には忽然と姿を消しており、いっこうに見つからないのだ。
![『孤独なバッタが群れるとき』 新刊超速レビュー - HONZ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/846280b46a3e983a4929bdc5f3715deea5f077b8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41qfiZg%252BXHL.jpg)