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ブックマーク / honz.jp (4)

  • 『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

    先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこ 『子どもたちの階級闘争』を読んだ。素晴らしかった。 300ページで定価2592円って、どれだけ部数を絞ってるんだ? と最初腹立たしく思ったが、読んでみて、このクオリティだったらまったく惜しくない。 1996年にクールな英国に憧れて渡英した筆者は保育士だ。 託児所の日常が描かれるのだが、ここで凄いのは、その日常を子どもたちやその母親、そして保育士たちの世界のドラマで読ませつつ、英国の政治そのもの、のみならず世界のあちこちで起

    『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ
  • あやつられたのは人間?『欲望の植物誌』 - HONZ

    人間の欲望をあやつる植物。気がついたら植物の虜となり、子孫繁栄のための奴隷となる。なんて怪しい。一体どんな色、形なのだろう……。 なんてことはない。書の主役である4つの植物とは、リンゴ、チューリップ、マリファナ、そして、ジャガイモである。これらは人間が思うがままあやつりたくなるほど魅力的である。リンゴは甘ければ甘いほど良く、季節問わずべられるなら最高に嬉しい。しかしその結果、人間があやつられたと思うほど歴史文化に影響を及ぼした。その一部始終を「植物の目を通して」描こうというのが書である。 リンゴと「甘さ」、チューリップと「美」、マリファナと「陶酔」、ジャガイモと「管理」。これらの植物と人間の欲望のせめぎあいは、そのままヒトと自然界の複雑な関係に直結する。ヒトと植物の共生を問い直す書は、現在の社会において見過ごせない難問を提示する。その重要な問いかけが注目を集め、全米でベストセラー

    あやつられたのは人間?『欲望の植物誌』 - HONZ
  • 『孤独なバッタが群れるとき』 新刊超速レビュー - HONZ

    虫系のを読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、書はその中でも群を抜いている。 サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマバッタに似ているのだが色は黒く、しばしば大発生して次々と農作物に破壊的な被害を及ぼす恐ろしい害虫なのだ。 そもそもバッタとは、ラテン語の「焼野原」を意味する言葉に語源を持つそうだ。バッタの卵は「時限爆弾」、農薬は「ケミカルウェポン」と呼ばれるくらい物騒な世界なのである。 人類とは長い付き合いがあり、聖書にも記述が残されているこの「黒い悪魔」。その最大の謎は、大発生の時に遅いかかってくる黒いバッタが、普段どこにいるのかということである。平和な時には忽然と姿を消しており、いっこうに見つからないのだ。

    『孤独なバッタが群れるとき』 新刊超速レビュー - HONZ
  • 『大暴落 1929』 - HONZ

    1955 年初版のである。ガルブレイズ自身が1997年版のまえがきで「このが長寿を保っているのは、増刷され屋の店頭に並ぶたびに、バブルや株安など何事か起きるのだ。すると、このへの関心が高まる」と書いている。書は日経BPクラシックスの最新刊で9月29日初版なのなのだが、当にタイミングが良い。 日経クラシックスはフリードマンの『資主義と自由』、ドラッカーの『マネジメント』の4分冊とつづき書で6冊目だ。この出版企画には拍手を送りたい。次の1 冊も楽しみだ。ところで、このの訳者は村井章子という人で、この人の翻訳には面白いが多い。『コンテナ物語』、『金融工学者フィッシャー・ブラック』、『マッキンゼーをつくった男 マービン・バウアー』などだ。 さて、書は経済学者ガルブレイズの著書だが、仕立ては大暴落を時系列で追ったルポである。大暴落後の大恐慌についてのではない。終章の「原因と

    『大暴落 1929』 - HONZ
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