──ファッションの時代性ということで言えば、西村しのぶ先生の『サードガール(完全版)』(小池書院)に描かれているピンクハウスなど、リアルな流行を取り入れた漫画は今見ても新鮮ですよね。 T「今の時代は、ピンクハウスなど個性的な特定のブランドが流行るのではなく、ファストファッションなどで手軽におしゃれを楽しんでいますよね」 S「リアルなファッションを描くなら、ブランド物とは違った絶妙なチープ感を表現しないといけないですよね。このワンピースは6,980円くらいかな、とか」 T「そうですね(笑)。洋服は安くても、1点豪華主義でバッグはブランド物を持っているとか。安野先生はキャラクターに合わせて、これくらいの収入であればこのブランドといった、細かな設定を作っています。だからリアルで感情移入しやすい。漫画は所詮フィクションだからといって、ありえない設定にしてしまうと読者はついてこないのだと思います」