北海道新幹線の開業で日本中が沸いた3月26日、別の列車に手を振っていたエリアがある。三重県津市の美杉町と白山町を中心した一帯だ。このエリアは三浦しをんの小説「神去なあなあ日常」の舞台として知られ、清流と森林が広がる静かな山あいの町である。 同地区にとって唯一の鉄路であるJR名松線(松阪―伊勢奥津間)が2009年10月の台風18号で被災し、家城―伊勢奥津間が不通となっていた。被災から6年5カ月を経て復旧工事が完了し、ようやく運行開始となったのだ。9時35分、大勢の地域住民に祝福されながら、伊勢奥津からの一番列車が松阪に向けて出発した。 「北海道新幹線と比べたら規模は小さいが、私たちは胸を張っていい。名松線のほうが地域に愛されている鉄道であることは間違いない」。鈴木英敬・三重県知事が感無量の表情で言う。「地域に愛されている鉄道」という言葉にうそはない。名松線の復旧には鈴木知事がこう言い切るだけ
![JR東海が「不通路線」を復旧した本当の理由](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1a1f9f8c2c311f5402286ad355fd3ff6fb96dfed/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ftk.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fe%2Fb%2F1200w%2Fimg_ebac06658f5fba92cd14a86b67079c6d504568.jpg)