いじめの再生産システム 「タフ」の全能 ------------------------------------------------------------------ 内藤朝雄『いじめの構造』より 2-弱者にとっての「タフであること」 「体験加工」 ひどい理不尽に対してされるがままでいるしかない、無力でみじめな者は、この耐えがたい、生きがたい体験の意味を、それでも「生きうる」、さらには「生きるに値する」ものへと変造しがちである。このようなリアリティの変造を、本書では「体験加工」と呼ぶ。 皮肉なことに、多くの人々がこの体験加工を行うことの積み重ねが、当の耐えがたい現実を再生産する(メカニズムの主要な構成要素になる)ことがある。そういうとき、人々を苦しめる悲惨な現実は、いつまでも続く。 その顕著な例が、「タフ」の全能、「タフ」の倫理秩序といわれるものである。生きがたい小社会の「