Online ISSN : 2189-678X Print ISSN : 1343-1102 ISSN-L : 1343-1102
本論では,高等教育研究を参照してきた隣接分野の立場から,教育社会学研究としての高等教育研究について,今後の研究への問題提起と期待を提示する。本研究が提示する高等教育研究の隣接分野とは,主に,中等教育研究と社会階層・社会階級・社会移動研究(以下,略して,階層移動研究)である。 それらの隣接分野の視点から見た場合,高等教育研究にはいくつかの課題が指摘できるように思われる。第1は,「日本の」高等教育の選抜を理解するために,その本質的な部分に関する定義を見直す必要があるのではないかということである。第2は,日本の高等教育制度は,社会階層構造に対して,どのような制度的文脈を持っており,どのような機能を保持しているかを明らかにすることが求められているという点である。第3は,高等教育研究ならではの視点である「高等教育機関が行う研究」を社会学的対象として配置していくことが必要となるという点である。 以上の
本稿では,これまで高等教育進学率の地域間格差がどのように変化してきたのかを明らかにする。その地域間格差は,過去と比べて拡大してきたのか縮小してきたのか,それとも安定して推移してきたのか。こうした論点を検証することを通して,現在の地域間格差の状況を評価する。 先行研究を確認すると,1990年以降,高等教育進学率の地域間格差は拡大してきたという見方と,安定して推移してきたという見方が併存している。こうした見解の違いは,標準偏差と変動係数という,用いる格差指標の違いが関係している。しかし,両者ともに,進学率の格差指標としては適切さに欠ける。そこで本稿では,より妥当性が高い都道府県間相関比を格差指標として分析した。 分析の結果,⑴大学進学率では,男女計・男女別と都道府県別・地域ブロック別のすべての組み合わせで,地域間格差が1990年まで縮小したのち1990年以降は拡大していること,⑵大学に短大を加
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く