東京大学医科学研究所の山崎 聡 特任准教授(幹細胞生物学分野)を中心とした研究チーム(スタンフォード大学と理化学研究所との共同研究チーム)は、マウスの造血幹細胞(注1)を用いた研究から、細胞培養でウシ血清成分や精製アルブミン(注2)さらには組み換えアルブミンが造血幹細胞の安定的な未分化性を阻害していることを突き止めました。 しかし、アルブミンのようなタンパク質を培養液に加えないと、造血幹細胞の細胞分裂が誘導できないことが問題でした。 今回、本研究チームは“液体のり”の主成分であるポリビニルアルコール(PVA)(注3)という化学物質が血清成分やアルブミンの代わりになり、しかも血清成分やアルブミンと異なり造血幹細胞の未分化性を維持したまま数ヶ月培養可能であることを明らかにしました。1ヶ月間以上も造血幹細胞を未分化な状態で増幅培養できる報告は世界で初めてであり、本技術により、ドナーから1個の造血