18歳人口が横ばいの2027年までが生き残りをかけた最後のチャンス。 >>特集「私立大6割が定員割れ」はこちら 私立大学全体の6割が定員割れという状況は、自然な成り行きだと思う。大学に入学する18歳人口が減っているのに、大学の数や定員は逆に増えているからだ。これから18歳人口が横ばいで推移する「踊り場」の2027年までが、各大学の生き残りをかけたラストチャンスと言えるかもしれない。 文部科学省は、… 残り609文字(全文809文字)
(東京女子大学提供) 「女子大不要論」がまかり通る風潮に真っ向から異を唱えるのが、東京女子大学の森本あんり学長だ。その真意を聞いた。(聞き手=堀和世・教育ライター) >>特集「私立大6割が定員割れ」はこちら もりもと・あんり 1956年神奈川県生まれ、米プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D)国際基督教大学教授、同学務副学長を経て、2022年より現職。 私立大の中でも苦戦が伝えられるのが女子大だ。今年度から恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学が学生募集を停止した。両校がそろって理由に挙げたのが、近年の女子学生の「共学志向」だ。実際、共学化する女子大は増えている。学習院女子大学は2025年度から学生募集をやめ、翌26年度に学習院大学と統合する。 「一般論だが、共学化すれば生き延びられるという問題ではない。それぞれの大学がオファーするものが、明確かどうかが問われている。18歳人口の半分し
志願者や入学者が減る一方で、増える入学定員──。需給バランスを完全に失った私立大学は再編淘汰に突入する。 >>特集「私立大6割が定員割れ」はこちら 日本私立学校振興・共済事業団が行った2024年度の「入学志願動向」によると、入学定員に対する入学者数の割合を示す「入学定員充足率」は前年度比1.40ポイント減少し、98.19%となった。入学定員充足率が100%未満の大学(定員割れ)は同34校増加して354校となり、私立大学全体に占める未充足校の割合は同5.9ポイント上昇して、59.2%と6割に迫った(図)。少子化が進み大学に入学する18歳人口が減少、定員割れを起こす私立大学は増加傾向にある。各大学の定員削減や再編淘汰(とうた)が必至の情勢だ。 厳しい経営状況 24年度は志願者数、受験者数、合格者数、入学者数は前年度から減少したものの、入学定員は増加した。具体的には、入学者数は前年度から5869
未婚率の上昇には、経済成長率、地域の男女比率、雇用の安定などが影響しているが、まずは、将来に希望が持てる経済環境が必要だ。 福井、岐阜、島根に結婚しやすい環境 2023年の合計特殊出生率が1.2となり、出生数も72.7万人と過去最低を更新した。合計特殊出生率は有配偶率と有配偶出生率に分解することができるが、有配偶率の低下には「未婚率の上昇」が大きく影響しているといわれている。そこで、未婚率を決定する要因について先行研究や、データを通じてみていく。 50歳時点未婚率の推移をみると、1970年と80年では女性の方が男性よりも若干高いものの、いずれも5%未満と低い水準であった。90年では男性の方が高くなり、90年代には男性の未婚率が急激に上昇した。2000年代には女性の未婚率が急激に上昇して、20年には男性で28%、女性で18%となり、生涯未婚も珍しい現象ではなくなった。 未婚化の要因について、
岸田文雄首相を本部長とする「新しい資本主義実現会議」の作業部会が6月3日に公表した「アセットオーナー・プリンシプル」案が波紋を広げている。アセットオーナーとは、契約者から預かったお金を運用する年金、共済組合、保険会社など機関投資家のほか、学校法人を含む。それに対する行動規範案のことだ。 政府が昨年末に策定した「資産運用立国実現プラン」は国内の投資環境を整備し、日本企業の成長に必要な資金供給を後押しする青写真だ。しかし個人投資家は海外株投資を好む傾向がある。 そこで、金融庁が中心となって規範案を作成し、アセットオーナーの運用目標の明確化や情報開示の強化を通じて運用力を高め、国内投資の拡大をもくろむ。しかし、企業年金の幹部は「要するに従業員の老後を支える資金を使ってリスクを取れということか」と反発する。「老後資金2000万円問題」で金融庁と仲がこじれた厚生労働省の腰も重く、年金分野の改革は暗礁
『学力と幸福の経済学』 編著者 西村和雄(神戸大学計算社会科学研究センター特命教授) 八木匡(同志社大学経済学部教授) 日経BP 3960円 本書には、教育の現状批判とその改善を目指す熱のこもった序章と終章がある。序章と終章に挟まれた14の章は、いずれも厳密な分析手法に基づいた論文である。つまり、本書は緻密な研究に基づいて、現行の教育の欠陥を指摘し、改善策を提案している。 序章は、少数科目入試がいかに教育を破壊したかを述べている。大学が入試科目を削り、見かけの偏差値を高めることで、数学能力ひいては基礎学力の低下を招いたとする。入試制度の多様化は、学力考査では測定できない能力を評価し、そのような多様な能力を持った人材に大学教育の門戸を開くことにあった。しかし、それによって優れた人材を社会に輩出できてはいない。 大学生の学力低下は恐ろしい。トップの私立大学文系でも小学生の算数の問題が解けない学
上智大学で最後の講義に臨んだ竹田陽介教授 優雅なバイオリンの生演奏から始まる経済学講義は初めてだった。しかも、その奏者はこれから講義を始める教授の愛娘……。 上智大学の竹田陽介教授が3月9日、最後の講義を行った。「おっと、危ないですね」。直後、うつむき言葉に詰まる。教室にはご家族や大学の同期、教え子らが駆けつけている。教壇に立ち懐かしい顔を見た瞬間、いろいろな思いが脳裏をよぎったか。涙腺崩壊を思わせたが、そこは踏みとどまり自身の生い立ちから恩師、経済学者としての半生をその時々の写真をモニターに映しながら語る、少し変わった経済学講義が始まった。 宇沢弘文と浜田宏一 小学校は4回、中学校は2回、転校したという。だから「友だちができるわけがない。引っ込み思案な子どもだった」と振り返る。心配した母親が演劇でもやらせれば、変わるかもしれないと劇団に入れようとしたほどだった。 経済学者に進むきっかけは
しむら・ちなつ 1991年岩手県生まれ。上智大学法学部卒業後、アパレル企業、時計ブランド、タクシー配信用アプリの会社などでそれぞれデジタルマーケティングを担当。その後フリーランスになり、2023年1月にNEM創業。家庭のリビングを中心に、幼児の自主性を育むキッズ用知育家具の開発・販売に取り組む。(撮影 武市公孝) NEM代表取締役社長CEO 志村千奈都 親の目が届くリビングになじみ、幼児の思考力、集中力を高める理想の家具を届ける。(聞き手=北條一浩・編集部) >>連載「挑戦者2023」はこちら 子どもが自らの工夫で使いこなし、インテリアデザインとしても優れた知育家具を開発・販売しています。 自社ブランド「MINORINO」の家具は、デスク、椅子、シェルフ(棚)、チェスト(引き出し)を、子どもが自由に組み合わせて使うことができます。細かいおもちゃを分類収納できる引き出しは、片付けの習慣化や
AIやビッグデータを学ぶ「データサイエンス学部」を新設する動きが、各大学で広がっている。 「検索」より仕組みの理解重要 2025年に創立150周年を迎える一橋大学は今年、「ソーシャル・データサイエンス学部」を創設した。戦後、旧東京商科大学から一橋大学と名を変え、「商経法社」(商学部・経済学部・法学部・社会学部)の4学部体制としてから約70年ぶりに新学部を設置したことになる。カタカナの学部名であることが時代を象徴しているといえるだろう。創設の経緯と、昨今の人工知能(AI)・データ解析技術の進歩から見る、社会科学におけるデータサイエンス教育について考えてみたい。 「統計学部」がない日本 海外の大学では「Department of Statistics」(統計学部)が当たり前に存在する一方で、日本の大学にはその名の学部はなかったということを聞くと意外に思う方もいるかもしれない。統計学の重要性を踏
第63回エコノミスト賞を受賞した西村淳一・学習院大学教授(右)と岡室博之・一橋大学教授 第63回(2022年度)エコノミスト賞(毎日新聞社、毎日新聞出版主催、千葉商科大学協賛)の授賞式が6月5日、東京都千代田区の学士会館で開かれた。受賞作『研究開発支援の経済学─エビデンスに基づく政策立案に向けて』(有斐閣)の著者の岡室博之・一橋大学教授と西村淳一・学習院大学教授に、毎日新聞出版の小島明日奈社長から賞状と記念品、協賛の千葉商科大学の内田茂男理事長から賞金100万円の目録が贈られた。 岡室氏と西村氏は、一橋大学経済学部以来の師弟関係。西村氏が一橋大学大学院生時代の08年度に、経済産業省の産学官連携の新産業育成事業「産業クラスター計画」について岡室氏に研究を提案して始めた約15年間の成果が受賞作となった。 授賞式で岡室氏は、初対面の西村氏がニット帽にピアス姿だったことに戸惑いつつも、すぐにその優
日本でも、より仕事を楽しめる社会がつくれるか Bloomberg 「お宅は週に何回出社ですか?」。ワシントンDC駐在員間では、働き方に関する話題がしばしば交わされる。今やテレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」は日常だ。在宅勤務を好む米国人従業員は多い。好調な労働市場の下、週2日の出社を3日に増やせないか打診したら転職してしまった、といった話も聞く。「日本人は毎日出社ですけどね」というのが会話のオチだ。国内でも海外でも、日本人はおおむね真面目によく働く。日本人は信頼でき、日本企業とは長期的な関係を構築できるとの米国企業の声も多い。 一方、国際労働機関(ILO)が各国の労働生産性を比較した2021年の統計によると、時間当たりの労働生産性は、米国の70.6ドル(世界4位)に対し、日本は40.3ドル(世界41位)で6割にも満たない。背景として日本人の労働時間が長い、日本のサ
人事部門がなすべきことは、経営者や現場の管理者、従業員が人事管理の当事者として振る舞えるよう、必要な手を差し伸べることだ。 時には「戦略を人事に合わせる」必要=江夏幾多郎 近年、「戦略人事」という考え方に関心が集まっている。この考え方を主張する一部の人々によると、従来の人事管理は、雇用・労務に関するさまざまな活動を定型的に行ってきた。しかし、定型業務の効率化に注力するだけの人事部門では、自動化や外部化が可能になる中、社内での存在意義がなくなる。そこで、人事部門が社内で確かな存在意義を確立するには、経営戦略を起点に、望ましい組織や従業員のあり方を適切に定義しなければならない。 そうした理想状態を実現するためには、高業績につながる従業員の能力や意欲を高め、組織の構造や文化を刷新できる活動を行っていく必要がある。具体的には、経営資源の投入や人事諸施策の整備、あるいは従業員の再配置、などが挙げられ
急激な少子化は、下位大学に淘汰を迫る(今年1月の東京大学での大学入試センター試験) 「うちの志願者が定員を大きく超えた。事務方は広報戦略がうまくいっていると言っているが本当だろうか……」 昨年春、しばらく定員割れが続いていたある中堅大学の幹部の、喜びに一抹の不安が混じった問いかけに困惑した。 (注)大学進学率は「大学入学者÷18歳人口×100」で算出。2019年は速報値 (出所)文部科学省「学校基本調査」より編集部作成 広報戦略は、確かに一定の効果はあったのかもしれない。だがいま私大が潤っているのは、間違いなく文部科学省の「入学定員管理の厳格化」による影響だ。18歳人口は今後、減少の一途をたどる(図1)。2〜3年先、この「官製・私大バブル」がはじければ、定員割れの大学は指数関数的に増えていく。喜んでいる場合ではないのである。 入学定員管理の厳格化は、首都圏を中心とする都市部の大学に学生が集
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