中小や零細企業が、後継ぎの不在に悩んでいる。高度経済成長期に起業した経営者が、次々に「引退年齢」とされる70歳を超えていく。培った技術を残し、従業員の雇用も守りたい。だが、知らない者には任せられない。結局、廃業を選ぶ経営者が、関西には少なくない。 2人の子、会社に入らず 大阪市平野区の西山塗装工業所は、代表の西山富造さん(79)が、1970年に立ち上げた。今は、商業店舗の棚や看板の色塗りを手がけている。社員は10人で、大手が手を出さないような、数個単位の注文を受ける。 2人の子どもは、会社には入らなかった。忙しい肉体労働や、経営の厳しさが敬遠された。 技術には自信があり、このまま廃業にはしたくない。歴代の工場長に、後を継ぐよう声をかけたが、いずれも「経営の自信はない」と断られた。 事業譲渡を手がける金融機関には相談していない。「雇用と取引先との関係を守ってくれる人でないと、簡単には譲れない
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