『日本人とユダヤ人』(以下、引用の出典は角川文庫版のページ数のみを示す)の第十二章は「しのびよる日本人への迫害」というおどろおどろしいタイトルがつけられており、さすが反共デマゴーグだけあって「中韓の反日包囲網がっ!」とか「マスゴミは在日に支配されているっ!」と叫ぶ昨今の国士様の先駆者だなぁと感心させてくれます。 ここで七平はインドネシアの華僑、「黒いアフリカ」のアラブ人、古代アレクサンドリア・中世スペイン・帝政末期ロシア・ヴェルサイユ体制下のドイツにおけるユダヤ人を例にあげ、時の政権に重用されていたマイノリティがその政権の崩壊時に迫害されるのが「迫害の類型的なパターンと共通的な原因」であるとしています(181-186)。 すでにこの段階で七平の主張の非科学性は明らかです。自分が想定する「類型」に該当しそうな迫害のケースだけを恣意的に選び出して例示しているにすぎないからです。 また関東大震災