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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (31)

  • 貧困層の輸入が日本の国是なのか - 経済を良くするって、どうすれば

    「外国人労働者も平等に扱う」としつつ、「日人の雇用には悪影響を与えない」とも主張されているのだが、この二つは質的に矛盾する。日人を擁護するには、外国人を犠牲にせざるを得ないからだ。それなのに、都合良く、できるかのようにしてしまう。こうして左右の反対論が幻惑される中で、目の前の利権は、しっかりと獲得されて行く。矛盾が露呈し、「負債」が回って来るのは、不況になったときで、あとは野となれ山となれだ。 ……… 外国人労働者の受入れについては、中堅層以上は既に「開国」しているので、決断が求められているのは、貧困層を輸入するか否かであり、「人の自由化」なんて美しいものではない。日は、貧困層には、福祉より仕事を与えることで安定化を図り、周辺国の貧困削減には、投資と援助による経済開発で対応した。ある程度、これが成功したから、強い流入圧力にさらされずに済み、今の社会がある。その意味で、「国是」の転換

    貧困層の輸入が日本の国是なのか - 経済を良くするって、どうすれば
  • 人は考えを変えない、悲しいほどに - 経済を良くするって、どうすれば

    「デフレの原因は、企業行動が変化したせい」という主張を聞くと、「若いなあ」と思ってしまう。何やら、経営思想が変わったから、経済が動いたような印象を受けるからだ。やはり、もう一つ問いを重ね、「なぜ、企業は設備や人材へのカネを絞るようになったのか?」へ進み、「緊縮財政がもたらした需要増なき経済に適応した」という答えを導き出すべきではないか。やはり、根源は、景気回復の芽を、いち早い緊縮で摘む「摘芽型財政」にある。 ……… 筆者も、若い時分は「意識変革で、世の中を良くできる」なんて議論していたものだよ。でも、人生経験の中で、「現実に合わなくなり、ボロボロになってすら、一念にしがみつく姿」を目にすれば、「人は考えを変えられない」と悟るようになる。だから、「思想の変化で、世の中が転換する」という説を、まったく信じられないんだね。方針に変化が起こるのは、多くの場合、人事での交代によってだ。 企業行動の変

    人は考えを変えない、悲しいほどに - 経済を良くするって、どうすれば
  • 補正により3兆円の緊縮財政に - 経済を良くするって、どうすれば

    8/24に補正予算案が閣議決定され、各紙には財政規律への懸念が並んだ。しかし、2016年度は、5.8兆円の緊縮財政を予定していたのであり、これが3.1兆円に緩和されただけのことだ。すなわち、財政を締め過ぎて景気が低迷し、慌てて緩めようとするもので、またしても、日の得意技・財政ストップ&ゴーの発動だ。こうした無計画さ、不安定さが、企業の投資意欲を殺ぎ、成長を阻害するのである。 ……… コラムで以前に書いたとおり、2016年度は、前年補正で0.4兆円、当初予算で2.4兆円、地方財政で0.8兆円、厚生年金で1.2兆円、日銀の積立てで0.9兆円の計5.8兆円、名目GDP比で1.1%超の緊縮財政を予定していた。日は、2014~16年度の3年間、GDP比で平均1.2%もの緊縮財政の重荷を背負わせてきたのだから、2015年以降、ほとんど成長できていないのも仕方あるまい。 日の潜在成長率は0%台前

    補正により3兆円の緊縮財政に - 経済を良くするって、どうすれば
  • 消費税8%体制での成長率 - 経済を良くするって、どうすれば

    これでは消費は伸びまい。10/17に毎月勤労統計の確報があり、大きめの下方修正があった。実質賃金指数の前年比は、0.5下がって-3.1%となり、再び-3%を割り込んだ。7月に、ボーナスアップで-1.7%まで縮めていたのに、元のもくあみである。これで、常用雇用の1.7%増を勘案しても、マイナス圏へ落ちたことになる。こうした下方修正は、追加集計された中小企業における苦しさを物語る。 しかも、8月は、まだボーナスの影響が残っているので、9月になると、実質賃金のマイナスが更に開く可能性が高い。消費の低迷で物価が弱含んでいるため、上昇率の低下で実質賃金が押し上げられることはあるにせよ。他方、所定外労働時間は、季節調整済指数の前月比が-1.4%も下がって、5か月連続の減となった。また、頼みの綱の常用雇用は、6月に0.3%増だったものが、7月0.2%、8月0.1%と、低下の一途である。 ……… 今日の日

    消費税8%体制での成長率 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 家計消費は戦後最大級の落ち込み - 経済を良くするって、どうすれば

    いや、激烈な結果だったね。4-6月期のGDP速報の結果は、家計消費が-5.2%(年率-19.2%)にもなった。しかも、「除く帰属家賃」だと-6.2%に広がる。そのため、在庫が急増し、これが成長を支えることとなった。実質成長率は年率-6.8だが、もし、在庫増が1-3月期の駆け込みでの減少を復元する程度だったら、-8.8%まで行っていただろう。 消費の落ち込みは、1997年の前回の消費増税の時を上回り、比較可能な1994年以降で最大のもので、リーマン・ショックや東日大震災も超える。思い起こせば、基準は異なるが、オイルショックで狂乱物価があった1974年1-3月期が-5.7%であったから、これに匹敵する、40年ぶり、戦後最大級のショックである。これを人為的に起こしてしまったわけで、相当に深刻な事態だ。 他方、今日の日経の一面トップは「景気は緩やか回復続く」だが、民間調査機関の見通しは、7-9月

    家計消費は戦後最大級の落ち込み - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・消費が死んだ もう立てない - 経済を良くするって、どうすれば

    今回の家計調査の結果で判明したのは、消費の惨憺たる状況だった。これは反動減の大きさを言っているのではない。消費増税によって、勤労者世帯の実質実収入の低下が前期比で-4.0にも達し、消費は今年度内に駆け込み前の水準には戻らないことが確定的になったのである。今年度はマイナス成長を覚悟しなければならない。残念ではあるが、もうアベノミクスは立ち直れまい。 ……… 現在の消費の落ち込みが反動減に過ぎず、これから戻って来るか否かは、消費性向を見れば分かる。分母の収入は安定しているので、駆け込みで分子の消費が伸びると消費性向は上がり、反動減で下がり、結局は元へ戻る。実際、10-12月期に75.1だった消費性向は、1-3月期に79.0になり、4-6月期には73.1になった。だから、あと2.0ポイントくらいは、消費の戻りが期待できる。 問題は、この半年間に、勤労者世帯の実質実収入が-4.0も落ちていることだ

    アベノミクス・消費が死んだ もう立てない - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・想定内の破綻 - 経済を良くするって、どうすれば

    5月の家計調査について、ロイターの事前予想は、前年同月比の中央値が-2.0%、最小値でさえ-4.0%だったところ、一昨日の結果は-8.0%にもなった。誰も考えなかったほど大幅な「想定外」の落ち込みである。しかるに、財務相は公表後の記者会見で「想定内」。アベノミクスが危殆に瀕しても、泰然として国民を安んじようという配慮なのかもしれない。田内閣参与は、実質賃金の低下を憂慮しておられるようだからね。 さすがの日経も、昨日は「所得目減りが消費に重荷、物価高に賃金及ばず」として、もはや「想定内」の文字はない。コラムは、先月の家計調査の公表の時、既に所得の低下に警鐘を鳴らしていたし、消費増税の幅が大き過ぎて春闘の賃上げでカバーできないことは、それ以前から繰り返し指摘してきた。起こって当然のことが現実化しているわけだが、アベノミクスの想定シナリオは、確か「増税を賃上げで乗り越える」ではなかったか。

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  • アベノミクスから醒めるとき - 経済を良くするって、どうすれば

    また夢で終わるのかね。サッカーW杯16強突破ではなく、日のデフレ脱出の話である。4月の家計調査は、それほど重苦しい結果だった。駆け込みの反動で消費が落ちたことを気にする必要はないが、今後の消費を占う実質「実収入」の季節調整済指数が前月から-3.6も低下したのは重症だ。低下幅は東日大震災時の2011年3月と変わらないほど大きく、水準はこの時の97.0を大きく下回る94.7にまで落ちた。こんなに「実収入」が落ちてしまって、消費が反動減を取り戻せるのか、夢に酔えぬほど数字は厳しい。 (図1) ……… 消費は収入次第というのは誰でも分かる理屈で、勤労者世帯の実収入と消費支出がパラレルに動いていることは一目瞭然だろう。2013年春には、雇用の底入れで消費が上ブレしたが、収入増が追いかけ、消費の反動減も出て、元の割合に概ね戻っている。つまり、消費増税の駆け込みと反動で消費の基調が見えない中で、収入

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  • 大荒れの家計消費の行方 - 経済を良くするって、どうすれば

    2月の家計調査の結果は、季節調整済の実質指数で前月比-1.5だった。基礎的な消費を示す「除く住居等」は-2.4にもなった。世間的には、2月の落ち込みは、大荒れの天候があったからで納得しているようだが、1月の急伸のときは、駆け込み需要を理由にしていて、月替わりで「大荒れ」の要因が違っている。そんな調子では、なかなか信頼が置けない。 セオリーは、まず収入、次に物価だ。2月の勤労者世帯の前月比は、名目実収入が-1.4、実質実収入-1.6であるところ、実質消費が-1.1である。従って、落ち込みは、収入で説明がつく。むしろ、収入が下がった割に、消費は落ちなかったというところだろう。物価は、実収入の名実差が0.2だから、着実に削がれている。前月は差が縮んでいたものが戻った形だ。 収入が下がり、消費も落ちた関係で、平均消費性向は75.9%と、前月からの高い水準が維持された。大荒れの天候ではあっても、しっ

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  • 少子化のインセンティブ - 経済を良くするって、どうすれば

    社会保障制度が整えられ、老後の不安が薄れたことが、子供を持とうとする意欲を低下させ、少子化を進めてしまったのではないか。そうした疑問は、誰しも抱くものだ。しかも、少子化は、支え手を減らして社会保障制度を掘り崩しかねないから、それを防ぐために、どうすべきかは、重要な問題となる。 これに数理的な分析を加えたのが、先頃、日経・経済図書文化賞を受賞した、山重慎二著「家族と社会の経済分析―日社会の変容と政策的対応」である。このの評価は、改めてするまでもない。賞のHPで松井彰彦先生が述べるとおり、「言葉や印象論で語られることが多かった壮大なピクチャーを緻密な理論で語った意義は大きい」というものだろう。 私も、大変、楽しませてもらったが、残念ながら、子供を持たないで済まそうとするインセンティブの大きさ、それは、すなわち、少子化を防ぐために必要な施策の大きさを示すことになるが、そこまでは書かれていない

    少子化のインセンティブ - 経済を良くするって、どうすれば
  • 経済思想が変わるとき 1 - 経済を良くするって、どうすれば

    ここまでアベノミクスが上手くいっていながら、そのまま保とうとはせず、一気の消費増税という、すべての成果をドブに捨てるようなことをしてしまう。それは、なぜだろうか。そこには、需要を抜いても経済には決定的な悪影響はないという極めて強固な思想がある。普通の人には奇妙に聞こえるだろうが、これは「合理性」に基づくものなのだ。 ……… 現在の経済学の基礎には、人は利益を最大化するよう行動するという「公準」がある。「公準」とは、すべての理論の基礎となる前提のようなものだ。そして、この前提に立つと、合理的な人は、資金や労働力が余ってムダになっている状況を放置したりせず、必ず、それらを利用し、生産を増やして利益を得ようとするだろう。そうすると、世の中には余資も失業もあり得ないことになる。 この理屈は、世の中に不況は存在しないと言うようなものなので、普通の人にとっては、「まさか」という話である。現実に、超低金

    経済思想が変わるとき 1 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 税収の弾性値を巡る議論 - 経済を良くするって、どうすれば

    の経済論議の二大悪癖は、歳出の当初と補正を連結して前年度と比較しないことと、税収の当局の見積りを鵜呑みにして点検しないことだ。要するに、まともな経済運営の議論のレベルに達していないということだね。国際的に見たらお恥ずかしい限りだが、これが現実だ。それでも、最近、税収の弾力値の大きさを巡って議論がされるようになったのは、一歩前進である。それを紹介しているのが、今日の「エコノフォーカス」だ。 まず、押えておきたいのは、税収の弾性値では短期的な税収は計れないということだ。当たり前だが、弾力値を出すのに10年分なりのサンプルを使うなら、それは長期的な傾向を示すものにしかならない。したがって、財政当局は、景気回復で短期的に税収が伸びそうなときに、税収を低く見せようと好んで持ち出すことになる。税収の弾力値について議論すること自体が当局の土俵に乗るようなものである。 景気回復期に税収が急増するのは法

    税収の弾性値を巡る議論 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 消費増税をするとどうなるか - 経済を良くするって、どうすれば

    世の中の消費増税の悪影響に対する認識は甘いのではないかと思う。かく言う筆者も1997年までは、そうだった。今日は、消費増税後に何が起こったのか、思い出話とともに、数字をたどってみたい。若干、「オタク」向けかもしれないが、1997年の消費増税の経験は、その是非だけで済ますには、もったいないものである。 ……… 結論から先に言うと、駆け込みと反動減を潜ると、消費増税の悪影響は、それで抜けたような気になるのだが、実は、そこからが悪影響の番である。増税による実質的な所得削減の効果が長く消費を低迷させる。これは、増税→消費減→生産減→所得減→消費減という、経済全体への波及が起こるからである。 ここで、余裕のある方は、ニッセイ研の斎藤太郎さんの「2013~2015年度経済見通し」(8/13)の中にある「消費税率1%引き上げの影響」というマクロモデルの分析も見ていただきたい。注目してほしいのは、増税2

    消費増税をするとどうなるか - 経済を良くするって、どうすれば
  • 適当な問題の設定 - 経済を良くするって、どうすれば

    「問題を見つけることは、半分を解決したも同じだ」と言われる。困った状態にあっても、何が問題か分からないことは多いし、分ったつもりで的外れなことをしたりもする。的外れなことをして、問題をこじらせるくらいなら、適当な問題を設定し、余計なことを避ける方がマシかもしれない。社会保障制度改革国民会議における年金への提言には、そんな印象がある。 ……… 昨日の日経によれば、会議の提言には年金支給開始年齢の引き上げが盛り込まれるようである。支給開始年齢については、65歳とする既定の計画が完成するのは、男性で2025年、女性で2030年である。更なる引き上げは、常識的には、その後だろうから、かなり先のことになる。むろん、制度改正は早めに行って、「年金の出ない期間」における雇用確保の準備するという意義もあるわけだが。 一般の方は、年金の出ない期間が生じるかねないことに不安を覚えるかもしれないが、支給年齢引上

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  • 偶然に期せず、未知を頼らず - 経済を良くするって、どうすれば

    昨日、また一つ現実が明らかになった。ひと月前のコラムで「5月の家計調査が横ばい程度であれば、それで消費増税のもくろみは終わり」としていたが、結果は正にそれだった。明日で終わる6月がかなり良くないと、4-6月期の消費は成長なしとなろう。消費はGDPの6割を占めるから、他の需要項目が好調だとしても、消費増税の条件である2%成長のハードルは高い。予定通りの増税は困難と見るべきだろう。 ……… 5月の家計調査の結果は、季節調整済の実質指数が99.8で、前月比+0.1のほぼ横ばいであった。仮に6月が1-3月期の平均値の102.4まで高まったとしても、4-6月期は100.6と前期から-1.8にもなってしまう。1-3月期に4.0も伸びた反動が出た形だ。アベノミクスで急に景気が良くなったように感じているかもしないが、偶々の要素が大きい。これまでが出来過ぎであったことは、4-6月期のデータで明らかになろう。

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  • 少子化要因の複合性 - 経済を良くするって、どうすれば

    少子化は複合的な要因によって起こっている。このことが問題の理解を非常に難しくしている。少子化の最も重要なグラフは、合計特殊出生率のそれだが、1983年からダラダラと下がっているようにしか見えない。これでは「社会意識が次第に変化したから」くらいしか理由が思い浮かばないだろう。ここに経済の「補助線」を引く必要がある。 ……… ここで、いきなり専門的な話になって恐縮だが、合計特殊出生率は二つの要素で減少するものである。一つは、当に生まれる数が少なくなることによって減り、もう一つは、1人の女性が生む数を減らさなくても、単に産む時期を遅らせるだけでも減る。後者の、ある意味、見かけ上の要素を取り除いたら、グラフはどうなるか。 それが、下の「修正合計特殊出生率」の図である。年金のような社会保障の世代間負担を考える際に必要なので、そのために作成したものだ。算出は、平均出産年齢が当年で1歳上昇するとしたら

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  • 少子化論と非正規問題 - 経済を良くするって、どうすれば

    原因が分からなくても、問題は解決できる。問題が深刻であれば、原因と考えられるものに手を打って次々と潰していく。その過程で効くものが分かり、原因が特定されることもしばしばだ。日少子化対策は、原因が不分明だからと言って、戦力の投入を惜しんできた。戦争の最中に、海軍と陸軍のどちらを増やすべきかの議論ばかりしていたら、敗北は免れない。正解は「全部やる」である。問題が深刻ならば、そうなる。 松田茂樹先生の「少子化論」は、問題の全体を俯瞰した上で中身も濃い。「少子化の要因は雇用の劣化による未婚化にあり、特に非正規への支援が優先課題である」という先生の主張は、一般の方には新鮮なものだろう。むろん、筆者にとっての驚きはないが、地域差や国際比較など刮目する論点は多かった。問題把握に欠かせない第一級の書籍であり、今後の政策対応の基礎にならんことを願う次第だ。 とは言え、先生の「少子化対策として、若い非正規

    少子化論と非正規問題 - 経済を良くするって、どうすれば
    hiroyukixhp
    hiroyukixhp 2013/06/09
    「少子化の要因は雇用の劣化による未婚化にあり、特に非正規への支援が優先課題である」
  • 円安株高でも法人減税なのか - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の日経は「法人減税など大胆改革見送り」とあって、相変わらずだね。異次元の金融緩和によって、円安で企業収益が伸び、株価は急上昇している中で、もし、法人減税をしたら、バブルへのブレーキを外すことになる。高収益の下で納税を減らしたければ、設備投資をするのが一番だが、法人減税は、そうしたインセンティブを殺いでしまう。主張すべきは、法人減税でなく投資減税だろう。 また、お得意の財政再建論はどうなったのか。景気回復に伴い、長期金利が上昇すれば、国債の支払金利は増すが、他方で利子課税と法人税によって税収増となり、相殺される構造となっている。ここで法人減税で穴を開ければ、財政赤字拡大のリスクを生み、金利上昇の悪循環が起こりかねない。スウェーデンでは法人税は低いが、利子課税は25%と高い。良いとこ取りはできないのだ。 「設備投資を年70兆円に」という目標に対する分析がないのも気になる。2012年度の民間

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  • 財政出動の本当の姿 - 経済を良くするって、どうすれば

    (昨日の掲載分) 安倍政権の金融緩和と財政出動には期待が集まっているが、2%のインフレ目標を日銀に呑ませる金融緩和はまだしも、財政出動は、それに値するものだろうか。昨年の2011年度予算は、4次にわたる補正後に107.5兆円となったが、今年度は、補正後でも100.5兆円にとどまる。つまり、昨年度より7兆円も少ない「緊縮予算」になるわけだ。これで景気は良くなるのかね? 日の新聞や有識者は、数字を確認するということをしない。だから、事業規模20兆円の経済対策、10.3兆円の支出拡大と言われると、容易に信じてしまう。財政当局が狡猾というより、ナイーブに過ぎるのではないだろうか。外国に居て事情に疎いP・クルーグマンが「結果的に完全に正しい」と囃すのは仕方ないにしても、日人が同じ反応では情けない。 ……… 今回、財政当局は、「過去3番目の予算規模」と説明したらしく、記者たちは、それをそのまま流し

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  • 日本は、なぜ少子化に敗れたか - 経済を良くするって、どうすれば

    1971~74年生まれの団塊ジュニア世代は、来年には全員が40歳代になる。少子化を緩和するため、人数の多いこの世代で挽回する好機は失われた。これを逃してはならないと、10年前から言われていたにもかかわらず、なぜ、こんな結果になったのか、その理由は、端的に言うと「戦力の逐次投入」である。 「戦力の逐次投入」とは、戦力を小出しに投入し、そのたびに撃破されては消耗し、敗北へと至るものだ。元々は軍事用語であり、ダメな戦略の典型とされる。最近では、経営を語る際にも使われている。まあ、それだけ、犯しがちな失敗だと言える。十二分に戦力を用意するにはコストがかかる。これに躊躇して勝ちを捨てるのである。 ……… コラムでは、少子化を緩和するため、0~2歳の乳幼児に月額8万円を給付することを提案している。大概の人は、この額を聞くだけでギョッとする。現在の児童手当は1.5万円だから、その5倍以上という「常識外

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