文・高畑 和弥(日立総合計画研究所政策経済グループ 副主任研究員) シナリオプランニングとは、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を想定することにより、不確実性の高い環境の中で適切な意思決定を行うことを可能にする戦略策定手法のことです。 シナリオプランニングは、第二次世界大戦後に米国空軍が開発した軍事戦略の策定手法です。その後、英蘭系の石油大手、ロイヤル・ダッチ・シェル社が経営戦略の策定に利用し、それによって同社が石油危機を競合他社よりも巧みに切り抜けたことで一躍有名になりました。 通常、企業の経営戦略や地方自治体の総合計画/基本計画を策定する際には、最も起こりうる可能性が高い未来を想定し、その未来が実現することを前提に戦略を策定します。しかし、シナリオプランニングでは、「未来を確実に予測することは不可能である」ということを認めた上で、複数の未来を想定したシナリオを作成します。 シ