あなたは、どんなときに他人を「許せない」と思うだろうか。 「恋人や配偶者の浮気」「上司からのパワハラやセクハラ」「信頼していた仲間の裏切り」…。ここで生じる「許せない」感情は、自分や自分の近しい人が何らかの被害を受けたことに対する憤りであり、強い怒りが湧くのは当然だろう。 しかし近年、有名人の不倫スキャンダルやアルバイト店員の不適切動画の投稿、不謹慎だとみなされる行動など、自分とは関係のない人物・事象に対して「許せない」感情が集中するという現象が数多く見られるようになった。 自分や自分の身近な人が直接不利益を受けたわけではなく、当事者と関係があるわけでもないのに、強い怒りや憎しみの感情が湧き、相手に非常に攻撃的な言葉を浴びせ、完膚なきまでに叩きのめさずにはいられなくなってしまう――。これは、なぜなのだろうか。 脳科学者の中野信子氏によれば、「我々は誰しも、このような状態にいとも簡単に陥って