普段は、彼はひとりでAVを観ているけれど、この日は「観てもいい?」とからかうように訊いてきたから、あまりいい気持ちはしないけれど「いいよ」と答えた。 嫉妬深い私を気にして「怒らないの?」と訊いてきたが、「大丈夫」と答えた。本当に大丈夫だと思ったから。 私も隣りで横になりながら一緒に観た。AVとは不思議なもので、男性は興奮するのだろうけれど、女性の私は何も感じない。ただただ、女優の容姿と自分を比べてしまう。私は胸が小さいのだ。 飛ばし飛ばし、いろんなAVを物色していた彼が、ひとりの女優をゆっくり観始めた。美人で巨乳で足の長い女優だ。複雑な気分になる。私とは真逆のような気がしてくる。あぁ、本当はこういう女性が好みなのかな、と。 敏感な彼は、私が不機嫌になったのを、言葉を発していないにもかかわらず、すぐに察知した。 「怒ってる?」 「大丈夫」 「隠してもわかるよ」 「うーん、ちょっとだけ複雑」
![昨日の夜、彼がAVを観ていた。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)