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ブックマーク / blog.tatsuru.com (8)

  • いじめについて - 内田樹の研究室

    ある媒体から、大津市のいじめについてコメントを求められた。 書いたけれど長くなったので、たぶん半分くらいに切られてしまうだろう。 以下にオリジナルヴァージョンを録しておく。 今回の事件はさまざまな意味で学校教育の解体的危機の徴候だと思います。 それは学校と教育委員会が学校教育をコントロールできていないということではなく、「コントロールする」ということが自己目的化して、学校が「子供の市民的成熟を支援する」ための次世代育成のためのものだということをみんなが忘れているということです。 私の見るところ、「いじめ」というのは教育の失敗ではなく、むしろ教育の成果です。 子供たちがお互いの成長を相互に支援しあうというマインドをもつことを、学校教育はもう求めていません。むしろ、子供たちを競争させ、能力に応じて、格付けを行い、高い評点を得た子供には報償を与え、低い評点をつけられた子供には罰を与えるという「人

    hu-ya
    hu-ya 2012/07/12
  • さよならアメリカ、さよなら中国 (内田樹の研究室)

    昨日の結婚式では右隣が某自動車メーカーの取締役、左隣が某貴金属商社の取締役だったので、さっそく日経済の今後について、東アジア圏の経済動向について、現場からのレポートをうかがう。 私は昔から「異業種の人から、業界話を聞く」のがたいへん好きなのである。 あまりに熱心に話を聞くので、相手がふと真顔になって「こんな話、面白いですか?」と訊ねられることがあるほどである。 私が読書量が少なく、新聞もテレビもろくに見ないわりに世間の動向に何とかついていけるのは、「現場の人」の話を直接聞くことが好きだからである。 新書一冊の内容は、「現場の人」の話5分と等しい、というのが私の実感である。 さっそく「TPP加盟でアメリカ市場における日車のシェアは上がるのでしょうか?」というお話から入る。 「多少は上がるでしょう」というのがお答えであった。 アメリカの消費者は同程度のクオリティであれば、ブランドというもの

  • 内田樹の研究室

    ローカリズム宣言 地方移住のための情報誌「TURNS」で2年間ほど連載していたインタビューを採録しました。グローバル資主義の終焉、少子高齢化による過疎化と限界集落化という現実を踏まえて、「地方移住・帰農・山河の回復」というオルタナティブについて提言をしております。 昨日うかがった話では、地方移住支援のためのある NPO の窓口を訪れた人は去年一年で 25,000 人、10 年前の 10 倍にのぼるそうです。半数以上が 20 代 30 代とのこと。 この趨勢はもう止まることがないでしょう。 デコ/2017-12-07 変調「日の古典」講義 安田登さんと二人であちこちで行った対談の集成。話題は『論語』から能楽まで多岐にわたります。安田さんが何か驚くべきことを言うとこちらも負けじとさらに驚くべきことを言い、安田さんがそのような挑発を受け流すはずもなく、さらに驚くべき話で切り返す・・・という悪

  • 脱原発の理路 - 内田樹の研究室

    平田オリザ内閣官房参与は17日、ソウル市での講演で、福島第一原発で汚染水を海洋に放出したことについて、「米国からの強い要請があった」と発言したのち、翌日になって「不用意な発言で、たいへん申し訳なく思っている」と発言を撤回して、陳謝した。 発言について平田参与は「この問題には全くかかわっておらず、事実関係を確認できる立場でもない」として、事実誤認であることを強調した。 内閣官房参与、特別顧問の「失言」が続いている。 平田参与の前に、3月16日には笹森清内閣特別顧問が、菅首相との会談後に「最悪の事態になった時には東日がつぶれることも想定しなければならない」という首相の発言を記者団に紹介した。 4月13日には松健一内閣官房参与が「原発周辺には10~20年住めない」という首相発言を紹介したのち、撤回した。 震災直後に内閣官房参与に任命された小佐古敏荘東大大学院教授は、政府の原発事故対応を「場当

  • 未曾有の災害のときに - 内田樹の研究室

    3月13日 東日巨大地震から三日目。 朝刊の見出しは「福島原発で炉心溶融の恐れ」と「南三陸町で1万人行方不明」。 16年前の大震災を超える規模の国家的災厄となった。 これからどうするのか。 このような場合に「安全なところにいるもの」の基的なふるまいかたについて自戒をこめて確認しておきたい。 (1)寛容 茂木健一郎さんも今朝のツイッターで書いていたけれど、こういう状況のときに「否定的なことば」を発することは抑制すべきだと思う。 いまはオールジャパンで被災者の救援と、被災地の復興にあたるべきときであり、他責的なことばづかいで行政や当局者の責任を問い詰めたり、無能力をなじったりすることは控えるべきだ。彼らは今もこれからもその公的立場上、救援活動と復興活動の主体とならなければならない。不眠不休の激務にあたっている人々は物心両面での支援を必要としている。モラルサポートを惜しむべきときではない。

  • 日本の人事システムについて - 内田樹の研究室

    ツイッターで茂木さんが就職活動について書いている。 多くの点で、私も同意見である。 けれども、完全には同意できないところもある。 意見が違うというのではなく、話を「切り出す順番」が違うということなのかも知れない。 それについて考えてみたい。 茂木さんはこう書いている。 「大卒2割、就職も進学もせずという今朝のニュース(http://bit.ly/9IP2QS )に思うところあり、日の就職について連続ツイートします。 大学3年の夏から、実質上就職活動が始まる日の慣習は、明らかに異常である。学問が面白くなって、これからいよいよ格的にやろうという時に、なぜ邪魔をするのか。 そもそも、新卒一括採用という慣習は、経営的に合理性を欠く愚行だとしか言いようがない。組織を強くしようと思ったら、多様な人材をそろえるのが合理的である。なぜ、一斉に田植えでもするように、同じ行動をとるのか? 日の企業が

  • 従者の復讐 - 内田樹の研究室

    取材で鳩山政権の迷走について訊かれる。 どうして日政府はアメリカに対して毅然とした態度が取れないのかというお訊ねである。 メディアは単純に「それは総理が無能だから」という属人的な説明でケリをつけようとしている。 もちろん統治者の資質が外交の成否に深く関与するのは事実である。 だが、現在の日のメディアの、すべての政治的できごとの成否を属人的な能力によって説明するスキームの定型性に私はいい加減うんざりしている。 たしかに、外交がうまくいっていないという事実に為政者の個人的能力はふかく関与している。 けれども、それが「外交の失敗のすべての理由である」としてそれ以上の吟味を放棄するのは、思考停止に等しい。 歴代の統治者たちが組織的にある外交に失敗するとしたら、それは属人的な要素によっては説明できない構造的な問題があるのではないか、と考えるのが科学的な考え方である。 日のジャーナリストには、こ

  • 増子化対策 - 内田樹の研究室

    共同通信の取材。 テーマは少子化・未婚化・婚活。 同じテーマで何度もしゃべっている。 同じことを何度も書くのも疲れるけれど、基的なことなので、繰り返す。 「少子化問題」というものは存在しない。 例えば、新石器時代に「少子化問題」というものは存在しなかっただろう(その時代に生きたことがないので想像だが)。 その時代の集団において、「最近、みんな結婚しないし、子供が生まれないのはまことに困ったことだ」というような問題があったとは思えない。 そんな問題をかかえた集団は数世代で(はやければ一世代で)消滅してしまったはずだから、そもそもそれが「問題」として意識される暇さえなかった。 「親族を形成する」というのは人間が人間である基礎条件の一つだからである。 それは「労働する」とか「言語を話す」ということとほとんど同レベルの「当為」である。 「最近、みんな労働ないので、困ったものだ」というような悠長な

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