トルコ東部の“クルディスタン”(クルド人居住域)に「チーキョフテ」という不思議な料理がある。牛肉や羊肉のミンチを玉ねぎやハーブ類と一緒に練り込むところはハンバーグによく似ているが、なんとチーキョフテは加熱調理しない。ハンバーグのタネをそのまま食べるような感じだ。 中東で生肉料理など他に聞いたことがない。ましてやチーキョフテを名物とするシリア国境付近の町シャンルウルファは夏には最高気温が40度にも達する内陸部の半砂漠だ。どうしてそんなところで生肉料理が生まれたのか謎である。 「肉をこねるとき壁に投げるらしいよ」 そのせいだろう、チーキョフテには真偽の不明な伝説がつきまとっている。ある英語のガイドブックには「夏場に食べると確実に腹をこわす」と書かれていたし、イスタンブルのトルコ人(クルド人)は「シャンルウルファでは肉をこねるとき壁に投げるらしいよ」と笑った。 外国人旅行者が腹をこわすのはともか
![クルドの新年祭で生肉ハンバーグ「チーキョフテ」をつまみに酒を飲む | 文春オンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7d8239dc9b03d624911265a7ed7c7899092ca9a5/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbunshun.jp%2Fmwimgs%2F4%2F5%2F1200wm%2Fimg_455723eb7e2d6afad72e0e1fed661b41748877.jpg)