毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 文法外の文法と俳句の文語(前編) 大野秋田 本論考は、『澤』平成24年8月号「文法外の文法と俳句の文語」を、加筆の上、前後編の形で再掲載するものです。 「前編」は、俳句において近年「誤用」として論じられることが多い用法を歴史的に検証し、その正当性を論じます。 「後編」(次号掲載)は、俳句(俳諧)が、なぜ文法規範をはみだしていくかを、蕉門の俳言意識にさかのぼって検証します。 (編集部) 一. 文法外の文法 『澤』平成23年10月号(『週刊俳句』第237号に転載)の拙稿「助動詞『し』の完了の用法」(以下「前稿」とする)で完了「し」の誤用説を批判した。 「已然形終止」、「カリ終止」、「まじ」の未然形接続にも広く誤用説がある。 已然形終止 已然形終止というのは、牧水「白玉の歯にしみとほる秋の