長い間、演劇はカルチャーの鬼っ子だった。かつては映画や音楽やアートと同じ感覚で観たり論じたりすることができたのに、その輪からはずれてしまった……昨秋刊行された『演劇最強論』(飛鳥新社)は、そんな嘆き節から始まる。しかし、そのはぐれ者が「最強」とはどういうことだろう。著者は、演劇ジャーナリストの徳永京子さん、批評家の藤原ちからさん。二人のトークイベント、「『演劇最強論』の最新論〜ところで今、演劇って、どうなってる?」から、現代演劇の最新事情をお届けする。(構成/長瀬千雅) 藤原 「演劇って今、どうなってる?」というテーマでお話ししていきたいと思いますが、まずこの本をなぜ出版することになったかということからはじめましょうか。 徳永 出版したのは2013年ですが、その時点での日本の演劇シーンを総ざらえするという本ではなく、現在の演劇事情を、ある角度をもって、私と藤原さんで切り取った本です。卑近な
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