「演劇的想像力」に溢れた作品を――第63回岸田國士戯曲賞予想対談 山﨑健太(演劇研究・批評)×田中伸子(演劇ジャーナリスト) 文化 去る1月、第63回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の候補作8作品が発表されました。演劇研究・批評の山﨑健太さんと、演劇ジャーナリストの田中伸子さんによる予想対談をお届けします。若手劇作家の奨励と育成を目的とし、新人の登竜門とされることから「演劇界の芥川賞」とも呼ばれる岸田戯曲賞。選考会および受賞作の発表は3月12日です。(企画・構成/長瀬千雅) 田中 私は学生時代に「夢の遊眠社」を見て芝居にはまりました。遊眠社の海外公演を見るために訪れたイギリスで、劇場街に魅せられて、90年代をロンドンで過ごしました。その後も、主に英字新聞で書いていることもあり、海外で演劇を見ることも多いです。それで思うのは、海外では作家が小説も戯曲も書くことは当たり前なんですね。一方、日本では