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ブックマーク / wallstny.exblog.jp (27)

  • 世界的「見えざる手」は規制不能? | ウォールストリート日記

    2000年代前半に「インフレ無き高成長」を実現させたと仰ぎ奉られた、元FRB議長のAlan Greenspan氏が、3月29日に英FTに対して、「Dodd-Frank fails to meet test of our times(米金融規制法は現代にそぐわない)」という寄稿をし、その中で、2010年7月21日に成立した「Dodd-Frank Act(ドッド・フランク法)」の名前で知られるウォールストリート規制法に対して、「時代遅れで効果がない」と批判を展開したという話が、ちょっとした話題になりました。 と言うのは、同法案の発起人Barney Frank議員(マサチューセッツ州選出・民主党)が、4月3日にFTに対して「Greenspan is wrong: we can reform finance(グリーンスパンは間違っている。我々はウォールストリートを改革できる)」という寄稿をし、強く

    世界的「見えざる手」は規制不能? | ウォールストリート日記
  • 東日本大震災のインパクト | ウォールストリート日記

    3月11日(金)に発生した東日大震災は、津波被害の広がりや福島の原子力発電所事故の首都圏への影響拡大など、未曾有の危機に発展しています。被災者や関係者の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。 ニューヨークでも、在米邦人や著名人がリーダーシップを取って、数多くの被災者救済のチャリティイベントが連日のように開催されています。911を経験したニューヨークでは、事件直後に市長(当時)のジュリアーニ氏が、「一刻も早く立ち直るために、みんなで映画やミュージカルを見に行こう」と明るく振舞ったというエピソードがありますが、こちらからの援助が一刻も早く被災者関係者のもとに届き、当地が日常生活を取り戻されることを、願って止みません。 (在外邦人の方は、寄付をする際、万が一にもお金が日以外に回されるリスクを避ける為に、国際機関や現地のNPOではなく、直接日にある団体か、または現地の日関連団体を選ぶこと

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  • オマハの賢人の楽観論 | ウォールストリート日記

    最近アメリカの機関投資家の間では、米国景気見通しの楽観論が、大いな広がりをみせているように感じます。ここ数年世界経済を牽引して来た途上国が、料インフレで苦しむ中、着実に利益成長を遂げるアメリカ企業を目の当たりにし、「足元に魅力的な投資機会があるのだから、わざわざリスクを取って海外投資する必要はない」と言った声まで聞かれます。 このようなアメリカ経済への楽観論を持っている代表的人物として、Warren Buffett氏(80)がいます。 「オマハの賢人」として知られる同氏は、ファンダメンタルズ株式投資家として、現世で最も著名で且つ経済的に成功している人物であることは、今更言うまでもないと思います。そんな同氏が、世界が大いなる不確実性に満ちているように感じられる今日、どんな楽観論を持っているのか、取り上げてみたいと思います。 Buffett氏率いるBerkshire Hathaway社は、

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  • スイス発、世界の関心事2011 | ウォールストリート日記

    WEFは、ジュネーブに拠点を置く非営利団体で、1971年にUniversity of Genevaの経営学教授Klaus Schwab氏によって設立されました。当時は西欧の経営者の集まりで、名前もEuropean Management Forumだったそうですが、1987年より世界全体を対象とすることとして、現在の名前になったそうです。(余談ですが、ジュネーブ以外のオフィスが、ニューヨークと、そして北京にあるというのは、興味深い話です。) WEFの会議内容は、ウェブやメディアを通じて世界中に広く配信されていますので、参加者の主な目的は、会議から何かを学ぶと言うよりも、むしろネットワーキングに尽きるのだろうと思います。日でも、菅直人首相が、ヘッジファンド経営者のGeorge Soros氏と会談して、同氏の環境保全活動への協力を約束した、などと報道されていたと思います。 そんなWEFに関連し

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  • 三極化した世界 | ウォールストリート日記

    毎年12月になると、主要な証券会社のエコノミストやストラテジスト達が、世界中の機関投資家を回り、もうすぐ終わる一年はどういう年であったか、来年の世界経済や市場の見通しはどうであるか、そしてその結果、どこにどのように投資をすることが勧められるか、といったプレゼンテーションを行います。 ニューヨークは、そうしたグローバル・ロードショーの最終目的地となる事が多いようで、「過去2週間ほどでアジアとヨーロッパを回って来たが、各地域の投資家の興味関心や、支配的な考え方は、こんな感じである。それに対して自分達はこう思う、云々・・・」と言った切り口で、話が進められることが多いように思います。そうした話を聞くことは、世界のマネーの関心がどこにあるかを大まかに把握するのに有用です。 具体的プレゼン内容は、昨年2009年末は、「今年はリーマン危機からのリバウンドの年であり、その回復力の強さは、中国など途上国を牽

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  • 通貨戦争-アメリカの内情と日本への期待 | ウォールストリート日記

    Tea Party現象 今アメリカでは、Tea Partyと呼ばれる政治運動が、大変勢いをつけて来ています。ボストン茶会事件から名前を取っているこの活動は、簡単に言ってしまえば、アメリカの典型的保守派運動で、いわゆる「小さい政府」の実現を、かなり過激な形で訴えています。 10月24日のBusinessweekの記事「The Devil You Don’t Know(あなたの知らない悪魔)」が挙げていた、同運動の代表的主張には、以下のようなものがあります。 - ブッシュ減税の恒久化、預金や配当金への減税 - 相続税の廃止 - 国民皆保険の廃止 - FRB(連邦準備制度=中央銀行)廃止 - IRS(内国歳入庁=国税庁)廃止 9月の始めにワシントンDCに行く機会があったのですが、そこで偶然遭遇したTea Partyの政治集会に集まった人々の横断幕には、「Live Free or Die Hard

    通貨戦争-アメリカの内情と日本への期待 | ウォールストリート日記
  • 国際通貨戦争-世界的リバランスは実現するか | ウォールストリート日記

    国際通貨戦争とは、簡単に言うと、「自国通貨価値引下げ競争」のことです。リーマンショック後の不景気に苦しむアメリカに代表される先進国は、輸出拡大による景気回復を狙って、積極的な金融緩和を行っています。その結果、米ドルは主要通貨に対して軒並み値を下げており、溢れたマネーは成長率の高い発展途上国に流入して、途上国が輸出減と資産バブルの発生に苦しんでいる、という構図になっています。 情勢はそれだけに留まりません。引続き失業率の高留まりに苦しんでいるアメリカは、自国通貨を割安に維持することで巨額の貿易黒字を抱える中国に対して、通貨切り上げを強く求めています。具体的には、「人民元レートが実質的輸出補助金になっている」として、制裁関税をかける法案、事実上、人民元の引き上げを強制する法案が、米下院を通過しました。上院通過と大統領のサイン無しにはまだ効果はありませんが、11月の中間選挙での苦戦が伝えられるオ

    国際通貨戦争-世界的リバランスは実現するか | ウォールストリート日記
  • リーマン危機後二年:ウォールストリートの変化 | ウォールストリート日記

    リーマン危機発生から二年が経ちましたが、その間にウォールストリートには、様々な変化が生じました。 Goldman SachsとMorgan Stanleyという、アメリカ投資銀行を代表する二社が、Lehman破綻後に銀行持ち株会社に移行し、直近ではアメリカで金融改革法が成立して規制環境が大きく変化したことが、中でも特に大きい変化であったと言えるかもしれません。 そんな両社について、9月27日のBloombergの記事に、Morgan とGoldmanが全く違う道を進んでいる、という記事が載っていました。 記事のタイトルは「Goldman Trades Where Morgan No Longer Treads With Gap Widening(トレーディング業務を続けるGoldmanと続けていないMorganの株価相関が拡大)」で、2010年の第三四半期の両社の株価の相関は、2003年

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  • 日本の敵は「日本」? | ウォールストリート日記

    この記事の中でEconomistは、日の問題点について具体的に指摘しているので、前回に引続き気分の良い話ではありませんが、欧米の金融界の声を紹介するという観点から、抄訳を中心に簡単に紹介してみたいと思います。 まず、記事の冒頭で Economistは、「わずか5年前まで、中国のGDPは日の半分に過ぎなかった」と指摘しています。 そして、「人口が10倍の中国に、日が経済規模でいずれ抜かれるのは、宿命であったとは言え、そのスピードは驚くべきものがある。わずか20年前には、世界一の座も狙えると言われていた日が、世界第三位に転落したと言うのは、心の暗くなるような一大事である」と書いています。 そんな同誌が指摘する日の問題点は、以下の通りです。 1.日の「ボス」達は改革を拒んでいる 日の政財界のトップは「現実の権力シフトを受け入れることを恐れているか、古くて慣れ親しんだモデルにしがみつ

    日本の敵は「日本」? | ウォールストリート日記
  • 「Japan as No.3」 | ウォールストリート日記

    もちろん、GDPの日中逆転は以前から予想されていたことであり、FTも、8月18日の記事「China at Number Two...and Counting(中国が第二位に、そして一位も)」や、7月30日の記事「China closer to becoming second-largest economy(中国、世界第二位の経済大国に迫る)」の中で、「北京と東京では、事をしたり足つぼマッサージを受けたりするコストが大きく違うという実態を反映した『PPP(購買力平価)』ベースで見ると、中国は10年ほど前に、とっくに世界第二位の経済大国になっている」と指摘していました。 WSJの記事の中でも、国民一人辺りのGDPでは、(人口が中国の10分の1である日は)今でも中国を大きく引き離しており、生活水準も日の方が、比較にならない程高い。 しかし、1990年から2009年にかけて、中国が平均年率1

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  • ウォールストリート改革法は「落第点」? | ウォールストリート日記

    最近、指導力不足により人気が急落しているオバマ大統領は、この法律は「足元の景気低迷の原因となった、金融危機の発生を妨げる、大きなステップになる」として、「長らくの間、金融業界は、時代遅れで強制力のないルールによって監督され、それが経済全体を危機に陥れるようなリスクテイクを引き起こして来た。アメリカ国民は今後、ウォールストリートの間違いのつけを払う必要が一切なくなる」と、法律実現の成果を強調しました。 しかし、彼を取り囲んでいる人の大半は民主党議員であり、共和党からの賛同者は極めて少なく、法律に批判的な業界関係者も、Citigroupのトップ以外は、その場に顔を見せなかったそうです。 また、金融業界のあらゆる事業範囲を対象としている同法は、具体的な規制作りの詳細を官僚に任せる形で先送りしているそうで、その数は数百項目に上るそうです。よって今後、担当官庁が、よほどしっかりとした意志とコミットメ

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  • 恐怖と期待の中間?-ウォールストリート改革案 | ウォールストリート日記

    ウォールストリート改革の目的は、主に二つあったと言えると思います。 1つ目は消費者の保護で、複雑な金融商品によって一般投資家が被害を受けることを妨げること。そしてもう1つは、こちらがこのブログの主要な関心事でもあるのですが、金融機関の税金による救済の必要性をなくす事、つまり「Too Big To Fail(大きすぎて潰せない)」問題に対応して、金融機関の活動範囲を厳しく制限することです。 消費者保護については、ここで詳しくは触れませんが、Fed(米連銀)の中に、消費者保護を司る機関を新設し、そこが消費者向けの金融商品の監督に当たるようです。当初オバマ大統領は、この機関を完全に独立した機関とすることを主張していましたが、後述の通り、圧倒的に強化されることになったFedの監督権との関連で、「独立機関」としてFedの中に設立されることになったようです。 金融機関規制については、2008年の金融危

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  • 欧州通貨危機とグローバルマクロファンド | ウォールストリート日記

    ウォールストリートの主だった話題や関心事、業界の内情や仕事内容、日中国経済の見方等についての、報道と経験に基づく所感。 by harry_g

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  • SEC vs. Goldman | ウォールストリート日記

    アジア出張に行っていて若干遅れましたが、最近株式市場を大いに騒がせて、アメリカでは「国策捜査ではないか」とまで言われている、米証券取引委員会(SEC)によるGoldman Sachsに対する詐欺行為の訴えについて、少々書いてみたいと思います。 その内容については、さまざまな記事が報道していますが、WSJの4月18日の記事「Breaking Down the Case(訴訟内容の解説)」に、一番よくまとまっているようですので、それを参照してみます。 その記事によると、SECの訴えは、大手ヘッジファンドのPaulson & Coが、住宅ローン担保証券の値下がりに賭けるために組成を試みたCDOと呼ばれる仕組み債を、仲介業者であったGoldman Sachsが、売り手であるPaulsonの意志や存在を、買い手である顧客に伝えず、同債券の値下がりによって顧客に不当な損失を負わせた、というもののようで

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  • 「Volcker Rule」の行方 | ウォールストリート日記

    大手銀行に自己ポジションのトレーディング業務やヘッジファンド・PEファンドのスポンサーをすることを禁じる「Volcker Rule」について、二ヶ月ほどまえにいくつかのエントリーを書きました。 このルールは、額面どおりに実現すれば、大恐慌後に証券と銀行を分離し、当時金融財閥として君臨していたJP Morganから証券部門のMorgan Stanleyをスピンオフさせた、かの有名な「グラス・スティーガル法」に並ぶか、それ以上のインパクトがあるとして、ウォールストリートでは色々な方面から、注目が集まっています。 法案の対象になる大手銀行の中には、元大手証券のGoldman SachsやMorgan Stanleyも含まれており、これら企業にとって自己トレーディングは、きわめて重要な収益源です。仮に銀行業務を営むことで、それらの業務が出来ないとなれば、これらの会社は銀行である立場を捨てるなどの行

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    iGucci
    iGucci 2010/03/31
  • ヘッジファンドのシステミックリスク? | ウォールストリート日記

    イギリスのTelegraph紙が2月23日に報じたところによると、英FSAは、ヘッジファンドがシステミックリスクの発生の原因となり得るかについて、広範な調査を行ったそうです。そしてその結論は「そのリスクは低い」というものであったそうです。 英FSAの調査は、大手50社のヘッジファンドと、投資銀行が有するプライムブローカレッジ部門を対象として行われ、イギリス当局による初の大規模な業界調査であったということです。調査対象となったヘッジファンドは、合計で£300bn(約42兆円)を運用し、業界全体の20%を占めるそうです。 また、プライムブローカレッジとは、ヘッジファンドに対してレバレッジ(借入金)を提供したり、株式のショートセール(空売り)のための貸し株を提供したりする部署のことを言います。つまり今回の調査は、ヘッジファンドそのものだけではなく、そこと頻繁に取引をする、金融機関側も対象になった

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  • ウォールストリート解体の合理性? | ウォールストリート日記

    先日からのエントリーで、オバマ大統領が発表した、ドラスティックなウォールストリート規制案の内容と、それに反対する金融メディアや、その他の方面からの反応について取り上げました。 発案者とされるPaul Volcker元FRB議長の名前を冠して、通称「Volcker Plan」と呼ばれるこの案は、以前にこのブログでも紹介した、英国における巨大金融機関の解体論(商業銀行のスピンオフ)と近い内容のように思います。議論の公平を期すためにも、この改革論への賛成意見について、取り上げたいと思います。 1月22日にFTが、「Obama’s bank plan is a start(オバマの銀行規制案はスタートに過ぎない)」という、NYU(ニューヨーク大学)Stern Schoolのファイナンス教授、Viral Acharya氏とMatthew Richardson氏の寄稿記事を載せていました。この記事は、

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  • ウォールストリート規制案への反応 | ウォールストリート日記

    ウォールストリートの主だった話題や関心事、業界の内情や仕事内容、日中国経済の見方等についての、報道と経験に基づく所感。 by harry_g

    ウォールストリート規制案への反応 | ウォールストリート日記
    iGucci
    iGucci 2010/01/26
    「プロップトレーディングの利益貢献度は、Credit Suisseで4.9%、Deutsche Bankで4.3%、Barclaysで4.2%」
  • ウォールストリートへの「宣戦布告」の衝撃 | ウォールストリート日記

    (写真は左から、月初に金融危機の原因解明に関する議会公聴会で証言台に立つLloyd Blankfein(GS)、 James Dimon(JPM)、 John Mack(MS)、Brian Moynihan(BofA)の各CEO) 提案された規制の内容 今回提示された規制案の具体的内容は、連邦政府の保護を受ける預金業務を営む金融機関(つまり銀行)が、自己資を用いた証券売買(プロップトレーディング)、ヘッジファンドの保有、プライベートエクイティファンドの保有をすることを禁止し、トレーディング業務は対顧サービスに限定する、と言うものです。と同時に、銀行が「大きすぎて潰せない」ことのないよう、一社で全米の預金残高の10%以上を保有することも、禁ずるそうです。 これは大手金融機関に、事実上、銀行業を営むかリスクの高い自己投資事業を営むか、どちらかを選択することを迫るものです。Lehman破綻の際

    ウォールストリートへの「宣戦布告」の衝撃 | ウォールストリート日記
  • 「Land of the Setting Sun」? | ウォールストリート日記

    への関心度の低下を如実に示しているのは、株式市場の動向です。株式投資に関わっている人であればご存知の通り、2009年の外国人投資家による日株のウェイト(保有レベル)は、歴史的ともいえる低水準にまで下がっています。 投資家のウェイトは頻繁に変わるものなので、これだけでどうこう言うのは難しいですが、欧米の投資銀行でも、今まで日株はアジア株と独立したチームであったのが、最近はアジア株の中に統合されつつあるという話を、以前にも書いたと思います。東証は売買高で既に上海市場に抜かれていますが、これで更に、欧米の投資銀行の日へのコミットメントレベルが格的に下がり出すようだと、大きなトレンドの変化と言えるかもしれません。 日株への関心が下がっている理由は色々ありますが、グローバルファンドからよく聞かれる理由には、以下のようなものがあります。 1.円高進行と輸出先(欧米)経済の落ち込みにより、

    「Land of the Setting Sun」? | ウォールストリート日記