組織とリアルな物語 —日建設計100周年からの10年とこれから— (『建築と社会』2010年1月号) 花田佳明(神戸芸術工科大学教授) はじめに 日建設計の創業は、1900年6月に住友本店に設置された臨時建築部とされており、そこから数えると2010年で110周年を迎えることになる。100周年に際しては、本誌2000年8月号で特集が組まれ、『北浜五丁目十三番地まで』に続く社史の後編『北浜五丁目十三番地から』(橋本喬行、創元社、1999年3月)が出版され、さらに『設計の技術 — 日建設計の100年』(2001年4月)という、主に技術面からの社史といえる大著がまとめられるなど、さまざまな動きがあった。 それから10年。110周年記念の本特集号において、この間の変化について考察せよという宿題を日建設計からいただいた。 しかし、この巨大組織を一朝一夕に語れるはずはない。にわか仕立てのインタビューや資