著者の言うように、気象や気候予測に不確実性は必ずあります。私たち気象関係者は、常に不確実性と寄り添いながら仕事をしてきました。気象予測の不確実性があるなかで、それでも気象リスクに備えるためどう社会に伝えるか苦心してきました。 私は大学院で地球物理を専攻し、気象庁に入りました。研究者というより行政職の道を歩んできたのですが、40歳ぐらいまでは天気予報のもとになる地球全体を対象とする数値天気予報モデルの開発をして、そこで台風の進路予報精度の向上などの仕事をしました。 本書でクーニンさんは、地球温暖化予測のシミュレーションモデルでは、パラメーターの「調整」が行われていると書いています。 これについては、私も思い当たります。ノーベル賞を受賞した真鍋淑郎博士の研究から発展した地球温暖化予測モデルも天気予測のモデルも、海洋をどこまで精緻に扱うかなどの違いはありますが、物理法則を用いてコンピューターで計