江藤淳と大江健三郎: 戦後日本の政治と文学 (単行本) 作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/02/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 上記の書評が、「週刊読書人」4月24日号に掲載されています。 以下、本書の内容とはまた別につらつら考えたことを。 本書を読んでいて強く思ったのは、「非現実的」で「感情論的」な「反米右翼」と化していくという、本書が描く江藤淳の末路は、やはり江藤が平野謙を批判したときに、すでに決まっていたのではないかということだ。 江藤は「青春の荒廃について」(1962)で、平野の「青春」の根幹をなすプロレタリア文学運動を批判した。中村光夫にならって、プロレタリア文学運動に、「青年たちの心を根こそぎにしていったひとつの強力なロマン主義の運動」を見出したわけだ。 江藤に言わせれば、だとしたらそこからの「転向」は、「敗北して青