モダリティや陳述論の先行研究は非常に多いので、今回は担当者の目に止まった部分的な考察になることをことわって、次に具体的な問題を見ていきたい。 2.陳述論的文観 山田1908:「一つの句とは統覚作用の一回の活動によりて組織せられたる思想の言語上の発表をいふ。」統覚作用は意識の統合作用、精神の統一作用で内容上説明・想像・疑問・命令・禁制・欲求・感動等の思想を表す。そして、一つあるいは一つ以上の句がこの統覚作用をもって統合され言表されるとき文が成立する。その何かについて述べるという作用を「陳述」という。 時枝1941:「詞的対象を辞の表す主体的把握が包み、統一して表現が成立すると言うこと」いわゆる入子型構造の文把握。→文を構成する諸要素がどのように結びついて一文を形成するかという文法論の問題点を棚上げしてしまっている。文の格的構造はいかに、述語と格的成分の関係はいかに、述 語の形態変化による文の