上図は、左から右へ、アクセントから遠ざかっていくにつれ、それぞれの発音が徐々に «あいまい母音» に接近していく様を如実に物語っている。/u/ はどの場合でも変化しないようだが、音声学的にはやはり 1 から 3 に移行するにつれ、微妙に変化している。 このように、ロシア語の母音は 3 の段階においては、/u/ を除いてすべて、硬音は /ə/ に、軟音は /ɪ/ になってしまうのである。しかし 1 の段階では、すべての文字はそれぞれまったく異なる発音がされる。これこそが、その母音本来の発音であり、すなわち、アクセントがある時の発音ということになる。 専門用語を使えば、ロシア語のアクセントとは、アクセントのない母音が弱化して音韻交替を起こす、というものである。つまり、а は、アクセントがある場合は /a/ という音だが、アクセントがないと /ə/ という音に変化する。 日本人の耳には、/a/