中田耕二編『恐怖の一ダース』(出帆社 後に講談社文庫で再刊(一部差し替えあり))は、「恐怖」の範囲を広くとったものか、サスペンスやミステリ調の作品も多く含まれています。コーネル・ウールリッチ、 ロス・マクドナルド、レイモンド・チャンドラーが出てくる怪奇アンソロジーというのも珍しいですね。収録作品中では、暗示を多用した幻想小説『塔』(マーガニタ・ラスキー)が秀作。 比べて、同じく中田耕二編の『恐怖通信』(河出文庫 全2巻)は、娯楽性重視の楽しめるアンソロジーに仕上がっています。ロマンスの味の濃い『犠牲(いけにえ)の年』(ロバート・F・ヤング)、淡々としたタッチが戦慄度を高める『おぞましい交配』(ウイリアム・バンキアー)、民話風のファンタジー『猫の王さま』(スティーヴン・V・ベネット)、人を喰った奇妙なコメディ『ヘンリー・マーティンデールと大きな犬』(ミリアム・アレン・ディフォード)など。 橋
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