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fantasyと*highbrowに関するinmymemoryのブックマーク (96)

  • 奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその3

    中田耕二編『恐怖の一ダース』(出帆社 後に講談社文庫で再刊(一部差し替えあり))は、「恐怖」の範囲を広くとったものか、サスペンスやミステリ調の作品も多く含まれています。コーネル・ウールリッチ、 ロス・マクドナルド、レイモンド・チャンドラーが出てくる怪奇アンソロジーというのも珍しいですね。収録作品中では、暗示を多用した幻想小説『塔』(マーガニタ・ラスキー)が秀作。 比べて、同じく中田耕二編の『恐怖通信』(河出文庫 全2巻)は、娯楽性重視の楽しめるアンソロジーに仕上がっています。ロマンスの味の濃い『犠牲(いけにえ)の年』(ロバート・F・ヤング)、淡々としたタッチが戦慄度を高める『おぞましい交配』(ウイリアム・バンキアー)、民話風のファンタジー『の王さま』(スティーヴン・V・ベネット)、人を喰った奇妙なコメディ『ヘンリー・マーティンデールと大きな犬』(ミリアム・アレン・ディフォード)など。 橋

    奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその3
  • 奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその4

    河出文庫から出ていた、国別の『怪談集』は、画期的なアンソロジーでした。『イギリス怪談集』『アメリカ怪談集』『フランス怪談集』『ドイツ怪談集』『ロシア怪談集』『東欧怪談集』『ラテンアメリカ怪談集』『日怪談集 上下』『日怪談集 江戸編』『中国怪談集』。国別の怪談・怪奇小説を概観できるという、重厚なシリーズです。ただ『イギリス』や『アメリカ』は、わりと流の怪奇小説アンソロジーになっているのに対して、他の国のものは編者の好みが強く出た、個性的なものになっているのが特徴です。 ティーク、ホフマン、クライストなどの古典的怪奇小説から始まりながらも、後半になるに従って前衛色を強めていく『ドイツ怪談集』(種村季弘編)。「マジック・リアリズム」作品を中心に集め、SF色も濃厚な『ラテンアメリカ怪談集』(鼓直編)、流麗かつ耽美的な作品を集めた『フランス怪談集』(日影丈吉編)、ポーランド、チェコ、ハンガリー

    奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその4
  • 奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその5

    今回は、モダンホラー関係のアンソロジーを中心にご紹介したいと思います。モダンホラー関係のアンソロジーでは「書き下ろし」が多いのが特徴です。既に発表された作品を編集するのではなく、そのアンソロジーのためにテーマを決め、それにそって書かれた新作を集める、というのが「書き下ろしアンソロジー」と呼ばれるものです。そのため、全編新作という「売り」ができる代わりに、収録作品が玉石混淆になってしまうという危険性もあります。 まず筆頭にあげるべきは、カービー・マッコーリー編『闇の展覧会』(ハヤカワ文庫NV 全3巻)でしょう。玉石混淆ではありますが、全体にレベルの高い作品集ではあります。ジャンル作家だけでなく、アイザック・B・シンガーやジョイス・キャロル・オーツといった主流文学の作家、ジーン・ウルフやジョー・ホールドマンといったSF系の作家、ゴースト・ストーリーの大家ロバート・エイクマンなど、幅広い分野から

    奇妙な世界の片隅で : 欧米の怪奇小説をめぐって  アンソロジーその5
  • 悪夢と哄笑  仁賀克雄編訳『新・幻想と怪奇』

    先日、収録作品を紹介した『新・幻想と怪奇』 (仁賀克雄編訳 ハヤカワ・ミステリ)が発売されましたので、内容を紹介したいと思います。 結果から言うと、編者が以前に編んだハヤカワ文庫版の『幻想と怪奇』に連なる路線のアンソロジーでした。狭義の「怪奇小説」だけでなく、SFやミステリ的な要素も含んだ、エンタテインメント作品全般を集めたアンソロジーになっています。 それでは、以下いくつかの作品について、ご紹介します。 ローズマリー・ティンパリー『マーサの夕』 家事をそつなくこなし、夫に対して常に尊敬の念を忘れない理想のマーサ。それをいいことに、夫のポールは愛人エステルとの逢瀬を繰り返していました。しかしある日、約束通りエステルの家に着くと、彼女はいませんでした。不審に思いながらも、自宅に戻ったポールに対し、マーサは不可解な態度をとりますが…。 完璧なマーサが見せる静かな狂気とは…? 抑えた筆致で

    悪夢と哄笑  仁賀克雄編訳『新・幻想と怪奇』
  • 奇妙な世界の片隅で : 幻想と怪奇と恐怖  怪奇小説アンソロジーの難しさ

    今月発売予定の『新・幻想と怪奇』(仁賀克雄編訳 ハヤカワ・ミステリ)の収録内容が、早川書房の新刊案内で発表されました。 ローズマリー・ティンパリー『マーサの夕』 ゼナ・ヘンダースン『闇が遊びにやってきた』 ロバート・シェクリイ『思考の匂い』 チャールズ・ボーモント『不眠の一夜』 ジョージ・フィ-ルディング・エリオット『銅の鋺』 ゴア・ヴィダール『こまどり』 アンソニイ・バウチャー『ジェリー・マロイの供述』 アラン・ナース『虎の尾』 フィリップ・ホセ・ファーマー『切り裂きジャックはわたしの父』 リチャード・ウィルスン『ひとけのない道路』 ウィリアム・テン『奇妙なテナント』 マンリー・ウェイド・ウェルマン『悪魔を侮るな』 A・M・バレイジ『暗闇のかくれんぼ』 リチャード・マシスン『万能人形』 ロバート・ブロック『スクリーンの陰に』 レイ・ラッセル『射手座』 ローズマリー・ティンパリー『レイチ

    奇妙な世界の片隅で : 幻想と怪奇と恐怖  怪奇小説アンソロジーの難しさ
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    inmymemory 2009/05/06
    いずれの怪奇小説アンソロジーも所有していた
  • 奇妙な世界の片隅で : 怪談のススメ  東雅夫『怪談文芸ハンドブック』

    このたび出版された、東雅夫『怪談文芸ハンドブック』(メディアファクトリー 幽BOOKS)は、今までありそうでなかった「怪談」の入門書です。「怪奇小説」や「ホラー」ではなく、「怪談」というところがポイントですね。 まず「幻想文学」と総称される、はなはだ広大な文芸ジャンルがあり、そのサブジャンルとして「ファンタジー」「SF」「伝奇小説」などと並んで「ホラー」として括られる一分野がある。さらにその「ホラー」の中のサブジャンルとして「怪談」がある…という構造です。 つまり「ホラー」よりも狭い概念として「怪談」をとらえているわけです。その言葉通り、書には、我々がイメージする現代の恐怖小説、いわゆる「モダンホラー」などは登場しません。書でふれられるのは、欧米ならブラックウッドやマッケン、日で言えば芥川龍之介や岡綺堂らの時代まで。言ってみれば「クラシック」な怪談を中心に取り扱っているといっていい

    奇妙な世界の片隅で : 怪談のススメ  東雅夫『怪談文芸ハンドブック』
  • http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0002.html

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    inmymemory 2009/03/29
    "本書は『ダンセイニ幻想小説集』(創土社)ともども絶版。戯曲の名手でもあってメーテルリンクに通じる。幻想小説『エルフランドの女王』(月刊ペン社・絶版)はラヴクラフト、フリッツ・ライバーに影響を与えた名作"
  • フランス幻想小説傑作集 - アブソリュート・エゴ・レビュー

    『フランス幻想小説傑作集』 窪田般弥・滝田文彦 編   ☆☆☆☆☆ 昨日読了。フランス人作家のアンソロジーとしては他に『フランス短篇傑作選』、『怪奇小説傑作集4』(澁澤龍彦・青柳瑞穂訳)を持っているが、どれもはずれがない。内容的にはなんとなく似たような感じではあるが、良いものは良い。書も当にレベルが高い。 今『独逸怪奇小説集成』というのもボチボチ読んでいて、これも幻想的な短篇アンソロジーということで似ているが、国民性の違いというものが感じられて面白い。誰かが解説に書いていたが、フランスの短篇、特に幻想的な短篇というのは散文詩に接近する傾向があって、非常にポエティックだ。そして重くならずにどこか軽さがある。もちろん例外はあるが。 書のラインアップは以下の通り。錚々たるメンバーだ。 『州民一同によって証言された不可解な事件』 D=A=F・ド・サド 『不老長寿の霊薬』 オノレ・ド・バルザッ

    フランス幻想小説傑作集 - アブソリュート・エゴ・レビュー
  • 怪奇小説傑作集4 - アブソリュート・エゴ・レビュー

    『怪奇小説傑作集4』 澁澤龍彦、青柳瑞穂訳   ☆☆☆☆ 創元社の怪奇小説傑作集4巻目、フランス篇である。編者が澁澤龍彦なので以前からこれだけ持っていたが、イギリス篇の『怪奇小説傑作集1』を読んだので再読してみた。イギリス篇とは大分異なり、怪談というより幻想譚という方がふさわしい短篇が多い。 非常に豪華なラインナップで、サド、ノディエ、メリメ、ネルヴァル、モーパッサン、シュオッブ、アポリネールと純文学畑のビッグネームが多い。そういう意味では『怪奇小説傑作集1』より『日怪奇小説傑作集1 』に近い印象を持った。澁澤龍彦自身、解説で「あまりに純文学的にすぎて、エンタテインメントとしては物足りないと感ずる向きもあろうかと思う」といいながらも、「どれ一つとして、粒選りの名作でないものはない」と太鼓判を押している。澁澤ワールドに惹かれる人にはやはり必読の書ということになるだろう。 色んなタイプの短篇

    怪奇小説傑作集4 - アブソリュート・エゴ・レビュー
  • 供述によるとペレイラは…… - アブソリュート・エゴ・レビュー

    『供述によるとペレイラは……』 アントニオ・タブッキ   ☆☆☆☆☆ アントニオ・タブッキは『インド夜想曲』とこの『ペレイラ』が最も良いと思う。僅差の次点が『レクイエム』と『島とクジラと女をめぐる断片』、第三グループが『逆さまゲーム』『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』『黒い天使』『フェルナンド・ペソア最後の三日間』などの短篇集(及び中篇)の数々、そして『遠い水平線』『夢の中の夢』『ダマセーノ・モンテイロの失われた首』と続く。タブッキを何から読んだらよいかと聞かれたら私はこの順番に勧める。 しかしタブッキの作品はどれもこれも高レベルなので、どれを読んでも間違いはない。『ダマセーノ・モンテイロ』を除いて、作品の印象も非常に似通っている。そういう素晴らしい作家のベストであるからには、書は大傑作でなければならない。 二大傑作の『夜想曲』と『ペレイラ』を比較すると、『夜想曲』の方が幻想小説の範疇

    供述によるとペレイラは…… - アブソリュート・エゴ・レビュー
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    inmymemory 2009/03/14
    "『インド夜想曲』『ペレイラ』が最も良い。次点『レクイエム』『島とクジラと女をめぐる断片』"
  • 『少年十字軍』 マルセル・シュウォッブ - アブソリュート・エゴ・レビュー

    『少年十字軍』 マルセル・シュウォッブ   ☆☆☆☆☆ 再読。短編集である。シュウォッブはポーやリラダン系統の絢爛たる幻想の紡ぎ手で大好きな作家の一人だが、これも絶版だ。収録作品は以下の通り。 「黄金仮面の王」 「大地炎上」 「ペスト」 「眠れる都市」 「〇八一号列車」 「リリス」 「阿片の扉」 「卵物語」 「少年十字軍」 シュウォッブの幻想譚の特徴としては、まず天変地異というか大規模なカタストロフへの嗜好が強く見られること。「大地炎上」はまさに世界の滅亡を扱った短篇だし、「ペスト」ではペスト、「〇八一号列車」ではコレラが跳梁する世界が描かれる。あからさまに天変地異が出てこない他の短篇でも、どこか終末幻想のようなものが漂っていて、独特の世界を形作っている。渋澤が絶賛するモンス・デシデリオの絵画に似た雰囲気を感じる。 それからそれぞれの短篇がほぼ一個のイメージを核に簡潔に成り立っていて、凝

    『少年十字軍』 マルセル・シュウォッブ - アブソリュート・エゴ・レビュー
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    inmymemory 2009/03/14
    "ポーやリラダン系統の絢爛たる幻想の紡ぎ手" "渋澤が絶賛するモンス・デシデリオの絵画に似た雰囲気を感じる"
  • 黄昏のミステリ   ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』

    創作神話『ペガーナの神々』、叙情的な長編ファンタジー『魔法使いの弟子』『エルフランドの王女』、そして数多ある傑作短編。華麗なファンタジーで知られるイギリスの作家、ロード・ダンセイニの作品はしかし、純粋なファンタジーにとどまらない広がりを持っています。 ジョーキンズ氏を語り手とする法螺話集『魔法の国の旅人』のように、都会派風のしゃれた短編もものしています。今回刊行された『二壜の調味料』(小林晋訳 ハヤカワ・ミステリ)は、どちらかというとこの手のものに属するタイプの作品集といえるでしょうか。 『二壜の調味料』 金を引き出された後、失踪した娘ナンシー・エルス。警察は、同棲していた男スティーガーが娘を殺したのではないかと疑いますが、死体を始末した形跡はうかがえません。わかっているのは、スティーガーが二壜の調味料を買ったことと、突如庭の木を切り倒し始めたことの二つのみ。事件に興味を持ったリンリーとス

    黄昏のミステリ   ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』
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    inmymemory 2009/03/10
    荒俣宏がペンネームにするくらいの作家なのに、知名度がなかなか上がらない。古本屋ではやたら高いけど
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  • 伊佐津陵登のかいまみえるblog

    様々な投資の方法というのがあるのですが基的にお勧めできるのが株式投資というものになるでしょう。株式投資であればかなり安心して進めることができるようになります。一度購入してしまえば後は放置するということもできたりします。キャピタルゲイン狙いではなくインカムゲイン狙いということであればそういうことがかなりしやすくはなっていますのでかそういう意味において極めてメリットがあるというのは間違いないでしょう。それがとてもよいことになります。さすがに難しいこととして存在しているのがどのような銘柄を購入するべきであるのかということなのですがそれは安定株を狙えばとりあえずはそこまで極端にリスクが高くなるということはないです。そうしたことがありますから、言うほど難しいということでもありませんからこれは知っておきましょう。とりあえずやってみるという価値があったりするわけですからその点のことをよく考えてみると上

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    inmymemory 2009/02/03
    無店舗オンライン古本屋。澁澤龍彦、サド、バタイユ、マンディアルグ、夜想(古本、新刊本)など幻想、エロス、知を愛する
  • Infoseek[インフォシーク] - 楽天が運営するポータルサイト

    2人以上で遊べる!ニンテンドースイッチ用パーティー向けゲーム7選 ニンテンドースイッチは据え置き機ながらも、持ち運んでゲームができるため、人が沢山集まるところに1台

    Infoseek[インフォシーク] - 楽天が運営するポータルサイト
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    inmymemory 2009/02/03
    富田進(編集者&コピーライター)が運営する無店舗オンライン古本屋。耽美・幻想・神秘・異端・怪奇・エロスなど奇妙な味の本。
  • 空想家のための古本屋 享楽堂|ファンタジー/幻想文学/ゴシック

    シーリングワックス &スタンプセット 晴雨予想グラス 森モチーフのシルエット 振子時計 paperblanks ミニ ジュエリーボックス ※アフィリエイトです。

    空想家のための古本屋 享楽堂|ファンタジー/幻想文学/ゴシック
  • ジョヴァンニ・パピーニ『逃げてゆく鏡』 - Pulp Literature

    ★★★★★ Lo specchio che fugge / Giovanni Papini 河島英昭 訳 / 国書刊行会 / 1992.12 ISBN 978-4336030504 【Amazon】 ボルヘス編纂の短編集。「泉水のなかの二つの顔」、「完全に馬鹿げた物語」、「精神の死」、「<病める紳士>の最後の訪問」、「もはやいまのままのわたしではいたくない」、「きみは誰なのか?」、「魂を乞う者」、「身代わりの自殺」、「逃げてゆく鏡」、「返済されなかった一日」の10編。 <バベルの図書館>の30巻目。いかにもディレッタントが好みそうな幻想小説集だった。19世紀風の耽美な価値観が魅力的で、常識を越えた歪な状況にくらくらする。一読して癖になる作風だった。 以下、各短編について。 「泉水のなかの二つの顔」"Due immagini in una vasca" 久方ぶりに廃園を訪れた男。泉を覗くと、

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    inmymemory 2009/01/11
    ボルヘス編纂<バベルの図書館>30巻目の幻想小説短編集
  • http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0879.html

  • あのころの怪奇  歳月社『幻想と怪奇』

    1973~74年にかけて発行された『幻想と怪奇』(歳月社刊(創刊号のみ三崎書房))という雑誌がありました。タイトルからもわかるように「怪奇小説」や「幻想小説」の専門誌です。欧米の作品の翻訳が中心で、評論やエッセイも取り混ぜた、とても面白い雑誌でした。 実質的な編集者は、紀田順一郎と荒俣宏。寄稿者には、桂千穂、鏡明、大滝啓裕、山下武、安田均などが名を連ねています。 全部で12号が発行されましたが、全号揃いとなると、古書でも高値がつくことが多いようです。出版物の常で、後半の号の方が入手が難しく、僕もようやく最近になって、全号を揃えることができました。というわけで、今回はこの雑誌『幻想と怪奇』を紹介したいと思います。 この雑誌、毎号特集が組まれているのですが、まずは、全号の特集内容を並べてみましょう。 創刊号 魔女特集 二号 吸血鬼特集 三号 黒魔術特集 四号 ラヴクラフト=CTHULHU神話特

    あのころの怪奇  歳月社『幻想と怪奇』
  • 完全無欠のファンタジー  フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』

    19世紀半ば、アメリカで活躍し、夭折した伝説の作家、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン。ポーとビアスをつなぐと言われるオブライエンの作品は、発表から100年以上を経た現在でも、みずみずしさを失っていません。奇抜な想像力、変幻自在のストーリーテリング、溢れる情感。その全てが「物語」の完成度を高めています。 わが国でも、欧米怪奇小説の定番アンソロジー『怪奇小説傑作集』(創元推理文庫)に収録された『あれは何だったのか』によって、オブライエンの名は、怪奇小説ファンには知られていました。サンリオSF文庫から傑作集『失われた部屋』(大瀧啓裕編訳)も出ていましたが、絶版になって久しく、長年オブライエンの作品をまとめて読むことはできませんでした。 今回出版された『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕訳 創元推理文庫)は、サンリオSF文庫の傑作集の増補改訳版ということですが、未訳の4編を加えた、オブライエンの決定版短

    完全無欠のファンタジー  フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』
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    inmymemory 2008/12/17
    サンリオSF文庫の傑作集の増補改訳版。小宇宙テーマの先駆的傑作『金剛石のレンズ』、人形をめぐる傑作ファンタジー『ワンダースミス』、シュールなイメージの頻出する奇怪な幻想小説『手から口へ』など傑作揃い