狼の太陽―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)posted with amazlet at 08.08.19アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ 白水社 売り上げランキング: 47358 Amazon.co.jp で詳細を見る 生田耕作の訳文が妙に恋しくなってフランスの作家、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの短編集『狼の太陽』を読む。「狼の太陽」とは何か、本の冒頭には「狼たちの太陽――月」と書かれている――月は何を示しているのか、それは「狂気」だ、ってわけで狂気が目一杯に詰まった怪奇的幻想小説だった。幻想小説の類は、結構苦手とする分野なんだけれども、これは「悪夢度」がハンパではなくて(正直言ってボルヘスよりもすごいと思った)ドキドキしながら読まされてしまった。生田耕作の訳文も素晴らしい。日本語でこれだけ禍々しい感じが出るのであれば、原文はどういう風なんだろう、と興味を持たせてく
城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))posted with amazlet at 08.10.14A・ピエール・ド・マンディアルグ 澁澤 龍彦 白水社 売り上げランキング: 286717 Amazon.co.jp で詳細を見る フランス幻想小説の大家、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの作品は以前に『狼の太陽』を読んだ*1。「これはとても面白かったなぁ」という感覚の残り香みたいなのが残っているうちに神保町の古本屋で買っておいた『城の中のイギリス人』をやっと読む。翻訳は生田耕作でなく、澁澤龍彦。彼の翻訳には生田訳ほどギラギラとした妖しい輝きがない気がするが、とても面白く読めた。背徳感と悪夢感が強烈で、スカトロ、ペドフィリア、レイプ、拷問、獣姦……倒錯的性行為がまるでカタログのように展開されている。 僻地の海岸沿いに聳え立つ城に住む、モンキュという男を語り手が訪れるところから物
神話(しんわ、英: Myth、Mythology)は、人類が認識する自然物や自然現象、または民族や文化・文明などさまざまな事象を、世界が始まった時代における神など超自然的・形而上的な存在や文化英雄などとむすびつけた一回限りの出来事として説明する物語であり、諸事象の起源[1]や存在理由を語る説話でもある[2][3]。このような性質から、神話が述べる出来事などは、不可侵であり規範として従わなければならないものとして意義づけられている[2][3]。 英語のMythology(ミソロジー)には「物語としての神話」と「神話の研究」のふたつの意味がある[4]。例えば「比較神話学」(comparative mythology)は異なる文化圏の神話を比較研究する学問であり[5]、一方で「ギリシア神話」(Greek mythology)とは古代ギリシアの神話物語の体系を指す。単語「myth」は口語にてしばし
イタリアの文豪アルベルト・モラヴィアには、幻想的な作品を集めた『シュールレアリスム短編集(仮題)』という作品集があり、その中からいくつかの短篇が訳されています。本編『夢、うつつ』(千種堅訳 早川書房 ミステリマガジン1991年2月号所収)もその一つですが、その奇怪な世界観は、飛び抜けて独創的です。 どことも知れぬ「夢の島」は、クルウールーという名の怪物に支配されていました。姫君ともぐらの不自然な婚姻から生まれたと言われるクルウールーは、母親の死後、王位継承者として王位につきます。しかし生まれてから一度も目覚めたことのないクルウールーの姿は異様そのもの。 生まれながらにびっしりと体毛におおわれ、すでにおなかも突き出ていて、ちゃんと大きな爪も生え、大きな頭はいかにも眠たげ、巨大なまぶたは真っ青で皺だらけだった。眠りながら生まれてきた。いや、いびきをかきながらといったほうがいい。そのいびきの音か
1973~74年にかけて発行された『幻想と怪奇』(歳月社刊(創刊号のみ三崎書房))という雑誌がありました。タイトルからもわかるように「怪奇小説」や「幻想小説」の専門誌です。欧米の作品の翻訳が中心で、評論やエッセイも取り混ぜた、とても面白い雑誌でした。 実質的な編集者は、紀田順一郎と荒俣宏。寄稿者には、桂千穂、鏡明、大滝啓裕、山下武、安田均などが名を連ねています。 全部で12号が発行されましたが、全号揃いとなると、古書でも高値がつくことが多いようです。出版物の常で、後半の号の方が入手が難しく、僕もようやく最近になって、全号を揃えることができました。というわけで、今回はこの雑誌『幻想と怪奇』を紹介したいと思います。 この雑誌、毎号特集が組まれているのですが、まずは、全号の特集内容を並べてみましょう。 創刊号 魔女特集 二号 吸血鬼特集 三号 黒魔術特集 四号 ラヴクラフト=CTHULHU神話特
19世紀半ば、アメリカで活躍し、夭折した伝説の作家、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン。ポーとビアスをつなぐと言われるオブライエンの作品は、発表から100年以上を経た現在でも、みずみずしさを失っていません。奇抜な想像力、変幻自在のストーリーテリング、溢れる情感。その全てが「物語」の完成度を高めています。 わが国でも、欧米怪奇小説の定番アンソロジー『怪奇小説傑作集』(創元推理文庫)に収録された『あれは何だったのか』によって、オブライエンの名は、怪奇小説ファンには知られていました。サンリオSF文庫から傑作集『失われた部屋』(大瀧啓裕編訳)も出ていましたが、絶版になって久しく、長年オブライエンの作品をまとめて読むことはできませんでした。 今回出版された『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕訳 創元推理文庫)は、サンリオSF文庫の傑作集の増補改訳版ということですが、未訳の4編を加えた、オブライエンの決定版短
先日の『無限がいっぱい』で、異色作家短篇集を読み終えた。そこで、<ひとり異色作家短編集祭り>と題して、短編集ベスト5と短編ベスト10を発表。明日には雲行きで変わるような気分次第の無責任ベスト。まあ固いこといわずに早速参りましょう。 まずは短編集ベスト5から。 ○次点 『棄ててきた女』 新版では若島正編アンソロジーが三冊ある。どれも面白いのだが、旧版とは40年以上のずれがあるため、短編集では一応次点とした(短編ベストの方には入れてしまった)。三冊のうち一読は最も地味なこれがじわじわきた。「顔」「壁」「テーブル」など渋い英国らしい作品が並ぶ。 『虹をつかむ男』 個々の作品はユーモアスケッチといった感じのいわゆる名作とは程遠い軽い作品が多いのだが、まとめて読むと独特の視点が何とも楽しい。幅広い作家のものが読めるのがこのシリーズの良いところだ。 ○5位 『一角獣・多角獣』
1973~74年にかけて発行された『幻想と怪奇』(歳月社刊(創刊号のみ三崎書房))という雑誌がありました。タイトルからもわかるように「怪奇小説」や「幻想小説」の専門誌です。欧米の作品の翻訳が中心で、評論やエッセイも取り混ぜた、とても面白い雑誌でした。 実質的な編集者は、紀田順一郎と荒俣宏。寄稿者には、桂千穂、鏡明、大滝啓裕、山下武、安田均などが名を連ねています。 全部で12号が発行されましたが、全号揃いとなると、古書でも高値がつくことが多いようです。出版物の常で、後半の号の方が入手が難しく、僕もようやく最近になって、全号を揃えることができました。というわけで、今回はこの雑誌『幻想と怪奇』を紹介したいと思います。 この雑誌、毎号特集が組まれているのですが、まずは、全号の特集内容を並べてみましょう。 創刊号 魔女特集 二号 吸血鬼特集 三号 黒魔術特集 四号 ラヴクラフト=CTHULHU神話特
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20世紀の幽霊たち (小学館文庫) 作者: ジョーヒル,Joe Hill,白石朗,安野玲,玉木亨,大森望出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/09/05メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 48回この商品を含むブログ (96件) を見る『20世紀の幽霊たち』ジョー・ヒル〈小学館文庫ヒ1-2〉 『ハートシェイプト・ボックス〔小学館文庫〕 (小学館文庫) [ ジョー・ヒル ]』に全くはまれず、ホラーは口に合わないのかと思ったものの、最後の味見で購入。 収録作品 「シェヘラザードのタイプライター」Scheherazade's Typewriter 「年問ホラー傑作選」Best New Horror 「二十世紀の幽霊」20th Century Ghost 「ポップ・アート」Pop Art 「蝗の歌をきくがよい」You Will Hear The Locust Sing 「アブラハムの
「未来のイヴ」でおなじみ?のリラダンの奇想と皮肉に満ちた短編集。 よんでいて気づいたのは(すぐに気づくべきだったのだが)ポオのスタイルによく似ているということだ。その影響はわざわざ指摘するまではないのだけれども、凝った文体といい奇妙なアイデアといい、ポオの短編にそっくりである。ただポオよりも文章にこだわりを感じた(文学っぽい?)のだが、これは翻訳のせいもあるかもしれない。 具体的なタイトルを上げてしまうとネタバレになってしまうので控えるが、フレドリック・ブラウンの短編と同じネタがあったりもする。リラダンの場合はアイデアをトリックとしてというより社会を皮肉るための装置として描いているので、面白さの方向性は随分異なっていると言えるだろう。 情景描写が長いのに話の展開が妙に速いので、じっくり味わって読むのが良い。短編を消化するというよりは、詩を読むようなスタイルで。 残酷物語 (筑摩叢書 52)
はてなグループの終了日を2020年1月31日(金)に決定しました 以下のエントリの通り、今年末を目処にはてなグループを終了予定である旨をお知らせしておりました。 2019年末を目処に、はてなグループの提供を終了する予定です - はてなグループ日記 このたび、正式に終了日を決定いたしましたので、以下の通りご確認ください。 終了日: 2020年1月31日(金) エクスポート希望申請期限:2020年1月31日(金) 終了日以降は、はてなグループの閲覧および投稿は行えません。日記のエクスポートが必要な方は以下の記事にしたがって手続きをしてください。 はてなグループに投稿された日記データのエクスポートについて - はてなグループ日記 ご利用のみなさまにはご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。 2020-06-25 追記 はてなグループ日記のエクスポートデータは2020年2月28
はてなグループの終了日を2020年1月31日(金)に決定しました 以下のエントリの通り、今年末を目処にはてなグループを終了予定である旨をお知らせしておりました。 2019年末を目処に、はてなグループの提供を終了する予定です - はてなグループ日記 このたび、正式に終了日を決定いたしましたので、以下の通りご確認ください。 終了日: 2020年1月31日(金) エクスポート希望申請期限:2020年1月31日(金) 終了日以降は、はてなグループの閲覧および投稿は行えません。日記のエクスポートが必要な方は以下の記事にしたがって手続きをしてください。 はてなグループに投稿された日記データのエクスポートについて - はてなグループ日記 ご利用のみなさまにはご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。 2020-06-25 追記 はてなグループ日記のエクスポートデータは2020年2月28
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