ブックマーク / d.hatena.ne.jp/kenjiito (11)

  • 「素人」はどの「専門家」を信用すべきか判断できるか(Novice/2-Expert problem). - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    Alvin I. Goldman, "Experts: Which Ones Should You Trust?" pp. 14-38, in Evan Selinger and Robert P. Crease, eds., The Philosophy of ExpertiseNew York: Columbia University Press, 2006. 先日紹介した論文の著者の一人、Evan SelingerがRobert P. Creaseと編集した論文集にThe Philosophy of Expertiseというものがある。これは専門知の問題についての理論的な論文を集めたものである。その最初に収録されているのが上記のGoldmanの論文で、もともと2001年に出版されたもの。この論文は「探索型」論文で、問題の答えを与えるものではないが、概念を整理する上で役立ちそうなので、

    「素人」はどの「専門家」を信用すべきか判断できるか(Novice/2-Expert problem). - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
    invictus
    invictus 2012/04/26
    ”素人がどの専門家を信用すべきかをどう判断すべきか、という問題は、一般には解くことができない、しかし、そのような問題を解くことができるような社会状況を考えることはできる”
  • ナオミ・オレスケス&エリック・M・コンウェイ(福岡洋一訳)『世界を騙しつづける科学者たち』楽工社、2011 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    前から読まなければと思っていたところ、訳書を御恵贈いただいたので、紹介する。原題はMerchants of Doubt。コンウェイはよく知らないが、オレスケスは、科学史家で、現在カリフォルニア大学サンディエゴ校のSTSプログラムのディレクターである。もともと、地球物理や海洋学の歴史を研究していたのだが、こので一躍、やや違った方面で脚光を浴びるようになった。なお、オレスケスは私の指導教授のピーター・ギャリソンの(だいぶ前だが)大学院生の一人であり、さらになんどか私が共同研究をした友人のディビッド・カイザーの学部時代の指導教員でもある。というわけで、当然、私はこのに対してかなり好意的なバイアスがかかっていることは認めなければならない。また、この紹介は長いわりにはあまり時間をかけずに書いたので、不備は色々あるかもしれない。ご批判を頂ければ幸いである。 この英語圏ではすでにかなり良く知られ

    ナオミ・オレスケス&エリック・M・コンウェイ(福岡洋一訳)『世界を騙しつづける科学者たち』楽工社、2011 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
    invictus
    invictus 2012/01/11
    "Merchants of doubt、疑念を売り込む者たち...これらの科学者たちは、喫煙や、核の冬、オゾンホール、温暖化、等々において、主流の科学者たちが示した問題やリスクを、あらゆる手段を用いて疑わしいものとして論じた"
  • 吉岡斉『原子力の社会史:その日本的展開』朝日選書、1999. - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    すこし前に読んで書評を書こうと思ったまま、しばらく時間がたってしまった。忘れないうちに、幾つか思いつく点を書いておく。 このは日の原子力の歴史に関しては最良の書だろうと思う。戦前からこのが書かれた時期までを手際よく通観しているだけでなく、大量の情報を扱いつつ、冷静になされたその社会的・政治的分析はお見事としかいいようがない。日の原子力の歴史に興味のある人は、とりあえずはこれから読むのが良いと思う。ただ問題は、第一に現在品切れ中で、かなり高値の古書としてしか入手できないこと。ただ、図書館で見ることはできるだろう。第二に、ドキュメンテーションがほとんどなく、出典が不明な論点が多いこと。これは学術書としては致命的だが、おそらく著者は、この後によりくわしい決定版を書く予定なのだろう。ぜひとも早く出ることを願う。 この後者の点を除けば、これは技術の社会史的な研究として、傑作であり、いろいろな

  • Vannever Bush, "Science the Endless Frontier" http://www.nsf.gov/od/lpa/nsf50/vbush1945.htm - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    これは基礎科学の擁護に関する基的な文献の一つと言っていいだろう。ちょっと読んでみたので軽く紹介する。私自身の関心は次のような点だ。基礎科学の成果はその性格からして、未知のものである以上、それが産業に応用可能か、どうか、ということは基的に知りえないことである。第一に、この時点で、ブッシュはいったいどんな論理を用いて、基礎科学の有用性を主張したのか、ということ。第二に、その上で、彼はどういう論理を用いて、国家による基礎科学支援を正当化したのか、ということである。 ブッシュは、アメリカの電気工学者で、重要な科学技術行政家。科学技術における政治家みたいな役割を果たした人物である。1944年の11月にローズベルト大統領が当時、OSRD(Office of Scientific Research and Development)の長官だったブッシュに、戦争終結をにらんで、戦時中の科学研究の成果の普

  • 「【事業仕分け】刷新会議事務局長が野依氏を「非科学的」と批判」(産経ニュース) - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091126/plc0911262253029-n1.htm 野依良治氏が事業仕分けを「見識を欠く」と言ったことに対し、行政刷新会議の加藤秀樹事務局長が次のように言ったそうだ 仕分け人は)誰ひとりとして科学技術を否定していない。そういうことを見も聞きも知りもせず、『非見識』というのは非科学的だ これは色々な意味で興味深い。非科学者が科学者(それもノーベル賞受賞者)に対して、非科学的だというのはちょっと面白いことである。そこで、ちょと条件反射的に感想を書いてみる。もう少し調べてから書きたいこともあるのだが、今は時間がないので。 私は事業仕分けには基的に賛成なのだが、科学技術関係事業への適用の仕方に大きな問題があると考えており、その意味で野依氏の「見識を欠く」というのはそれほど外れていないと思っている。その意味

  • いわゆる「事業仕分け」について(科学技術人材育成関係を中心に) - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    今週は、行政刷新会議のワーキンググループの会合が三回開かれ、いわゆる「事業仕分け」がなされた。日にいたら、中継を見ていたところだが、出張中で見ることもできず、やむを得ないので、今日になって情報収集をしている。 三つのワーキンググループが並行して走るという興味深いやり方で、そのうちの第三ワーキンググループが学術行政にかかわるもので、とくに13日にいくつか気になる決定がなされた。スーパーコンピュータやSpring8については、それぞれ専門家が議論するのに任せよう。私はこれらの事業の予算縮減や、凍結は、それほど大きな問題ではないと考えている。それらはより時間をかけて、やっぱり実施が望ましいとなれば、後からやり直せるからだ。復活に成功すれば、研究が一定期間遅れるだけのダメージで済む。私が一番気になるのは、人材育成関係の事業の予算縮減である。人材育成・若手支援で道を誤れば、一世代の人材が欠落し、長

  • 『科学革命の構造』の進化論的解釈 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    『科学革命の構造』と相対主義 Thomas KuhnのStructure of Scientific Revolutionsというは、Google Scholarによる学術論文・学術書における被引用数が断とつに一番多いそうだ。*1ただ、言及されることは多いけれど、いったいこの当に読まれているのか、疑問に思うこともある。とりあえず、パラダイムという言葉の流行を作ったで、この言葉が出るたびに、その意味がなんであれ、あるいは出した著者がこのを読んだかどうかにかかわらず、言及されるので、上のような結果になったのだろう。 前のDastonの論文のところでもふれたように、このは多様な読まれ方がされているわけだが、その多様な読まれ方がさらに独り歩きして、もともとも著者の主張とはだいぶかけなけれたところへ行ってしまっている面が大きい。その結果、このは反科学的な、相対主義の元凶というレッテル

  • ポスドクは一万人がいいのか? - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    まず、よくある誤解として、ポスドク1万人計画が博士過剰問題の原因であるようかのような議論がある。これはあやまりで、当の起源は大学院重点化である。ポスドクの増加は、任期付きでも雇用機会が増えているのだから、全体として雇用者は増えているはずなのであり、博士過剰の問題を緩和しているはずである。 ただ、ポスドクのポストは一時的なものなので、問題の先送りでしかない、ということはよく言われる。つまりポスドクが終わったあとのことはどうなるのか、ということである。その観点から、ポスドク一万人計画の一万人というのはあまりにもキリの良い数字で、当にそのあとの雇用との関連で、適正数だったのか、という疑問が生じる。 今後5年間ぐらいにどれだけ大学のポストが空くか? ポスドクの適正数は、おおよそポスドクの任期の間にどれだけの大学のポストが空くかによって考えてみる。日の場合、ポストの数が比較的固定されているので

  • "Historian of Science Can Keep His Scribblings on Tobacco Studies, Judge Rules" (Sciencemag.org) - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    invictus
    invictus 2009/11/19
    "医学史の研究者たちまでもがタバコ産業からお金をもらっていたことを彼が暴露した"
  • 事業仕分けとProblem of Extension - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    このところ、時事的な問題に関しても、研究に関しても、大学関係の仕事にしても、あまりにも色々なことがあって、圧倒されている。アーカイブズ調査に出張している間は、アーカイブズが開いている以外の時間はのんびりできるかと思ったら大間違いで、大学関係の仕事の宿題もいくつかあるし、何よりも、「事業仕分け」という大事件が起こっているときに、それに無関心ではいられないのである。 前のエントリーにちょっと書いたけれど、これは専門性の問題に関係している。そして、現在STS(科学技術社会論)のかなりホットな問題の一事例になっているのだ。まだまだ日では理論的な問題だとおもって、ゆったり構えていたところが、突然、現実の、かなり大きな問題として降ってきて、少しあわてている、というのが正直なところである。 Studies of Expertise and ExperienceとThird Wave これはつまりこうい

  • 先端研究開発支援プログラム - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    「民主党さんへ、僕は内定取り消しになりました。」(ブックマクロ開発に) http://d.hatena.ne.jp/takuya_1st/20091006/1254845300 この内定取り消しになった研究者の資金が先端研究開発支援プログラムなのか、やや不明だけれど、ほかに思い当たらないので、多分そうなのだろう。大きな研究費が凍結されたり、打ち切られたりすれば、とぱっちりをうける人は多く出るし、そのダメージはしばしば立場の弱い人に大きくなものになる。そういうことは珍しいことではなく、SSCのキャンセルのときも多くの優秀な素粒子物理の若手研究者たちが人生を狂わされた。こういう実例を見るのはつらい。私だっていつどうなるか分からないのだけれど。 こういう立場の人に対して、冷たいようだが、若手にその一部が行くとしても、大部分は設備投資などに使われる巨額の研究資金をずさんな審査で配分するというのはや

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