波間に揺られながら、私は沖縄タイムスの記者の言葉を思い出していた。 「権力者がその力を行使する場合、民衆にばれないようにこっそりとやるものだ。沖縄では違う。権力はむき出しだ。隠そうとしない。それは沖縄県民は下に思われているからだ」 ただちに意味が理解できなかった私だが、漁船に乗り込み、沖へ出て、初めて分かった気がした。確かに本土とは違っていた。 まばゆい陽光をよそに張り詰める空気、感情を消した色のないまなざし。ここは新基地建設の埋め立て工事に向けた準備が進む沖縄県名護市辺野古。立ち入り禁止の境界を示す浮具を挟み、巡視船から向けられたデジタルカメラのレンズがこちらを執拗に追い掛けていた。 漁船の船長が船上アナウンスを使い、日本記者クラブの取材団であることを告げる。撮影をやめる気配はない。海上保安庁のゴムボートからもカメラを向けられた。 本当に撮影しているのだろうか。だとすれば何のた