池尾さんもおっしゃるように、20年近くにわたる長期不況が一時的な需要不足によるものとは考えられません。こういう場合、労働市場あるいは金融・資本市場に欠陥があるのが普通です。90年代には金融システムがボトルネックでしたが、今回の不況では非正社員の問題が騒がれているように、労働市場がボトルネックになっています。私の印象では、この二つの問題には共通点があるようにみえます。それは日本人のリスク態度です。 日本人の金融ポートフォリオの半分以上を現預金が占めているのが先進国では突出した現象だということはよく知られていますが、前にも書いたように雇用のポートフォリオもローリスクの極に片寄っています。後者には規制という要因があるので、同列には比較できませんが、おそらく解雇規制を完全に撤廃しても、正社員がどんどん解雇されることはないでしょう。それは日本人にリスクをヘッジするという感覚がなく、リスクをできるかぎ
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