英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science : LSE)のブログ“LSE Blogs”に、2021年6月22日付けで記事“Review papers and the creative destruction of the research literature”が掲載されています。筆者はカナダ・マギル大学で社会学の助教授(Assistant Professor)を務めるPeter McMahan氏です。 記事では、McMahan氏らが2021年3月に発表した論文“Creative Destruction: The Structural Consequences of Scientific Curation”に基づき、レビュー論文での紹介が被引用数にもたらす影響や、レビュー論文がその対象とする
Science誌のウェブサイトに掲載された2021年6月25日付け記事“When is ‘self-plagiarism’ OK? New guidelines offer researchers rules for recycling text”において、同日、自身が過去に発表したテキストの再利用に関するルールを示した研究者向けガイダンスが公表されたことが紹介されています。 ガイダンスは、全米科学財団(NSF)の助成を受けた研究プロジェクトで、米・デューク大学のCary Moskovitz教授が主導する“Text Recycling Research Project”(TRRP)が作成したものです。「自己盗用」(self-plagiarism)と見なされることがある自身のテキストの再利用について、倫理性・合法性を備えたものと見なせる場合や、透明性を備えた再利用方法について示しています。な
2021年7月5日、欧州大学協会(EUA)が報告書“From principles to practices: Open Science at Europe’s universities 2020-2021 EUA Open Science Survey results”を公開しました。報告書では、2020年10月から2021年1月にかけて実施されたオープンサイエンスに関する調査の結果、オープンサイエンスへの移行に向けたエビデンスに基づいた推奨事項が述べられています。調査では、36カ国の機関から272件の有効回答が得られました。 調査の主な結果として、以下を含めた事項が挙げられています。 ・59%の機関が、オープンサイエンスの戦略的な重要性をとても高いまたは高いと評価している。研究出版物のオープンアクセスについては、90%の機関が大変重要であると認識している。しかし、その実装水準が高いと捉
プレプリントサーバーarXivが、2021年6月17日付けのブログ記事で、引用ネットワークの表示機能をarXivLabsに追加したことを発表しました。 研究論文の引用ネットワークを視覚化し、論文探索を支援するアプリケーション“Litmaps”との連携により実現された機能です。arXiv内の論文ページ下部に表示されるarXivLabsの“Bibliographic Tools”タブ内にあるスイッチ“Litmaps”を有効化すると、当該論文の引用ネットワークを視覚化した“Litmaps”のページへのリンクが表示されます。 Adding interactive citation maps to arXiv(arXiv.org blog, 2021/6/17) https://blog.arxiv.org/2021/06/17/adding-interactive-citation-maps-to
Nature誌のオンライン版に、2021年6月25日付けで記事“Impact factor abandoned by Dutch university in hiring and promotion decisions”が掲載されています。オランダ・ユトレヒト大学が、採用・昇進の決定においてインパクトファクターによる評価を正式に廃止することを紹介しています。 2022年初頭までに、同大学の全学部において、インパクトファクターとは異なる指標に基づく評価が導入されるとしています。指標の例として、チームワークへの貢献、オープンサイエンスの推進への尽力を挙げています。 記事では、標準的な指標であるインパクトファクターに基づく評価の廃止が、同大学から他大学に移籍する教員に不利益をもたらす可能性についても指摘しています。今回の取組に携わる同大教授のPaul Boselie氏はこの指摘に対し、若手研究者
カナダのMcGill UniversityのOffice for Science and Societyは、6月10日、"Finding a Paper on PubMed Does Not Mean the Paper Is Any Good"と題する記事を公開した。 本記事は、PubMedに収載された論文は必ずしも品質の高い信頼できるものではないと指摘。 記事の前半部で、PubMedが無料利用できることや、1781年の論文の収載、全40言語、5,200ジャーナル、32万件の引用数があるなど網羅性の高さを示しつつも、後半部でホメオパシーや不正研究、ハゲタカジャーナルの論文も収載している事実を事例とともに紹介し、PubMedは玉石混交であると注意を促している。 [ニュースソース] Finding a Paper on PubMed Does Not Mean the Paper Is An
図書館に求められる水害への備え 日本図書館協会図書館災害対策委員会:加藤孔敬(かとうよしたか),川島 宏(かわしまひろし) はじめに 自然災害が多発化し激甚化している。特に豪雨や台風等による記録的降雨は、洪水被害・土砂災害等を発生させ、図書館も浸水被害を受けている。筆者らは図書館関係者の防災意識向上と被災図書館の間接・直接の支援を行う日本図書館協会(JLA)図書館災害対策委員会(1)の委員であり、訪問調査も行う場合がある。複数の館を訪問した平成30年7月豪雨(西日本豪雨;E2056参照)では、5館で資料が水損し、合計約18.6万冊の資料を失った。さらに令和元年東日本台風(台風第19号;E2208参照)では、公共図書館108施設で浸水や雨漏り被害があった。 『カレントアウェアネス』では、これまで資料の水損対応に関する記事を掲載してきた(CA1891、CA1926参照)。これらの記事は事後
CA2000 – 動向レビュー:米国のIMLSが戦略的5か年計画で描くこれからの図書館像-地域変革における触発機能- / 豊田恭子 オープン査読の動向:背景、範囲、その是非 同志社大学免許資格課程センター:佐藤 翔(さとうしょう) はじめに オープンサイエンスの潮流の中でオープンアクセス(研究成果のオープン化)、研究データ公開に次いで注目されているトピックの一つに、査読のオープン化(Open Peer Review、以下「オープン査読」)がある。オープン査読には研究の透明性向上やいわゆるハゲタカ出版者(CA1960参照)判別への寄与等、多くの期待がかけられ、導入する雑誌・出版者も増えている。 一方で、オープンサイエンスに関するあらゆるトピックがそうであるのと同様に、オープン査読とはいったい何なのか、査読の何を「オープン」にしようとしているのかは、話者やプロジェクトによりまちまちであり、
NDL,デジタル資料長期保存基本計画 2021-2025を策定 電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室・木下貴文(きのしたたかふみ) 国立国会図書館は,2021年3月に「国立国会図書館デジタル資料長期保存基本計画 2021-2025」(以下「本計画」)を策定した。以下,デジタル資料の長期保存に係る課題を整理し,これまでの当館のデジタル資料の長期保存に係る取組を振り返りながら,本計画の概要を紹介する。 ●デジタル資料の長期保存に係る課題 当館のデジタル資料には,デジタル化資料(紙の図書等をデジタル撮影した資料)や,ウェブサイト等のインターネット資料なども含まれるが,国民の文化的財産・知的資源として後世に伝えるための長期保存における喫緊の課題は,CD,DVD等のパッケージ系電子出版物の保存対策である。この資料群には,次のような,デジタル資料に共通する多くの課題が見られる。 媒体の脆弱
人文学資料デジタル化の国際的な枠組みが日本語ルビを導入 一般財団法人人文情報学研究所・永崎研宣(ながさききよのり) 2021年2月25日,人文学のテキスト資料を構造化するための国際的な取り決めとして30年来欧米諸国のデジタル人文学において基盤となってきたTEI (Text Encoding Initiative)ガイドラインのP5 version 4.2.0 において,日本語のルビが文書構造の一つとして導入された。これにより,国際的な人文学研究データを共有するネットワークにおいて日本語テキスト資料がより適切な形で利活用されることとなった。 TEIガイドラインは,欧米の人文学研究者が中心となって1987年に検討が開始された,人文学のテキストデータを次に挙げるような形でよりよく共有し発展させるための取り決めである。それまでのデータの非互換性やベンダーロックインといった問題を解決するため,人文学
各国の著作権法を整理した国際出版連合(IPA)のレポート 電子情報部電子情報企画課・藏所和輝(くらしょかずき) 本稿では,2020年10月に公開された,世界の出版協会等が加盟する国際出版連合(IPA)のレポート“IPA Global Report on Copyright & Publishing”について紹介する。 本レポートは,IPAのメンバーが所属する69か国を対象として,出版産業と関係する国家レベルの著作権法の特徴を明らかにするものである。IPAメンバーが自国の著作権政策の優先事項を評価する際の助けとなることや,他国が自国と同じ課題にどのように取組んでいるかについての情報源となることを目的としている。具体的には,次のような情報を提供している。 (1)世界知的所有権機関(WIPO)が管理する3つの著作権条約―ベルヌ条約,WIPO著作権条約,マラケシュ条約(CA1831参照)―に対する
佛教大学図書館におけるAlma導入の目的と現況 佛教大学図書館・飯野勝則(いいのかつのり) 佛教大学図書館は,2020年6月にAlmaの運用を開始した。Almaは図書館サービスプラットフォーム(CA1861参照)のひとつであり,従来の図書館システムにリンクリゾルバや電子リソース管理システムなどの周辺部のシステムを包括したシステムである。クラウド上で提供されることも大きな特徴である。当館でのAlma導入について,2021年1月10日に行われた大学図書館問題研究会(現・大学図書館研究会)関西3地域グループの合同例会では,導入の意図や,さまざまな課題等について,筆者が運用初期段階での報告を行った。本稿においては,これを踏まえたうえで,当初抱いていたAlma導入の目的と,その現況に的を絞りつつ述べるものとしたい。 ●導入の目的 まず,当館がAlmaを採用するにあたって,当館が最も重視した点は,電子
[たはLab.]が拓く未来のかたち 田原市総務部(元田原市中央図書館)・吉田竜太郎(よしだりょうたろう) 2021年1月,田原市中央図書館(愛知県)は, [たはLab.]を設置した。廃止となった「インターネットコーナー」を転用したもので,広さは約12平方メートル,ScratchやmBotを使って誰でも遊びながらプログラミングを学べるスペースとなっている。本稿では,なぜ今[たはLab.]なのか,どうして当館にプログラミング体験スペースが必要だったのかについて述べたい。学習指導要領の改訂(CA1934参照)に伴って,プログラミング教育がスタートし, GIGAスクール構想により小学生にタブレットが配られたから……という事実は,その答えの半分ではあるが,全てではない。 ●田原市の地勢的条件と人口の減少 [たはLab.]設置に係る経緯を語るには,田原市の地勢的事情を述べる必要があろうかと思う。当市の
作成者について 2015年に某官庁に入省しまして、現在は中小企業向けの金融政策を担当しています。 今年のはじめに、東大の人工生命の研究者の池上高志氏の記事を見て、「あ、プログラミング、やろう」と思いました。 池上:人工生命によって、人間も「自律的に生きるとは何か」をつきつけられるということですね。 人工生命のいいところは、プログラムとか化学反応など、具体的に構築できるものをベースにしているから、実際につくれるところです。 つまり、雰囲気としての生命らしさ、ではない。そうじゃないと飲み屋談義になってしまうじゃないですか。 ユヴァル・ノア・ハラリ著の『ホモ・デウス』なんかを読んで、「未来はこうだよね」と語っているだけでは、その先に行けないですよね。 賢いことを考えられても、証明できないしつくれない。 1行でもプログラムを書けるなら、次に行ける可能性がある。 プログラミングは超初心者です。でも同
カナダ国内の図書館協会のネットワーク“The Partnership”が刊行する“Partnership: the Canadian Journal of Library and Information Practice and Research”のVol. 16 no.1に、カナダのクイーンズ大学に所属するAlexandra Cooper氏らによる記事“Data in the Time of COVID-19: How Data Library Professionals Helped Combat the Pandemic”が、2021年6月21日付で公開されました。 同記事には、コロナ禍におけるデータ・ライブラリアンの活動等がまとめられています。一例として、カナダのウィルフリッド・ローリエ大学のデータ・ライブラリアンが、オンタリオ州のウェブサイトで公開されている情報をWayback
島根大学附属図書館では、利用者が目的の電子リソース(電子ジャーナルの提供元サイトや学術情報データベース)へすぐにアクセスできるよう、「電子リソースリスト」というページを公開しています。 この「電子リソースリスト」のページは、HTML5 + CSS3 + JavaScriptで動作しているページなのですが、他の図書館でも同じページを運用できるように、この度CC0 1.0のライセンスを付与して公開しました。 公開ページ:https://app.lib.shimane-u.ac.jp/e-resource_list/ ZIPファイル:https://app.lib.shimane-u.ac.jp/e-resource_list/e-resource_list.zip 全国の図書館だけでなく、あらゆる教育機関や民間企業、なんなら個人でも自由にご利用ください。(ただし、動作保証等は一切しませんので、
国立情報学研究所(NII)、CiNii ArticlesをCiNii Researchに統合すると発表 | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/44356 「2021年7月6日、国立情報学研究所(NII)が、CiNii ArticlesをCiNii Researchへ統合し、論文検索はCiNii Researchに一本化すると発表しました。」 な、なんだってーっ。 というわけで、NII学術情報基盤オープンフォーラムの「CiNii Researchと大学図書館」というコマで、「図書館の現場および海外から見た情報検索基盤」というお題をいただいたので、すこししゃべってきました。 そのメモです。 RCOSトラック1 - NII OPEN FORUM 2021 https://www.nii.ac.jp/openforum/2021/day1
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