赤い嵐のようだった−。無数の中国国旗「五星紅旗」が翻った4月26日の長野市の聖火リレーが市民に残したのは、中国人への違和感と深い落胆。10年前の長野五輪の感動はどこに…。静寂を取り戻した善光寺の門前町をルポした。(坂井広志、水内茂幸、原川貴郎) 沿道の商店関係者にとっては緊張の1日だった。 JR長野駅前の宝飾店店長、山口浩さん(36)はその朝、午前8時に出勤した。通常は10時開店だが、暴徒にショーウインドーを割られてはいけないと考えたからだ。すでに店の前は、中国人と中国の赤い旗で埋め尽くされ、チベット人支援者とにらみ合っていた。「中国人の威圧感は半端じゃなくて歩くのも怖かった」。店の近くを聖火が通過したのは午前8時45分ごろ。その後もにらみ合いが続き、店を開けられたのは、11時近くになってからだった。 沿道のコンビニには早朝から数百人の中国人が集結。店内のトイレに長い列ができ、おにぎりやパ