誰もが共通に理解できる「正義」はあるのか。公正な社会は実現可能か。このたび、アメリカの政治哲学者ロールズにはじまる正義論の系譜をわかりやすく解説する『正義とは何か』が刊行されました。本書について著者の神島さんにお話しをうかがいました。 ――哲学、とくに正義論について関心を持ったきっかけを教えてください。 神島:知りたいと思うことに取り組んでいたら、哲学という研究領域の端っこに近づいてきた感じです。子どもの頃によく「なんで」を連発してうるさがられたり、(たぶん)するどい突っ込みを入れて「子どものくせに生意気だ」と怒られたりしていました。他方で漫画やアニメが好きで、ストーリー展開に難癖をつけたり、登場人物に感情移入したりして、空想にふけっていました。振り返ってみれば、そうとは知らずに哲学っぽいことをしていたのだと思いますが、学問としての哲学に関心を持つようになったのは、大人になって他の学問を学
