東浩紀/批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役 この記事の写真をすべて見る 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙はこちら 1月20日にトランプ米大統領の就任式があった。マスク氏をはじめ大富豪がずらりと居並ぶ姿は、富と権力が赤裸々に結びつく現代社会の病理を象徴するものだった。 世界はかつてなく不平等になりつつある。そんななか哲学者のマイケル・サンデルと経済学者のトマ・ピケティが対談本を出した。『平等について、いま話したいこと』(早川書房)というタイトルだ。 両者ともに分断が進む現状を憂慮しているが、理由については異なる診断を下す。ピケティは、問題は富の偏在にあり、再配分を強化すれば左派は大衆の信頼を取り戻すはずだと主張する。対してサンデルは、むしろ重要なのは大衆が尊厳を奪われ
