ザッケローニ監督の指示を伝えるやや甲高い声は、練習会場でよく通る。「単純に言葉を運ぶだけでなく、監督と同じ温度感を心がけている」。W杯日本代表メンバーの最年長、遠藤保仁(G大阪)と同じ昭和55(1980)年生まれの若き通訳、矢野大輔さん(33)は、指揮官らイタリア人スタッフと選手たちの架け橋としてチームを支える。 プロを目指し、15歳でイタリアにサッカー留学したが芽は出ず、22歳で現地のスポーツマネジメント会社に入社した。2006年、トリノに入団した元日本代表FW大黒将志(京都)の通訳を任された際、チームを率いていたのがザッケローニ監督だった。「うわ、3−4−3の人だ」。名うての戦術家との初対面に緊張したのを今でも覚えている。 戦術理解に苦しんだ大黒に全体練習後、丁寧に説明する姿に好感を抱いていた指揮官から声がかかったのは10年9月。日本代表監督への就任会見を終えてイタリアに一時帰国し
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