2015年シーズン、直接FKを3本決めた中村俊輔。その左足は衰えを知らない(写真:築田純/アフロスポーツ) 一流の職人は、商売道具に「魂」を吹き込むという。 サッカーの世界とて同じ。名キッカーとして鳴らす中村俊輔は、スパイクに誰よりもこだわりを持つ。 横浜F・マリノスの大黒柱である彼は昨年、Jリーグの舞台で直接フリーキックを3度、鮮やかに決めている。 一発目のゴールが7月19日のガンバ大阪戦、1-2で迎えた後半アディショナルタイムだった。ゴールまで約25m、ほぼ正面の位置から彼は7枚並んだ壁をスレスレで越え、鋭く落とすキックでゴール左隅に放り込んでいる。セルティック時代の『魔法』を知る欧州のメディアが取り上げるほど、反響は大きかった。 そのときのスパイクが、もう5年以上も使っている革製のビンテージものだったことをご存知だろうか。革を覆う紫色が、どことなく色褪せていた。 新しいスパイクも、古