タイで起きた大規模洪水によってサプライチェーンが寸断し、製品の生産停止を余儀なくされる事態が世界的に広がっている。東日本大震災で起きた混乱の再現だ。 なぜ同じことが再び起きたのか。今回の事態を受けて、企業は経営の何を見直すべきか。ボストン コンサルティング グループの水越豊・日本代表が日本企業の直面する課題を指摘するとともに、いま実行すべき対策を提示する。 (取材構成は、中野目純一=日経ビジネスオンライン記者) ── 東日本大震災の時は、東北地方の太平洋側の沿岸部が津波で甚大な被害を受け、サプライチェーンが寸断し、製品の生産を停止する事態が日本だけでなく海外でも広がりました。今回はタイで大規模な洪水が起きたことが、同様の事態を引き起こしています。タイがこのように世界のモノ作りのアキレス腱になるほどの生産拠点に発展したのはなぜでしょうか。 水越:まずタイはほかのアジアの国々、例えば中国とは生