映画版の感想→否定も肯定もできない『否定と肯定』(ネタバレ乱舞注意) ユダヤ史およびホロコースト学の泰斗、デボラ・リップシュタット教授の思想信条を、T・S・エリオットを引き合いに出しての次の一文が端的に表していたように思う。 広い世界でどれほど高く評価されていようとも、反ユダヤ主義者が悪党であることには変わりがなく、人は悪党に妥協してはならないのだ。 『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』p.110 どう書き始めようか相当悩んだが、回顧録の感想なのだからまずは著者の視座を明確にしておいた方がいいだろうという判断。 しかしそれでいいのかと思うところもあるわけで、結局、一人の人間をたった一文で言い尽くせるものでもないし、だとすればこの回顧録に一貫した見通しを与えようとする企てには別の意図も混じってはいないかという話になる。 率直に言えば俺はリップシュタットという人が嫌いであるし、リップ
![映画原作『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』を読む | 映画にわか](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f5ba861ffe0756e7811d5c498d58fe1248739da0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.niwaka-movie.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F09%2Fcropped-favi.png)