「私、へこたれていませんよ」。張りのある朗らかな声が印象に残った。歴史学者の加藤陽子・東京大教授だ。日本近代史の優れた研究者として知られるが、政府に任命拒否された日本学術会議の新会員候補6人のうちの一人となり、昨秋は「渦中の人」になった。それでも前向きに自らの道を究める加藤さん、女性として苦労したことはなかったのだろうか。東大の女子学生の少なさや選択的夫婦別姓の問題など、ジェンダーに関するあれこれを聞いてみた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】 生き方選べなかった「祖母」や母 ――加藤さんが学生、教員として長く過ごしてきた東大ですが、女子学生の比率は現在でも約2割にとどまり、少数派です。もともとは、なぜ東大を選んだのですか。 ◆実は、私の生い立ちが関係しています。自己決定権や個人の尊厳の問題に、早くから敏感にならざるを得ない家庭環境でした。1923年生まれの父は44年に応召、ソ連の国境
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