「豊かな社会になると、お金が好きになって、あまり消費をしなくなる」として、長期停滞の理由に擬せられたりするが、長期の家計調査を眺めると、それはちょっと違うということになる。確かに、食料消費に充てる割合は減少してきたが、それ以外の非食料消費の割合は、50年間に渡って、ほぼ一定だったからだ。それを覆し、消費の割合を急低下させたのは、アベノミクスになってからである。 ……… 下図で分かるように、食料消費の割合は、傾向的に低下していたが、1997年のハシモト緊縮財政の後、デフレの長期停滞に入ると下がらなくなった。他方、非食料消費の割合は、ほぼ一定である。残差の貯蓄は、むしろ、デフレになってからは減り気味だ。つまり、お金が好きになったから、長期停滞になったとは言いがたい。消費を減らしてお金を貯めるようになったのは、アベノミクスでのことだ。 「非食料消費が一定」というのは、赤羽隆夫が発見した非常に重要